第15話 灰石の穴と新人たちの門出
南方丘陵地帯は、街から半日ほど馬車で揺られた先にある。
緩やかな丘がいくつも重なり、草地の合間に灰色の岩肌が露出している。
その一つに、ぽっかりと口を開けた洞穴──それが、今回の目的地だった。
「……あれが、“灰石の穴”」
ハヤトは、喉の奥がきゅっと鳴るのを感じた。
遠目に見ても分かる、不自然な暗さ。
昼間だというのに、入口から先は墨を流したような影がたまっている。
「思ったより、でかいね」
リアナが肩に荷物を担いだまま、穴を見上げる。
「“穴”っていうから、もっとモグラの巣みたいなの想像してた」
「第一階層は、そんなに広くないはずよ」
セレスが地図を広げる。
「入口から下り坂を抜けると、ほぼ一本道。
ただし、分岐と行き止まりがいくつかあって、罠の疑いがある場所もある」
「その“罠の疑い”を、ハヤト君が探すわけですね」
ミナが、少し心配そうにハヤトを見た。
「無理しないでくださいね。変な違和感があったら、すぐ言ってください」
「はい。むしろ、ちょっとでも変な感じしたら止めるつもりです」
『そうじゃ。
“嫌な感じ”は、経験が積もるほど頼れる指標になる』
『事実じゃからの』




