不良な三話目
一人称練習してみてる。嫌だったら言ってね。それと一人称にするならとサブタイトルは変えてみた。
後、これは全くの雑談だけど、お昼に食べたホワ○トロリータってお菓子がとても美味しかった。
ホワイト○リータペロペ………うん、ごめんなさい。
クソッ!こんな不快なまま出掛けることになんだったら、アルバムなんて見るモンじゃ無かった!!
つか、何で俺が妻ァ!?普通逆だろ!……ってアイツも男だっつーのォォォォ!!!
多分だが、ただでさえ悪い俺の目付きがイライラで更に悪くなっている。
また、走るために力強く地面を蹴り出す俺の長い足もキレが増しているようにも見える。
「あ゛ァ!?これから姉貴ン所行くってのにこの体たらく!。自分の事ながら腹立たしい…!!」
すれ違った男、女、男子、女子、幼児、幼女、赤子。全員俺の顔を見て、顔を蒼白にしたり泣き出したりしている。あぁマジ最悪…、さっさと姉貴のお見舞いして帰ろ。
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病院に入ると人目につかないよう、かなり急いでエレベーターに乗り込み姉貴が入院している部屋のある階層のボタンを押す。
姉貴に会うのだからとしかめっ面をぐにぐにといじくり回しながら、笑みを浮かべた顔を頑張って作っている。
毎度の事ながらドキドキと心臓が高鳴り、緊張して動きが固い。俺は太股をつねって自分に活を入れると、部屋の扉をノックして入った。
中は電気が点いてないため、外の太陽の光が光源になっていて少し薄暗い部屋だ。
そんな部屋のベットの中で小動物が怯えているようにして縮こまっている人影があった。それが俺の姉貴、朱導 響香である。
「あ、また来てくれたの?いつもありがとう」
被っていた布団から俺の姿を見て、安心したように微笑みながら布団からのそりと出てくる。
「別に気にしなくて良いよ。それよりまだダメみたい?」
「うん。どうしても男の人を前にすると、目の前が真っ白になって気を失っちゃうんだよね…。ははは…」
姉が入院している理由はこれだ。男性恐怖症。
俺が中二の時に、4.5人の大学生位のチンピラから性的暴力を受けて、それ以来ずっと男性恐怖症だ。
そのショックで家族構成とかの親密な関係は漠然と記憶にあるが、自分に関係ある男の名前や姿を綺麗さっぱり忘れたらしい。
なら俺は何で姉貴と話せてるかってゆーと、
「莉有ちゃんも男の人には気を付けてね?莉有ちゃんは可愛いから!」
「う、うん。分かったよお姉ちゃん、気を付けるよ」
端的に言って女装だ。わざわざ講師を雇ってまで努力して女装した。姉貴とコミュニケーションをとるために。
そのために細く、それでいて強いネコ科の筋肉を目標に鍛え直したりもした。
メイクも道具もしっかりと一式揃えて、女子と語れるレベルで内容も調べたりもした。
服もそうだ。恥を忍んで自らレディース服売り場に赴き、1着1着選んだ。
そして漠然と記憶にある家族構成を利用し、姉貴の記憶から朱導龍之介を消して、弟ではなく妹の朱導 莉有と言う身長185㎝の長身な女子として姉貴と話せている。
「それより聞いてよお姉ちゃん!実は………
それから一時間位話していた。やはり一日のガス抜きには丁度いいと思う。
「じゃあそろそろ帰るね?次は頑張ってね!」
「うん!お姉ちゃんは頑張るよ!」
帰りの挨拶をしたあと、すぐに部屋からでてとぼとぼと歩く。
女装して話していると、どうしても騙しているような気分になる。この気分は姉貴にありのままの自分をさらけ出すまで晴れることは無いと思う。
俺は、姉貴が男性恐怖症になってから何回目になるか分からない祈りを捧げながら、メイクを落とし、着替えるため障害者用トイレに入った。
…………やっぱ女装は恥ずかしいわ。