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楽しい転生  作者: ぱにこ
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14話

 父様と母様プラス、マスティフ伯爵様に、コッテリ叱られたルイーズです。

 叱られてる間、フェオドールが手を握ってくれていたので、泣きませんでした。

 いつもの美男美女プラス、マスティフ伯爵様という布陣は、迫力がありすぎて、ちょっぴりトラウマになりましたが……。

 何がいけなかったか?それは、ボヤ騒ぎですよ。

 自重は?父様や母様は、フェオドールを強くするには、まだ幼く、早いとのお考えの様でしたが、事情を鑑みて『習得してしまったのなら、仕方がない』と、諦めムードで仰っていました。

 次から、花火をする時の『お約束』みたいに、炎系の魔法を発動させる時には、水を用意するように!と言われました。

 ボヤ程度で済んだのが、幸いでした。

 前世の記憶もあり、大人の様になんでも出来る気持ちでいましたが、3歳児の体は、思う様に動けませんでした。

 待機しているジルに、助けを求めなかったのも、いけませんでした。

 いつも、近くにいると危険なので、離れて待機する様に言っていたのですが、離し過ぎたようです。

 いきなり火の手が上がって、お嬢様や坊ちゃまがパニックになってるって状況を目にする訳ですよ。


 ジルは、火を消し止めようと駈け寄ろうしたそうです。


 しかし、私が水系魔法を使い、消火。

 ほっとしたのも束の間、追い打ちの様に『ウィンドカッター』でまとを破壊する。

 

 一連の出来事を、淡々と説明されると……。

 もう、土下座したい気持ちですよ。

 土下座は阻止されましたが……。

 反省しました。

 父様、母様、マスティフ伯爵様、ジル、本当にごめんなさいです。

 巻き込んでしまったフェオドール、ごめんなさいです。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 父様は、マスティフ伯爵様に、私の事情を説明したそうです。

 マスティフ伯爵様は『フェオドールが、強くなるのは良い事だ』と仰っていました。

 ボヤの件では、大人の判断も仰がず、勝手をしたので叱られましたが。

 マスティフ伯爵様は、一晩中、父様と呑み交わされ、お帰りになりました。

 お見送りに出た際、フェオドールは『つぎにあうとき、もっ~と、つよくなってるから、きたいしててね』と言ってました。

 フェオドールを見てると『攻略対象者』達は、潜在能力も高いのだろうと感じました。

 だから、将来の為に頑張ってね。


◇ ◇ ◇

 

 そんな濃い1日を過ごした後、ルイーズは暇を持て余しています。

 只今『さんすう』を習っています。……『さんすう』ですよ。

 今更、『さんすう』は勘弁してほしいです

 淑女教育のダンスやマナー、この国の歴史については、学ぼうと頑張っていますし、身も入るのですが……。

 まだ、数学ならば『記憶の彼方に封印されし方程式』を、思い起こす刺激になり勉強になるのですよ。

 講師に来ていただいた方は、父様の補佐官をしていらっしゃる『ユーゴ・サルーキ子爵』様の次男なのだそうです。

 お名前は『アルノー・サルーキ』様、お年は19歳で、ヘーゼルの瞳に真っ赤な髪をしています。

 リアルで見る真っ赤な髪は、凄くインパクトがありました。

 学園を首席で卒業された経歴を、父様にかわれ、講師として打診されたそうです。

 

 ゲームのルイーズは、病弱だったので学園に行く描写がありませんでした。

 しかし、私は健康優良児ですので、学園に行けそうですね。

 10歳からの貴族の令嬢や令息が通う『コモンドール学園』。

 主に、貴族の人脈作り、魔法、政財学、剣術、歴史、数学等々を学ぶようです。

 全寮制で、3年間通います。

 専門分野を学ぶ方は、その後も学園に残るそうで、アルノー先生は、歴史について学んでいたそうです。

 学園生活が短いのは、令嬢は花嫁修業などをして、家同士のつながりを強くするための準備、令息は役職に就く為の準備期間なのだそうです。

 

「ルイーズ様には、簡単すぎましたか?身が入ってないご様子」

 うわの空で、考え事ばかりしてたのを、アルノー先生に指摘されました。


「すみません。このさんじゅつは、かんたんすぎて、ほかのことをかんがえていました」

「やはり、簡単すぎましたか……では、次回からは、もう少し難しい問題を用意します。それで、他の事とは、どんな事を考えていたのですか?」

 アルノー先生は、今日の勉強は終わりと告げる様に、紙などを片付け始めました。


「しょうらいのことでしょうか?!がくえんせいかつも、たのしみなのですが、そつぎょうごに、どのようなせいかつになるのかを、かんがえていました」

「貴族のご令嬢は、家同士の繋がりを結ぶため、嫁がれます。ルイーズ様もそうなのでは?」


 貴族の令嬢としては、間違っていないのだけれど……。

 それだけだと決めつけられるのは、つまんないわね。

「そうなんでしょうけど、それしか、りようかちがないって、いわれてるようで、いやです」

 ついつい、ふてくされた様な顔になってしまいました。


「くっ、ははは、ルイーズ様、餌を詰め込み過ぎたリスの様に、頬が膨らんでいますよ」


 アルノー先生は、うっすら涙を浮かべて、笑ってますけれど、断固!抗議します。

「わたくしは、まほうの、かのうせいも、つきつめたいですし、このせかいも、みてまわりたいのです。せかいじゅうのおいしいものも、たべたいのです。そのあとに、とつぐのなら、うけいれます」


 余談ですが、マナーの講師に、わたしではなく、わたくしと言う様に、教えられました。


「侯爵家ご令嬢が、旅をなさるのですか?……王家に嫁がれる可能性も高い、侯爵家ご令嬢ですよ」

 アルノー先生からすれば、子供の戯言にしか聞こえないのでしょうね。

 でも、王家には嫁ぎませんよ。

 『異世界の巫女』が、誰を選ぶのかわからない状況です。

 『攻略対象者』を、婚約者になんてしません。

 父様にも伝えてますので、私の婚約者は、世界が平和になった後に探すそうです。

 出来れば、前世の様に、恋愛結婚をしたいとは思っていますけれど。


「…………」

 無言で抗議です。

「夢を語られているルイーズ様に対して、意地悪を言いすぎましたか……申し訳ありません。一般的に、世界を見て回れる者は、冒険者か、商人が多いですね」


 ん、冒険者?この世界にも、冒険者がいるの?

 冒険者ギルドもあるのでしょうか?ロマンですよ♪


「ぼうけんしゃがいるのですか?ぎるどもあるのですか?」

「はい、冒険者はいますよ。10歳から、冒険者ギルドに登録できます。将来、騎士団などの入隊希望者は、学園に通ってる間に登録し、魔物退治をする者もいます。そうする事によって、入隊試験の時に、良い印象を与えるのです。しかし、貴族ですからね……命の危険性をなくす為、高ランクの冒険者を雇い、安全が約束された魔物退治しかしませんね」


 それは……。

 貴族の坊ちゃんですからね……万が一、怪我などされても大変でしょうし、わかるけれど……。

 良い印象を与えるだけなら、冒険者にならなくても、よくない?

 

「ぼうけんしゃになり、いんしょうをよくすると、きしだんに、にゅうたいしやすくなるのですか?」

「一番は、個人の技量ですが、配属される場所によっては、魔物退治の功績が重要になる場合があります。近衛騎士などは、対人戦を重視し、魔物退治の功績は必要ありませんね」


 冒険者になり、騎士団に入隊する方は、領地などを守る為でしょうか……。

 辺境に限らず、魔物はどこにでもいますし。


 ふむ、私も将来、瘴気を祓う旅に同行できるのなら、学園に通っている時に、冒険者になるのもいいですね。

 もちろん、父様に許可をいただいてからですが……。

 

「ルイーズ様、冒険者になるおつもりですか?」

「ええ。きょうみがあるので、ちちにうかがって、きょかをいただけたらですが……」

「………余計な話をしてしまったようですね」

 この流れだと、アルノー先生が冒険者の話をしたから、私が興味をもって、我が儘を言ってるみたいになるわね。

 遅かれ早かれ、冒険者ギルドがあるって知ったら、興味を持って冒険者になりたいって言いだすわ。


「あるのーせんせい。ぼうけんしゃについては、もともときょうみがありました。おそかれはやかれ、ぼうけんしゃぎるどについて、しってしまったら、ぼうけんしゃになると、いっていたでしょう。ですから、あるのーせんせいが、きにやむひつようは、ありませんわ」

「わかりました。ルイーズ様が、冒険者を志すとの事でしたら、魔物についての知識も必要ですね。私は、算術に文字の読み書き、歴史などの教育に、と呼ばれました。しかし、ルイーズ様は算術に関しては必要なさそうです。その時間を、冒険者に必要な、魔物に関しての知識や薬草学に変更いたしましょう。もちろん、ハウンド侯爵の許可をいただいてからですよ」

「あるのーせんせい、ありがとうございます。ちちに、きょかをいただきますので、よろしくおねがいいたします」


 魔物の知識も薬草学も楽しみ♪

 ゲームと、どこまで同じなのかな?

 薬草などの回復アイテムは、魔物を倒した時のドロップ品だった。

 さすがに、リアルで魔物が、ポーションを落としたりしないでしょう。

 ゲームとの違いを確かめるのも、楽しいわね。

 必ず、父様を説き伏せてみます♪

 

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