New月曜日(五年後)
「翔介さん!朝ごはん出来たよ!」
真央の俺を呼ぶ声。
俺は仕事部屋を出て真央の待つリビングにむかった。部屋に近づくにつれて味噌汁のいい匂いがした。
相変わらず真央は朝ごはんと夜ごはん、それから出勤時の俺の弁当を作ってくれている。
「いい匂いだな」
「そりゃあね!俺が作ったんだもん!」
褒めると得意げに胸を張る真央。こんな冗談を言えるくらい俺と真央の距離は縮まっていた。
あれからもう五年もたっていれば当たり前か。
成長期ゆえに真央の成長は素晴らしく身長も伸びれば見た目もすっかり大人っぽくなっていた。
「翔介さん美味しい?」
「うん、うまいよ」
心配そうに覗きこんでくる表情は変わっていないか。声は低く男のものになっているが。
「翔介さん?俺の顔になんかついてる?」
「いや、ガキの頃はもうちょい可愛げがあったんだがな、大きくなっちまって」
冗談で返せばえっと困ったような表情になってしまう。1言1言にいい反応を返してくる真央。
俺にとって真央は本当の子供だった。
「あ!翔介さん!時間」
話しを変えるように真央がいう。確かにゆっくりしすぎたか俺はごちそうさまと手を合わせて服を着替え準備を整えると玄関に向かった。真央もうしろからバタバタとついてくる。これも変わってないか。
「いってきます」
「いってらっしゃい」