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楽しい転生  作者: ぱにこ
15/122

13話

 マスティフ伯爵様とフェオドールを、おもてなし中です。

 料理長特製『アイスクリーム』プレートは、盛り付けの美しさで目を楽しませ、一口食べた瞬間、頬を緩ませる。

「おいしい~~♪」

「ほう~~。これ程に、美味しいデザートは、初めてだ。確か『あいすくりーむ』と言ったね?ルイーズ嬢が考えたと聞いたのだが、是非、キャロルにも食べさせたいから、レシピを教えてくれまいか?」

 レシピを教えるのは簡単だけれど、冷凍庫がないと、魔法で作らないといけないのよね……。

 大丈夫かな?


「ますてぃふはくしゃくさま、れしぴは、おつたえできますが『こおりまほう』がひつようになりますし、かなりのてまひまも、ひつようとなります。わがやには『れいとうこ』という、まどうぐが、せっちされていて、つくりおきもできるようになっていますが……あの……もし、おじゃまでは、ないのでしたら、わたしがつくりにいっても、よろしいですか?」

 伯爵家の調理場にお邪魔するのは、やり過ぎかな?と思ったけど……。

 私も是非、伯爵夫人に召し上がっていただきたいと思ったので、お伺いしてみました。

「おっ!良いのですか?是非、当家にいらして『あいすくりーむ』を作って頂きたい。キャロルも、フェオドールも喜びます」

 マスティフ伯爵様は、『そうだろう?』という感じで、フェオドールの顔を見ました。

 フェオドールは、頬を膨らませて「もうー。るいーずが、きてくれるのは、うれしいけど……」と、もにょもにょ言っています。

 最後の方は、聞き取れませんでした。



 さて、おもてなしも済んだことだし、訓練所に行ってフェオドールの魔法を見せていただきましょう。

「ますてぃふはくしゃくさま、かあさま。ふぇおどーると、そとにいってもよろしいですか?」

「ああ、子供は外で遊ぶのが一番。フェオドール、行っておいで」

 快く了承してくれる、マスティフ伯爵様。


「ええ、外で遊ぶのは、かまわないけど。ルイーズ?くれぐれも、気を抜かず、加減するのよ」

 ……母様。

 最近、眼光が鋭くなってきています。はい、私のせいですね、気を付けます。

 父様に披露するような、魔法は使いませんのでご安心を。

「はい、かあさま。ごあんしんを。ふぇおどーるに、まほうをみせていただくだけです」

 そういうと、母様は安心したようです。


「「では、いってまいります」」

 二人で手を繋ぎ、訓練所に向かいます。

 移動中に手を繋ぐのは、お約束になったようですね。

 

 自分の魔法と、父様のチート気味な魔法以外は、見たことがないので本当に楽しみです。


 訓練所に着くと、フェオドールが広さに驚いていました。

 うん、うん、わかります。

 私も初めて入った時は、広さにびっくりしました。

 今では、私も使用させていただいてますが、元々は父様専用でしたし。

「ひろいでしょう?わたしも、さいしょはひろくて、びっくりしたもの」

「ひろいね~~」


 ・

 ・

 ・


 ぽかんとしたまま、数分。

 時間は限られてるので、そろそろ披露していただきましょう。


「ふぇおどーる、あそこに、まとがあるから、あれをねらって、まほうをうってみてくれる?」

「うん。いっくよー!『ふぁいやーぼーる』!」

 フェオドールが、魔法を発動させると、なんとか形になった様な火の玉が、ふよふよ漂い始めました。

 ふよふよ、ほわほわって感じでしょうか?

 漂う火の玉が、ぽふっと音をだし、的に当たります。

 的に当たったのを見たフェオドールは、最高の笑顔で「あたったね~」と嬉しそうです。

 そんな、フェオドールを見ていると、私も嬉しくなって「あたったね~」と微笑みました。


 フェオドールの魔法を、少し改善しても怒られないでしょうか?

 改善できると決まった訳ではないですが……『攻略対象者』には、強くなって欲しいですし。

 …………よし!怒られる覚悟で、改善して見ましょう。

 私は、目に魔法をかけ、フェオドールのマナの循環を見ました。

 うん、マナの循環は良いですね。子供だからなのか、取り込むマナが少ない様に感じますが……。

 オーラの色は、黄色でしょうか?輝いてるので黄金色にも見えますね。

 では、取り込むマナを増やす為、太極拳をやってみましょう。


「ね、ふぇおどーる。わたしと、とうさまは、まなをたくさんとりこむために『たいきょくけん』というものをやってるの。ふぇおどーるもやってみない?」

「まなをたくさん?それをすると、どうなるの?」

「まなを、たくさんとりこむことができたら、まほうのいりょくが、たかくなるの」

「いりょくがあがるの?うん、ぼくやってみる!」

 

「「すうーーー」」

「「はあーーー」」

「るいーず、からだがぽかぽかしてきた。すうーーー」

「まなをたくさんとりこんでいるからね♪すうーー」

「これは、まいにちするほうがいいの?はあーー」

「そうね……まいあさ、おきてからおこなうといいわ。はあー」

「あさだね、わかった。すううー」

「「はあー」」


「はい。おつかれさまでした」

「はい」

 太極拳の後の、マナの循環を見てみると、大量のマナが取り込まれ、蓄えられていました。

 魔法の威力が、先ほどと違うのか試してもらいましょう。


「ふぇおどーる、まなのじゅんかんがよくなったから、もういちど『ふぁいやーぼーる』を、うってみてくれない?」

「うん!いくよ~『ふぁいや~ぼ~~る』」

 凄いっ!ふよふよしてるのは、変わらないんだけれど、先ほどと大きさが違います。

 直径50センチほどの火の玉が、ふよふよ漂って、的の方へ向かいました。

 ボフッという音ととも消えた火の玉。

「ーーーーーーす、すごーい!!こーんなおおきな『ふぁいやーぼーる』みたことない♪」

「おおきいひのたまだったねえ~。びっくりしちゃった♪」


 マナの循環が良くなって、大きな火の玉が出来たんだとしたら、火の玉のイメージを安定させたら、丁度いい大きさで、威力が増したものが出来そうですね。


「じゃあ、つぎは、ひのたまをしっかりつくるれんしゅうをしましょう」

「ひのたま?」

「ええ、まずは、からだのなかのまなが、てのひらに、あつまっているようないめーじを、おもいえがくの」

「おもうの?やってみるね」

 フェオドールは、自分の手の平をじっと見つめて、マナを集め出しました。

「なんだか、てのひらが、ぽかぽかしてきたよ」

「まなが、あつまってきてるからね。じゃあ、そのままのじょうたいで、あつーいひのたまをしっかりと、ぞうぞうしてみてね」

「このまま、ひのたまをつくるんだね。よし!」


 フェオドールは、しっかりとイメージが出来ないのか、うまくいきません……。

「ああ、うまくいかない」

 イメージが難しいのかもしれませんね。

 一緒にやったら、成功するかも。

「ふぇおどーる、いっしょに、やってみましょう。まほうは、いめーじがだいじだから、みたことがないものは、むずかしくなるの」

「じゃあ、るいーずのまねするね」

 私の手の平に浮かんだ、火の玉。それを参考に、フェオドールも火の玉を作ります。

 ーーー成功です!

 やはり、見て試すのが一番の近道なのかも知れません。


「せいこうです!ふぇおどーる、すごいです」

「えへへ、できたね~」

 少し照れくさそうに、少し誇らしく微笑むフェオドール。


 では、この火の玉を使って『ファイヤーボール』をうってみましょう。

「ふぇおどーる、このひのたまを『ふぁいやーぼーる』にしましょう。わたしが、まとへうつので、みててね」

「うん」

 『ファイヤーボール』が発動し、的へと向かいます。

 ヒューーーーッ、バキッという音とともに、的に穴が開きました……。

 加減してるといえ、私の魔法は、まだ、威力が強いようです。

「るいーずっ!すごいよ!あながあいてるよ!じゃあ、ぼくのばんだね。がんばるよ~」

 興奮気味なフェオドールは、次は自分の番だ、と気合を入れました。


 フェオドールの発動した『ファイヤーボール』は、明らかに変化しています。

 炎の大きさも、丁度良く、スピードも出ています。

 ヒューーーッ、バシッ!!という音とともに、的が…………。

「わあーーーー!もえてますーーーー!みず、みず」

「わーー!みずーー!」


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 なんとか『ウォーターボール』で消し止めた的……。

 これは、父様にコッテリ叱られる案件かもしれませんね。

 

 自重しなかったことに関して母様に叱られ、危うく火事になりかけた事を父様に叱られる未来が、容易に想像できます。


 私の未来は決まったも同然!ならば『ウィンドカッター』も、強化してしまいましょう。

 そんな事を考えてると、フェオドールが心配そうに、私の顔を覗き込みました。

「るいーず、ごめんね……あんなにつよい『ふぁいやーぼーる』が、うてるって、おもってなかったから……ぼく、こうしゃくさまと、こうしゃくふじんにあやまってくるね」


 私は、今すぐ謝罪に行こうとするフェオドールを、引き留めました。

「あのね、わたしのまほうのいりょくが、つよいのも、ちしきによって、きょうかされるのも、とうさまも、かあさまも、しってらっしゃるの。それで、きをつけるようにって、いわれてたのだけど、きをつけなかったわたしが、わるいの。だから、ふぇおどーるは、わるくないの」

「でも……、ぼくもいっしょに、あやまるよ」

 正義感が強くて、優しいフェオドール。本当に、私が自重しなかったせいなんですが……。


 父様も母様も、私が悪いとわかっていらっしゃるでしょうし、そばにフェオドールが居てくれると、心強いですね。

「あのね、ふぇおどーる。ひとりで、しかられるのはこわいから、そばにいてくれる?」

 と、提案してみました。

「うん。ぼく、るいーずのそばにいる。いっしょにあやまって、しかられよう。いっしょだから、こわくないね」


 なんだろう、この幼馴染は……天使かもしれない……可愛すぎる。

 この世界には、天使がたくさん居ますね。


「ありがとう、とってもこころづよいわ。……でも、しかられるまえに『うぃんどかったー』も、つよくしちゃいましょう~!」

「『うぃんどかったー』も?」

「さっきとおなじように、てのひらにまなをあつめて~、ふぇおどーるもいっしょにやってみてね」

「あつめて~」

 フェオドールは言われるがまま、マナを集め始めました。

「わたしがさきに、はつどうさせるから、みててね。『うぃんどかったーー』」

 シューッ!ザッザッ!と、いう音とともに、的が切り刻まれていきました。

 自重したイメージ通りに、うまく出来ました。

「うわ~~るいーずじょうずだね~。ぼくもがんばるね。いくよ~『うぃんどかったー』」

 フェオドールが発動した魔法は、シュッ、ザシュッ!と、いう音とともに、一瞬で的を切り込み、真っ二つになりました。

 

「……ふぇおどーる、すごいね」

「……すごかったね」

「びっくりしちゃったよ」

「ぼくも、びっくりした」

「「ハハハハ」」


 ……人は、驚きすぎると声を失い、後に笑うしかないようです。

 

 フェオドールが発動した『ウィンドカッター』は、私が手本に発動したものより、高威力でした。

 『攻略対象者』を、強化するという目標は、一先ず達成でしょうか?


 ◇ ◇ ◇


 日が傾いた後、二人で「「たのしかったね~」」と、ニコニコしながら、訓練所を後にしました。


 父様や母様に、コッテリ叱られる未来を、スッポリ忘れて……。

  

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