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迷宮都市ヤマト

 そんなこんなで僕らは一ヶ月以上を過ごしたリンバスを後にした。

 町を出たところでニーコも合流し、図らずも一般的といわれる四人パーティになった僕らは、リンバスより南西にある『迷宮都市ヤマト』にたどり着き、予行演習も兼ねて入った小ダンジョンで散々な目に遭いながらどうにか脱出して今に至る。


「ぴぇー、お空がきれい……」


「ニーコ、大丈夫? ケガはない?」


「ないけどつかれたー……。トッシーさんおんぶー」


「はいはい」


 ちなみに、ニーコが一緒に来てくれたことについては深い理由はない。

 スズが町を出てゆくのを風の加護で察知して、

「スズちゃんがいくならニーコもいく!」

でついてきた、それだけ。危ないからダメと言ってみても、何日も上空を旋回されたらもう仕方ない。


「ニーコがいてくれて助かりました。あれだけのスケルトンファイターを足止めするのは困難でしたから」


「スズちゃん、ケガしてる!」


「ああ、右腕ですか。かすり傷ですよ」


「油断は禁物だ。妙な病気で死なれても困るから応急処置をしよう」


「いえ、そんな」


「そうかい? なら毒や病気に侵された腕を半分の痛みで切り落とす術機巧(パターンド)もあるから、万一の時は任せてくれ」


「……申し訳ありません、手当て願います」


「はいよ」


 スズの手当ても兼ねて休憩をとることにし、地面にどさりと腰を下ろす。


 このダンジョンの入口付近は草地になっており、人も魔物も少ないので危険は無い。走り疲れた身体を青草の上に投げ出すと、頬を撫でる風が心地良い。


「でも、こんな調子で攻略できるのかな……」


 このダンジョンはあくまで予行。獣化症候群の治療法が待つダンジョンはここより遥かに深く過酷だ。残された時間だって多くない。

 それを思うと不安が増してくるけど、隣で膏薬を擦り込まれてる仲間たちは意気軒昂だ。


「組んだばかりのパーティなんてこんなものさ。これから連携ができるようになれば自然と戦力は上がるよ」


「クニー殿の言う通り、今はまだ不慣れなだけです。クラトス殿の采配があれば、けして不可能ではありません」


「うん、ありがとう。スズにとっては想い入れもあるダンジョンだもんね。絶対攻略しよう」


「ええ、目的の地は我が家にとっても因縁深き場所。ぜひともクラトス殿と踏破したく」


 迷宮都市ヤマト。

 大英雄ヤマト・クゼハラの名を冠するこの街は、彼が名を上げたダンジョンに寄り添うように建てられている。多くの小ダンジョンをも有する土地だけど、それらの中心にして頂点とされる大迷宮は数百年前から変わらない。


 その名は、『暁光の迷宮』。魔導具『祝福されし呪針(パドジナミア)』の眠る場所。

『暁光の迷宮』についてはプロローグ参照

スズのご先祖様が初めて攻略したとされる難関迷宮です。攻略したのになんでそんなレアアイテムが眠ってるのかはまた後ほど。

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