5.昼の会議(処刑会議)
寝ぼけ眼のまま、目をこするようにして部屋を出ていく。
やる気のない寝巻きのまま、皆がいる教室へ向かった。
「おはよう」と、緊張感の無い寝起きの姿で僕は皆に挨拶をする。
「人吉君、遅いよ!!
君のパーティの佐々木君はすでにきてるんだし、大事な会議なんだよ」と、小西から注意を受けた。
「へい、へい。
あぁ眠い……」と、寝起きのローテンションのまま僕は返事を返した。
「テメェ、調子に乗ってるんじゃねえぞ!!」と、名取と巻島が食ってかかてきた。
「処刑も起きない、襲撃も起きないんなら昼の会議なんか無駄なんじゃねーの?
ウチらの必要な案件は昨日のうちに片付けてるし、人の手柄や上前も奪うような連中と話し合いする価値あるのか?」
昨日の武器の件で、僕としては譲ったという旨をハッキリさせておかないと気が済まない、内心ムカついているしな。
そんなやつに自治厨やられたら、こちとら怒髪天ってヤツですわ……。
「へぇ……。 人吉君は、昨日の件を根に持ってるみたいだね。
わかったよ。
それなら、僕達のパーティと君達のパーティは探索班の収益を自分達で管理できるようにしようじゃないか」
「へぇ、そりゃいいや!!
市民班に対しては、僕達はいくら渡せば良いんだ?」
「それは、君達の裁量に任せるよ」
「オーケー!! それで今回の件、条件をのもう」
とりあえず、先日の探索の結果と気づいた点について情報を落としても良かったが、かなり険悪な状態なのでこちらとしても、小西達を相手するのは面倒なので情報を落とさず。
鍛冶屋にたいしては、今後……失敗作は絶対に渡すなとだけ釘を刺した。
この日に、【占い師】二人が告白した。
一人目は女占い師の山下さんで、二人目が女占い師の野瀬さんだ……二人とも女占い師でよかった。
占い師同士の相談するために、男と山下さんが同じ部屋で……密談とか想像するだけでも気分がいいものではないしね。
一回目の占い結果は【勇者】の小西が白(市民)。
(初日の占い師がわかった際に、結果が表示された)
二回目の占い結果は【魔法使い】の御影が白(市民)。
小西・御影の二人を信じるために、役職の騙りじゃないのを確認するために役職持ちだが占ったとの事。
探索班の名取、巻島、人吉、佐々木の4名が役職なしでも……探索できている為念の為調べたと理由を言っていた。
人狼仲間の彩子は相変わらず、人狼としてばれるのを恐れて俯いているようだった。
2回目の昼の会議が終了し、処刑者はでなかった。
人狼会議の前に、佐々木の部屋で軽く翌日の打ち合わせを行った。
とりあえず、明日の探索からは戦闘はリアルバトルタイプではなくゲーム形式に切り替えて探索を進める予定だ。
小西達が探索を進めている3Fまでは、到達しようと言うのを目標にした。
「しっかし、拓郎の愛しの山下さんが占い師だったな。
今日の態度が悪過ぎて、拓郎が占われたりして」と、佐々木が冗談を言ってきた。
「おいおい、怖い事言うなよ……」軽く血の気が引きそうな話だが平然と返した。
「拓郎はやっぱり人狼向きだわ。
感情が表情に出ないしな。 まぁ、そう言う時はだいたい裏でドス暗いこと考えてるのは長い付き合いだし、わかってるがな」
「あはは、違いないな。
あっ、そうだった。表情で思い出したよ彩子のヤツ表情がどんどんヤバくなってないか?」
「そう思うんなら、この部屋に来ず。
拓郎は彩子の部屋に行ってやれば良いだろ」
「そんな、色んな意味で疑われるような真似できるかよ」
そんな馬鹿話を終えて、自室での人狼会議が始まった。
当然、今日も襲撃をしないを事を選択した。
最後に彩子が調子悪そうだったので、それを心配して確認をしたが「大丈夫……」とだけ言葉が返ってきた。
その結果、2回目の夜が来たが襲撃は起こらず。
二日目が過ぎたが、死者0人でダンジョン探索に挑むことができる。
そして、二回目の探索が始まった。
夜の時間の襲撃もなく、大広間(教室)に人が集まって騒ぎが起きているわけではなく、初回の探索の稼ぎ程度じゃ施設の追加は無理だし。
探索班に、いや僕達は期待されてなくて、教室に集まってくれる人もいなかったので静かなものだった。
しかも、僕達に至っては別パーティのリーダーに上前をはねられた感じで、ほぼ収益がなかった。
前回の探索と多少違うとすれば、今回の探索はパーティ二人とも初期装備を持てている事と、長期探索を想定して低級のHP回復剤をそれなりに詰め込んできている事くらいだ。
「おはよう!! 」と、僕はパーティの佐々木に声をかけた。
「おそよう!! 拓郎、早くは無いよな。
前回と同様に小西達が1時間位先に出てるし……」
「そ、そっか!! そう言っても、いつ出るとか決めてなかったし……
仕方なくね?」
「うーん…… 一応は、夜に人狼が襲撃するんだからね。
それが気になって、定時に集合するものだけど……全く動じない、拓郎は大物だねぇ」
「いや、いくら小西達でもクラスメイトを殺したりしないだろ?
僕が重役出勤するのは、クラスメイトへの信頼の証と思ってくれ。
そうだろ……佐々木君」と、僕は佐々木にワザと返答しておいた。
「全く、あまり派手に立ち回ると無駄に疑われるから。
程々にしてくれよ……」やれやれって感じに佐々木はその返答に答えてくれた。
「よし、話を戻そう。
今日の予定はどうする? リーダーさんよ!!」
「そうだね……
今回は拓郎が戦力外ってわけでもないし、前回はひたすらスライム倒し続けてレベルも上がってるし。
戦闘スタイルをゲームモードでサクサクと進めていこうと思う」
「おっけー。
スライム位なら、なんとかなるかもが。
ボスモンスターとか怖いモンスター相手なら無駄にプレッシャーかかりそうだし、それで良いと思うよ」
……
…………
いや、そうじゃないかもしれない……
僕達の長所はゲームでは負けない事!!
アイツらと違って、各階を楽しみながら進めるのが僕等の強みだ。
経験値三倍と人狼の役職によるステータス強化、コレを上手く活かすのはリアルタイムバトル形式なのかもしれない。
何かの拍子で小西達が優位になった時に、僕らの長所で自らの身を守れるかもしれない。
それに、初期装備の防具や武器を装備してみてわかった事がある。
武器、防具を装備した場合に重さやそういったものは実感できない。
重要なのは装備できるか、できないかの違いしかなかった。
道中、佐々木から武器を借りて装備してみたが、攻撃の速さは武器の重さや筋力ではなく、全てASPDの値で決定される。
逆に言えば、僕の命でさえこのHPという数字なのだ。
よく言えば戦闘形式がリアルバトル形式といえど、この状況は完全にゲームと然程変わらないと判断して佐々木に前回言った提案を覆した意見を言った。
「佐々木。ちょっと良いか?
さっきの意見だが訂正させてくれ、今の現状はかなり余裕もあるし、【逃亡】も【帰還】も使えるかなり安全なダンジョンだと思うから、戦闘はリアルバトル形式で進まないか?
数を狩るのは定番だが、余裕があるのなら効率を求めるのはゲーマーとして当然じゃないか?」
「うーん、なるほどね拓郎の意見は理解したよ。
たしかに、三日ほどスライム狩りを続けてた割に疲れなかったしな。
拓郎が提案した、その案で行こうか」
「おっけー!!
それじゃ、スライム達とは前回たっぷり遊んだんで、さっくりとクリアして二階へ向かおう」
佐々木は僕の意見に賛同し頷いてくれた。
「よし、ダンジョンへ行こう。
頼んだぜ!! リーダー!!」
「おう!!」と、佐々木が答えた。
それから……
一階の探索を始めたが僕がまともな武器を手にしたことで余裕ができた為、あっさりと一階はクリアできた。
「前回ダメージを与えられずスライム相手に吹っ飛ばされてた奴とは思えない活躍だねー」
と、言って佐々木は僕をからかってきた。
「うっせ!! 後半は普通に素手で倒してたし。
最初だけだろ……まったく」
僕達は軽口を叩きながら、二階へ進む階段を目にしている。
「よし、行こうか。
安全重視で戦闘すること、回復剤はたんまり買い込んでるんだし。
ドンドン使っていこう」
「おっけー!! リーダー」
そして、僕達は二階へと階層を進めた。
6話の投稿は 8/7 17:00 に投稿予定。