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入学 上

 私は今、月輪学園へ向かう馬車で奈留とともに揺られている。

 今日は月輪学園の入学式兼寮入りの日だ。

 私が月輪学園に入学しようと思った理由は二つ。

 一つは強くなりたかったから。

 葵や家族を守るためには、絶対的でとても純粋な強さが必要だ。

 そのために、国の最高戦力とされている魔術師たちを輩出しているこの学園に入学しようと思ったのだ。

 もう一つの理由は侍女の奈留にある。

 奈瑠は妹さんを“とある感染症”によって亡くしている。

 その感染症の感染者の血液を採取し、とあるルートで手に入れた“アトミック(原子)薬”という薬を使い、調査を進めている。

 アトミック薬とは、一滴かけると何の作用が働いているのか色の変化で分かる薬だ。

 アトミック薬に血液をかけたところ、とても懐かしいような魔法反応があり、その魔法回路を辿ろうとすると私の体に染み付いている炎の魔法因子が反発し、辿ることができなかった。

 そして、屋敷にある器具や薬剤、何よりも他の魔法属性が足りなかった。

 南のフォーラス王国や西のエターナル王国、北のアビス帝国にはまだこの不知火皇国で研究が進められていない未知の魔法があるのだ。

 その魔法が感染症の原因ならば、他国との繋がりや今の魔術師たちの魔法因子を調べる必要があるし、そのことについて詳しく学ぶ必要があるのだ。

 きっと私の言った言葉も行動も信じてくれた奈瑠。

 そんな奈瑠を苦しめた、奈留を絶望の淵に追い詰めた、魔術師を許さない。

 私は葵や奈留や家族を守りたい。

 共に戦うと誓ったが、これは単なる私情で葵を巻き込んではいけない。傷つけてしまってはいけない。

 だから、これに関しては一人で解決することができるように、この学校に通うのだ。

 馬車の窓から外を見ると、月輪学園の立派な校舎が見えた。

 そして雪の結晶の家紋が掘られた馬車が止まっている。

 葵の生家・氷室家の馬車だ。

 私が乗っている馬車の扉が開くと、葵が扉の前に来てくれた。

「おはよう、神楽。今日からだな。」

「ええ、おはよう。ついに入学ね。作戦通りにね。」

「おう。」

 馬車から下りる私に手を貸し、エスコートしてくれる葵。

 校舎に入るなり、多方位から魔力のこもった槍が飛んでくる。

 私と葵は、これを“想定内”と判断した。

「葵、フォーメーションD!障害物コースよ!」

「承知!出来るだけ物を壊すなよ。」

「葵は私をなんだと思っているの?!」

 そうして、私と葵の学園生活が始まるのだった…。

れもんです。

久しぶりの投稿です…。

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