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第2話 迷いの森のレクリエーション

 十分後レクリエーションが始まりグラン達は一斉に森の中へ入っていった。だがその瞬間何か違和感を感じた。クラスメイト全員一斉に森の中へ入ったはずなのに周りに誰もいないのだ。


「さて、何人が時間以内に戻ってこれるか・・・楽しみですね」


 ハドラーは笑みを浮かべクラス名簿を眺めていた。


「メリアどこだ、いたら返事してくれ!」


 辺りを見回してもあるのは木々と生い茂った草ばかりだ。いったいどこへ行ってしまったんだ。グランはメリアとマリナローズを探しながら森を歩いていく。景色の変わらない森の中を歩いていると本当に前に進んでいるのかわからなくなってくる。


「いったいいつになったら広い場所まで出られるんだ・・・ってかこの花三回くらい見たぞ・・・まさか」


 異変に気付きグランはおもむろに剣を抜き足元に咲いている花を切り刻んだ。するとグランの周りにあった木が数本消えた。


「やっぱり幻覚を見せる花が咲いてたのか」


 グランは剣をおさめ再びメリアとマリナローズを探し歩き始めた。森の奥へ進むほど魔獣の遭遇率が上がってきた。マリナローズが咲いている場所が近いということだろう。だがまだメリアは見つけれていない。


「ふーう、この辺りの魔獣は借りつくしたかな。ん?誰だそこにいるのは」


 茂みの奥からゆっくり誰かが近づいてくる。グランは警戒するように権を握った。だが茂みから出てきた人物を見た瞬間その警戒はすぐに解かれた。


「エルド!?お前なんでここにいるんだ」

「お前と同じ学園同じクラスなんだ、いるのは当然だろ」

「同じく学園だったなら最初に会ったときにそう言えよな」


 エルドと再会したその時、近くで助けを求める悲鳴が聞こえてきた。

 グランとエルドは悲鳴の聞こえた場所まで走るとそこにはのクマ型の魔獣

 グリズブロードに追い詰められているメリアがいた。使い魔のリィナは必死に

 グリズブロードに対して炎魔法を打ち込んでいるがそう長く持たないだろう。


「エルド、あの女の子を頼む。俺は魔獣を狩る」

「了解」


 エルドはグランの実力を知っているからかすぐに了承しメリアのもとへ駆けだした。それと同時にグランは剣を抜きグリズブロードの懐まで一瞬で移動し腹を切りつけリィナを抱えてエルドとメリアがいる場所まで下がった。


「メリア戦えるか?」

「うん、戦える。でも私、リィナとの契約で支援系の魔法しか使えないの」

「そうか、でも今はそれで十分だ。三人であの魔獣を倒す」


 グランは剣を握り直しグリズブロード目掛けて駆けだした。グリズブロードの咆哮が森中に響き渡る。

  

「風よ我が刃となれ!【フェルガルナ】」


 グランの隣を走っていたエルドの放った風を操る魔法【フェルガルナ】は無数の風の刃を生み出しグリズブロードを切りつけ動きを鈍らせた。その隙を突きグランは一気にグリズブロードの目の前まで飛び上がったがそれに合わせてグリズブロードの右ストレートが飛んできた。


(やべぇ空中じゃ避けられねぇ)


「彼者を守り賜え【グラスライトシールド】」


 間一髪のところでメリアの支援魔法【グラスライトシールド】が間に合いグランの目の前に光の壁が現れグリズブロードの攻撃を防いだ。そのおかげでグランの剣はグリズブロードの心臓を貫き倒すことに成功した。


「こいつやっぱりマリナローズを守ってたのか」


 倒れたグリズブロードの後ろにマリナローズが五本咲いていた。


「これを持って帰ればいいんだな」


 グランはそこに咲いていたマリナローズをすべて採った。


「マリナローズも採ったしそろそろスタート地点まで戻らないとな」

「そうだな急がないと後十分もないぞ」

「まじかよ急がねぇと!ってか俺たちどこから来たんだ」


 思い返せばこの森に入ってから幻覚を見せられていて自分たちがとこから来たのかわからなくなっていた。するとメリアに傷を癒してもらったリィナが歩きだしてこちらに振り向き「なおーん」とひと鳴きした。


「ついて行ってみるか」


 三人はリィナを信じついて行った。歩き始めてから約二分でスタート地点まで帰ることができた。


「こんなに近かったのか」

「私たち以外にももう帰ってきてる人達がいる」


 そこには時間内にマリナローズを採って帰ってきたクラスメイト数人が待っていた。

 そして一時間が経ちレクリエーションが終わりクラスメイト全員がスタート地点へ帰ってきた。時間内にマリナローズを持って帰った人数はグラン達三人を入れて十人だけだった。他のクラスメイト達はマリナローズを巡って争っていたのかボロボロになって帰ってきた。マリナローズはハドラーが回収した。


「なぁ、このクラスって三十人居たはずだよな。四人足りなく無いか」

「何言ってんだ元々二十六人だろ」

「そうだよ。このクラスは元々二十六人だよ」


 エルドとメリアはまるで当然の様にそう言った。

 グランはクラスメイトの人数に違和感を感じたが気のせいだと思う事にした。

 レクリエーションが終わり生徒達は各々寮に帰っていった。

 夜。今日一日動き回って疲れっきたグランはベットに入った瞬間眠りにつき夢を見た。また同じ夢を。


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