普通な二話目
テレビで去勢手術の事をやってたんだ。僕、それ、受けたい。あ、ゲイ的な意味でなくケモナーを極める為に。
放課後。生徒達は荷物を纏め、何時ものグループで集まり遊びの約束をして帰る。
しかし今日は転校生が居る。そうなれば皆で集まり歓迎会を開くものだろう。
現にコミュ力の高いグループはクラスメイト全員に、いや朱導を除くクラスメイトに誘いの言葉を告げていた。
それを朱導は忌々しそうな、恨めしい様な感情のこもった視線を飛ばしていた。
そんな朱導の前にまたまたいた光國に話しかけるため、朱導の存在に怯えながら近づいてきた。
「み、光國君?どうだい?これから皆で君の歓迎会を開こうと思うんだけど、用事とかでこれないと言うことはあるかい?」
光國は困ったような顔で朱導の方に向く。それを見た朱導は邪魔者を適当に追い払う様にして手を振った。
そんな態度で適当に返された光國は苦笑しながら
「ありがとうね。それじゃあ皆が開いてくれるっていう僕の歓迎会に参加するよ。」
その返事を聞いてすぐに、彼はその場から立ち去った。余程朱導が怖いらしい。その様子に二度目の苦笑を漏らした。
そして光國が話を朱導と話をしようと朱導の席に目を向けると、そこには荷物も誰も居ない席だけがあった。
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朱導は家に帰るとすぐに私服に着替えた。黒い長袖のシャツにベージュの薄手のコートを羽織り、紺色のボトムスを履いている。
着替えていると不意に昔のアルバムが目に入った。それを見て光國が『婚約だってしたんだよっ!』と言ったのを思い出した。
朱導は馬鹿馬鹿しいと思いながらも、少しアルバムを見ることにした。
そのアルバムには、0歳~2歳までは自分と家族だけが写った写真だったが、3歳から周りの風景と共に、家族以外とも写った写真が出始めた。
「!!!!!」
大体4歳位の時の写真に、満面の笑みを浮かべて写真に写っている自分の服の裾を引っ張って、ぎこちない笑みを見せる白髪の子供がいた。
次の写真も、次の写真も、次も、次も、次も、どれにも白髪の子供が写っていた。
朱導は顔をひきつらせながら、ページをめくっていく。
すると小五の辺りから白髪の子供が写らなくなった。光國は小五から留学していたと言っていたから時期的には合っている。
他に白髪の子供が写ってないかと、パラパラと早くめくる。終盤に指し当たった辺りでハラリと紙が落ちた。
朱導はそれを拾って内容を見た。そこにはクレヨンで書かれた汚いひらがなで、
『 こんやくしょーめいしょ おっと みつくにりくや つま すどうりゅうのすけ(この文字は無理矢理書かされたような筆跡だった) ぼくたちは15さいになったときにけっこんすることをちかいます 』
「は?はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
朱導は大声を思いっきり悲痛な声で上げた。