1話
目が覚めると、知らない天井でした……。
(ふむ、一度は体験したい、王道展開だね)
辺りを見渡すと、隣には知らない美女が寝ていました……。
(っっ!!)
「ふんぎゃっ」びっくりして、変な声がでたっ。
隣の美女を、起こしたかと思い見てみるが、寝返りをうっただけですやすや眠っている。
どういう状況で、女同士で寝てるのかという事は、すぐさま理解できた。
死んだ後に、肉体があるってことは生まれ変わったんだね。
前世の記憶があるのは、今だけの事なのだろうか…………わからん……。
一先ず、無事に転生できた事を祝うか……ハッピーバースディ~私♪
安心して周りの状況を確かめることにした……が!……視力が足りないようで、詳しくはわからなかった。
手足は動く、細かい動作は出来ないけど。
軽く首を左右には振れる、持ち上げるのは、ぐらっとして無理のようだけど。
目は酷い近視のような感じで、声は……「ふんぎゃ~」
うむ、まさしく赤子のようだ。
きっと、隣の美女は、お母さんなのだろうね。
(ありがとう、産んでくれて……)
・
・
・
産まれてからというもの、食っちゃ寝している。
赤子だから、仕方がないのかも知れないけれど……。
前世の記憶を持ったままでの授乳は、激しく抵抗があった。
しかし、空腹には勝てず……。
いつまで、前世の記憶が残ったままでいるのが、わからない。
大きくなったらやりたい事をリストアップして、記憶に留めておけるように思考する毎日。
それ以外は……
満腹で寝てしまい、抱っこされて背中をぽんぽんされると寝てしまい……。
暇で、前世の歌でも歌ってると、泣いてる様に聞こえるようで、トントンされて寝てしまい。
そうそう、沐浴中に新発見があった。
前世同様、女の子だった。
前世もお転婆で、両親から数えきれないくらい叱られたけど……今のところ自重する気はない。
・
・
・
食っちゃ寝しかしてないので時間経過が曖昧だが、手の肉付きやら、視力、首の座り具合、(ふんぎゃ~)以外の声が出るようになった。
踏ん張って寝返りをうった時、ここが日本ではない事がわかった。
金髪にグリーンな瞳を持つ美女なお母さんが、日本人顔をしていないので疑ってはいたけれど………。
父親らしい人が、オレンジっぽい赤毛で金色の瞳だった。
日本どころか、地球でもないかもしれない……確信はないけれど……。
お父さん カラコンつけてるって言って……(切実)
前世の記憶が残ってるのを良い事に、あのゲームの続編や、完結まで読めなかった漫画の続きが楽しめると、ウッキウッキしてたのに……。
調度品がアンティークばかりなので、両親の趣味なのかなと、安易に考えていたけれど。
地球でなかったら、テレビもない可能性も………(イヤーーーーー!!)
この日、初めての夜泣きと発熱を体験しました。