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金曜日

リビングに俺と真央はいた。

真央は居心地の悪そうにモゾモゾしている

落ち着かないのだろう、気持ちはわかる

なんせ知らない男と2人きり

二時間も黙ったままなのだから


「真央、さ」

「は、はいぃ!?」

声が裏返っている。俺は思わず吹きだしてしまった。

「そんな驚くなよ。まぁ、いいや。話っていうのはさ、お前。言ってみろよ思ってること」

「思ってること、ですか?…えーと、あ、俺なんか預ってくださってありがとうございます!」

ダメだ。やっぱり普通に言ってもこの言葉しか帰ってこないだろう。

「ちげーよ、あのさ。親戚にたらい回しにされるってな気分だ?今の気持ちはよ」

我ながらひどい言い方だと思う

一瞬、固まったが真央はまたすぐにあの作り笑いをした。

「仕方ないと思います。少しでも家においてもらえて嬉しいですから」


なんでだ。何でこんな小さい子が自分を殺していい子を演じないといけない。


「俺は、嫌だったよ。小さい子頃、親に捨てられて施設に入れられてすっげー嫌だった」

「え?」

「嫌だったから出た。ひとり立ちできるくらいになった時にさ。ためこんでたぶん吐き出したんだ」


俺の話にかなり興味ありげに耳を傾けてくる真央。やっぱり思うことがあるんだろう


「俺、」

お、引き出せたか

「俺も、嫌です。親が二人共いなくなっちゃってどうしたらいいか戸惑ってる時に知らないところで回されて。いつも1人で泣いてた、ほんとは笑えないんです、俺。辛くてっ…」

俺が張り付いた笑顔の仮面の下から引き出したのは普通の子供の泣き顔と本音。

「うん、よく頑張ったよお前は」

涙をこぼす真央を胸に抱きしめる


「明日、仕事休みだしどっか行くか」


金曜日のこと



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