第一部 ヴィリアーズ王国騎士学校
今日もまた一日が始まる、しかしそれは僕にとっては重要かつこれからの3年間を左右する一日の始まりだ。
はじめは誰しも緊張してる、それは、自分も例外ではなかった。
しかし、それと同じく希望もいだいていた。祖国を守ると誓ったその日からこの学校に入ることを待ち望みにしていたんだ。
不安と希望がごちゃ混ぜになった奇妙な感覚のなか、制服に身を包みいつも見る階段を一歩ずつおりる。
「おはようさん!」
誰にするでもない朝の挨拶をいつものようにする。
一番に帰ってきた返事は、挨拶と呼べるような代物ではなく妹の
「ん~・・・。」という声だった。
「あら、リアム。今日は一人でおきれたのね。ほら、座りながら寝ちゃダメよ。エリー。ちゃんとおきて」
家は決して裕福とは言えず、母は何とか2人を養おうと毎日毎日はたらいていた。
それでも高級貴族の家庭にも劣らないほど幸せだった。
「あ、あたりまえだろ母さん。なんせ俺は、今日から王国に使える身だよ?明日から本気出すってきのう言っただろ?!!」
「・・・そんな事いって、昨日までぐーたら生活してた人が今日からなんてできるわけないじゃない・・・馬鹿なの?・・・」
妹の軽口も清清しくきこえ・・・きこえる?
ま、まぁ今日というひ日に免じて許してやろう。
ようやく椅子にすわるとすでに用意されていた朝食に手を付けた。
そとから紙のがさがさという音が聞こえる。新聞の風にゆられる音。
毎朝のように聞く音に安堵し、母が新聞を取りにいく。
何故だかいつものこの光景がすごく居心地よく安心できた。
しかし、この平穏な朝とは似つかない事が母の口から出た。
「あら、王国騎士のサミュエル様が殺されたんですって。怖いわねぇ・・・。母さん貴方が危ない目にあわないか心配だわ。」
「こいつに狙われるような実力ないから大丈夫でしょ。」
「余計なお世話だ。絶対強くなってお前を屈服させてやるからな!」
「妹屈服させたいだなんてシスコン以外の何物でもないわ。キモいからくたばって。」
「今日からおにいちゃん居なくなって寂しいっていってきてもしらねぇからな!」
「はいはい・・・」
こんな会話を終え朝食を食べ終わる頃には時計が始業の30分前を指していた。
今日事態に授業はないが、寮への引越し、教科書、王立兵士の証である軍刀などの引渡しなどやることは山積みだった。
家が近いからといって学校の送迎が必要かという申し出を断った自分を恨んだ。
いまから走っていけば間に合う、そういって家を出たとき、
「最近は、トマトも食べてくれてうれしいわ。」
という母の声が聞こえた。
子供扱いされた気がしてすこし気が立ったがそれどころではなかった。
学校に着いた頃には時計が始業の10分前だったことに胸をなでおろす。
「荷物は送っておいたから・・・えっと・・・部屋の番号が01008か・・・おっ、ずいぶんといい部屋だな王国ってずいぶん裕福なもんだな。」
部屋に自分の荷物があることを確認し自分のルームメイトが居ないことに気づく。
もしかしてっ・・・女の子なんじゃ・・・、そんなことを考えてるうちにドアが音を鳴らした。
それほど間を空けず
「あぁ、君がルームメイトかい?よろしく。」
っというさわやかなそうな青年からの声が耳に入った。
青年は、家柄に恵まれているということが一目瞭然であり、動きもどことなく優雅さを漂わせていた。
そんなわけないとわかっていつつ期待した自分にがっかりしているリアムを尻目に青年は再び口を開き。
「自己紹介が遅れたね。私はヘンリー・フィッツロイ。フィッツロイ家の第7伯爵にあたる。お見知りおきを。」
「俺はセシル・リアムだ。どうぞよろしく。」
「あぁ、君が。まぁこれから長い間同じ部屋で過ごすことになるね。よろしくおねがいするよ。」
彼は、少し苦いものでも噛み潰したような笑顔で話したが
彼との自己紹介の終わりと同時に放送で、声からしてその性格が気難しいのだとわかる女性が話し始め
リアムがそれに気づくことはなかった。
「現時刻から10分以内に各科ごとに教室に集合するように。各科ごとに説明と軍刀の授与を行う。以上。」
「聞いたか?軍刀だってよ。ほんとに王国兵って実感わいてきたな。そういえばヘンリーは、どこの所属なんだ?」
「私かい?私は、王室護衛科だよ。父が王室護衛官でね。私も半場無理やりこの科に入れられたよ。」
「なーんだ同じ科じゃないか。さっさといこうぜ、教室にいかないと何されるか・・・」
「・・・そうか、君も同じ科なんだね・・・。」
「ん?なにかいったか?」
「なんでもないよ。さぁ、行こうか。」
彼のなんとも言いがたい表情はリアムも気づいていたがそれが何を表しているのかは皆目検討もつかなかった。
教室に着き以前届いた軍所属ナンバーのとおりに席に着く。
間に合ったことに安堵したとき、隣から方を2回たたかれる感官があった。
振り向くとそこにはミルクティーのような綺麗な髪の色をしたショートカットの女の子がこちらに興味津々の眼差しをおくっていた。
「ねぇねぇ。きみってリアム君だよね。へー、こんな顔なんだ。」
「え。そうだけど、なんで。あ、もしかして俺って結構有名?まぁイケメンだしー?。」
「う、うん。えっと好きな食べ物は・・・?」
「え、えっとラザニア。ってスルーかよ!?というかなんで君の名前も知らないのに好きな食べ物まで教えなきゃいけないんだ!!」
「おっと、そうだった。僕はアリス・ヴィリアーズ。もう君の名前は知ってるから言わなくていいよ!」
「俺は、セシッっておいっ!?」
「ははは、君はおもしろいね。おっと先生が来たようだ」
前を向くと背丈が小さく、あまあましい顔が目に入った。
あー、これは優しい先生だ。このクラスでよかった。そう思った時、教師が口を開いた。
「私の名はカミラ・キャンベルだ。以後私の私の前ではサーキャンベルと呼ぶように。
それでは今から教科書を配布していく、呼ばれたら私に聞こえるように返事をしてすぐさまこちらに来るように。
その後すみやかに、自らの席にもどれ」
彼女の声を聞いたときリアムはあの放送の声の主だという事に気が付いた。
「これがギャップ萌えってやつなのか・・・?普通逆なんじゃ・・・」
彼女が生徒の名前をすべて呼び終わったあと、不足などがないかの確認を行う。
「よし、全員確認がとれたようだな。次に軍刀を授与する。
この刀は使用しているうちに各個人固有の刀へと変化する。騎士の素質があるの者は必ず変化するはずだ。」
軍刀を配られるとすぐに変化する者。しないもの。がそれぞれいた。
リアムにそれがなかった。
すこしすると自己紹介が始まり、すぐに自分の番がきた。
「セシル・リアムです。どうぞよろしくおねがいします。」
教室がすこしざわめくのを感じながらリアムは自己紹介をおえた。
となりからは、アリスがブラボーブラボー。っと声援をおくっていた。
リアムはほかのものの名前など興味もなく、ただただ黙って見ていたが
一際目を引くものがひとつだけあった。
「クレア・ベアリングです。趣味はマジックをすることかしら。うふふ。」
そういった彼女は、黒髪に赤い目の笑顔の美しい少女で
たったそれだけの言葉がリアムの心をつかみ、リアムになにか感じさせつものを植えつけた
彼女が席に戻るとき、目が合い彼女はその誰もがうらやむ笑顔をこちらに見せた。
ホームルームが終わり、自室に戻ろうとするリアムに彼女は、なにか恥ずかしそうに顔を赤くして話しかける。
「はじめまして、なんだか貴方とお話したい気分だわ。少しお話できないかしら」
「あぁ、いいとも」
校内のテラスにでた一組の男女はなにを話すでもなく。
ただただそこにいた。
彼女が口を開く。
「ねぇ・・・あの子が王女様ってことはしってる?」
「あの子?誰のことだ?」
「アリスさんよ。あきれた何も知らないで話しかけていたのね。」
「俺にとっては王女も貴族もたいして変わりないよ」
リアムはただただ笑って見せた。
そういうと彼女は、あぁ。となにかわかったような表情をし、
「そう、あなたは・・・。まぁいいわ。明日から授業よ。遅れないようにネ。」
そういって帰っていく彼女を背に男子寮へと戻っていく。
部屋に着くと既に帰ってきていたヘンリーが自分の持ち物の整理をしていた。
「ホームルームおつかれさま。明日から授業だ。今日は早めに寝よう。」
「そうだな。俺もすこし整理したら寝るよ。」
そういって彼は、この学校での始めての1日を終えた。
それから、3ヶ月何事もなく学校生活は進んでいった。
はじめての投稿(処女作)というのも合って比較的ひどい文章かもしれませんが
どうぞ暖かい目でみてください