遠い昔のお伽噺 上
昔々、あるところに輝く銀髪の髪を持つとても綺麗なお姫様がおりました。
そしてお姫様は双子でした。
双子の妹は金髪の珍しい魔法を持つ少女で、王様やお妃様からとても愛されて、名を逸華といいました。
それに比べて、少女は魔法も使うことができず、その国で忌み嫌われる色の銀色が髪色だったので、
王宮ではなく、離である象牙の塔の最上階に幽閉されていました。
この国・火影王国では、国のために他国へ嫁ぐ花嫁と、この国を魔法で支える巫女を選ぶことが習わしでした。
他国へ嫁ぐ花嫁は魔法の力は必要とせず、子供を産むための道具として影で扱われていました。
ですが、巫女はこの国を維持するためにとても強い魔力をもっている必要性があり、時に王よりも強い権力を持ちました。
なので、初めは他国へと嫁ぐのは少女で、巫女は逸華だと当時の巫女は予言していました。
ですが、国の代表者が集まっての舞踏会の日。
この舞踏会の日に少女が嫁ぐ国の王子に逸華が出会ったのです。
逸華は王子を一目見るなり恋に落ちました。王子も逸華に恋に落ちたのです。
逸華に甘い王様は逸華を他国へ嫁ぐ花嫁にしました。
これで必然的に巫女は少女…とはなりませんでした。当時の巫女をそのまま巫女にしようとしたのです。
それに反発し、象牙の塔の周りをうろついていた不審者さながらの女がいました。
「最上階に入れるなんて本当に頭の回らない奴らね。私達だったら最上階まで飛べるのに…っと。」
なんと、女は地面をとよく踏み込むと象牙の塔の最上階の窓まで飛んで、中にいるはずの少女に声を掛けました。
「ねえ、ここに輪廻って子いる?」
女は目を見開きました。
なぜなら目の前に横たわっている少女は、それはそれはひどいものだったからです。
頬はこけ、息も絶えそうなほど小さく、前に会った時の輝かしい銀髪も色褪せて伸び放題。
女の幼少期に重なってしまい、女の逆鱗に触れたのです。
女は至って冷静でした。けれど、その青い瞳の中には確かな怒りが灯っていました。
女は宮殿へ向かうと門番と一睨みして奥へと進んでいきました。
王がいつも公務の間である昼間はいる客間へと足を踏み入れた。
「ご機嫌麗しゅう、陛下。」
「…何で此処にいる?ホノ。」
「私が通るときには皆さん、道を開けてくださったのです。歓迎されているのものかと…。」
少し厭味ったらしく微笑むと王は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「では、本題に入らせていただきます。象牙の塔の王女殿下のことです。」
「輪廻がどうかしたのか。」
「私、いえ私たちに育てさせてくださいな。」
王は眉をピクッと動かし、女…ホノを下から睨めつけるように目を見ました。
「魔力がないのでしょう?それでしたら今の宮中には言ってしまえば不必要じゃありませんか。だから
私たちで他国へ出しても良いように育てるのです。どうでしょう。」
王は少し目を伏せて考えホノに問うた。
「もし、お前に輪廻を渡さなかったらどうするつもりか。」
「それは、そうですねえ。」
ホノは顔を伏せて、瞳の中を黒く染めて微笑みをたたえて顔を上げた。
「その時は、違う国に私たちはつきましょうか。」
当時、火影王国は水明帝国と敵対し何度も激しい戦争を起こしていました。
そのたびに、ホノたち最恐の魔術師が火影王国の味方をしていたから勝てていたのです。
これからもし起きるかもしれない戦争で、ホノたちが水明帝国についてしまえば火影王国には勝ち目がない、そう、王は考えました。
そして、王はとうとう輪廻を育てる許可をホノに出したのでした。




