4.スライムに敗北
パーティリーダーの佐々木が、ダンジョンへ繋がる扉を開けて僕はそれに追従した。
「さぁ、佐々木。
これからどーすんよ?」
「そうだなぁ……。
とりあえず、何度か戦ってみないことには解らないね。
拓郎の武器が伝説級すぎるし」
佐々木の皮肉に対して、
「クソっ、悪かったな」と、僕は言葉を返すしかできなかった。
「さて、冗談は置いといて……
とりあえず探索始めようや。
小西達は一時間くらい前に出発してるからさ」
「おっけー!!
リーダーの指示に従うゼ!!」
「おっ!!
拓郎、乗ってきたね」
「おうよ!!」と言って、佐々木の持つ剣と僕の武器を軽く当ててやる気を見せた。
しばらく、ダンジョン内を探索すると俗に言うモンスターが目の前に現れた。
ズ、ズ、、ズルー!! と、音を立ててコチラに近いて来た。
ヌメってそうなゼリー状のモンスターと僕らは対峙した。
「へぇ……。
これがこのダンジョンの最弱モンスターのスライムか」
モンスターの上部にモンスターの名前とHPが緑色のバーで表示されていた。
そのせいもあり、戦闘という緊張感は無く良くも悪くもゲームのように錯覚さえした。
「まるで、ゲームだな。
それじゃ、先手はもらうぜぇ佐々木ぃー!!」
スライムに標的を合わせて攻撃をすることにした。
「おい、ちょまっ!!」と、佐々木が静止をかけたが時すでに遅かった。
僕の渾身の一撃の木の棒による攻撃がスライムに命中したが……
ボヨーン!! と木の棒による攻撃をはじき返された。
う、嘘だろ……オイ!! と、考えている間も無く、スライムは僕を標的として飛びかかってきた。
スライムから体当たりを食らい。ドンっ!! ……と、モンスターに突き飛ばされるような感覚に僕は驚いた。
「グハッ!! 最弱モンスターなのに、攻撃は普通に痛えのな」
僕がスライムに対してタゲ持ちしている横から。
「ソォイ!!」と、気合の入った声で佐々木が手に持った武器をスライムに振りおろした。
スライムは一撃で真っ二つに切断され、小さな宝石みたいなものを落とした。
僕は佐々木に対してジト目をして、
「僕は、スライム相手にも活躍できそうにないんだが?
それとゲームっぽい感じはあるけど、結構動く必要があったりしてリアルで体力使いそうな戦闘の仕様なんだが?
コレ、どうなってんの?」
「あぁ、すまんすまん。
まだ【リアルバトル仕様】で戦闘してたわ。
流石にスライム相手に、手こずることはないと思ってな」
「……って、最初からソレを言っておいてくれよ」
「まぁまぁ、落ち着けって。
この階層は、この仕様で十分いけるし。
拓郎がモンスター引きつけてくれれば一撃でいけるから、この階層のモンスター倒して拓郎の装備の代金をとりあえず集めようぜ」
「そ、そうだな……
回避重視でいけば、スライムの攻撃はくらわないだろうから、その案で行こう。
それに、僕が攻撃しても無駄なのは解ったしね」
僕達の初探索は、ひたすらスライムを1階で狩り続けた。
スライム相手にでも、リアルバトル仕様の経験値ボーナスがあるのと二人パーティの為、それなりに経験値とお金を手に入れることができた。
ゲーマー特有の鬼のような粘着狩りが行われた。
休憩なしで一日中狩りをしていたため……それを、正確には3日程だが。
小西による【緊急招集】が行われました。
招集場所:教室(1F)
【佐々木君、人吉君。教室に戻ってきて下さい】
えっ!! 僕達が狩りに集中しすぎた?
「あはは、集中しすぎてやらかしたみたいだね」
「そうだな。
それじゃリーダー【帰還】の指示頼むわ」
「オッケー」と佐々木が言うと、視界が歪んで何時の間にか教室に戻ってきていた。
「あー、ただいま!!」と、僕はとぼけて教室にいたクラスメイト全員に言った。
「「「遅い!!」」」と、クラスメイトの大半から叱責された。
頑張った結果なんだし、そんなに言わないでくれてもいいんじゃないかな? ……等と思ってたら。
「そんな、二人を責めるのはやめようよ。
人吉君も佐々木君もクラスのために探索に出てくれるんだし」
と、山下さんが僕達のフォローをしてくれた。
なんて、優しい子なんだ……。さすが僕のマイヒロイン(予定)!!
山下さんが言うなら仕方ないよなーって流れになった。
しかし、それを許せなかった名取(取り巻きA)が
「こんなにオレ達を待たせて、お前ら何階まで進んだんだよ?」
「「えっ、一階だけど?」」
「ふ、ふざけんなよ。
オマエラ!!」
流石に心外だったので、僕は反論をした。
「いや、名取君。
それはおかしくないか? 元より何日で帰ってくるとは決めてないし。
【緊急招集】のコールがなければ、あと一日でも狩り続けたと思うよ僕達なら」
それに続けて、佐々木が僕の援護に回ってくれた。
「それに、こうなったのも小西達がいい装備全部持って行ったからじゃないか。
なぁ、名取君!!予備の装備だって言って、拓郎の武器まで持っていっただろう」
「わかったよ!! 次は無いからな!!」
……と言って、名取がバツの悪そうな顔をし捨て台詞を残して去っていった。
僕と佐々木は何言ってんだか? みたいなリアクションをした。
「昼の会議と人狼達の夜の会議は明日あるみたいだし。
とりあえず、スライムばかり倒して宝石みたいなアイテムが落ちてたから、コレがお金なんでしょ?」
と言って、佐々木は討伐したスライムのドロップをテーブルに置いた。
「とりあえず、資金はできたと思うから。
鍛冶屋は拓郎の武器作ってくれよな」 ……と、佐々木は鍛冶屋に言ってくれた。
鍛冶屋の金子は親指を立てて意思表示してくれた。
別パーティのリーダー小西が、僕達に近づいてきた。
「君達は、まだ階層を進めてないみたいだし。
新しい武器をもらう権利は僕達のパーティにくれないか?」
「はっ? 何言ってんの?」と、流石に都合よすぎる発言を言う小西に対して僕は食ってかかった。
このままだと、言い争いになると思った佐々木が場をおさめようと発言した。
「いやいや、小西君。
そちらのパーティの名取君のせいで、こちらのパーティが迷惑を受けたんだ。
ソコは理解してくれないかな?」
「それはわかってるが、現状3階まで進んでいる僕達こそが新しい武器を使う権利があるんじゃないか?
そう思わないか? クラスのみんな」
いや、小西達の提案の意味わかんないんだけど……
僕たちの稼いだ稼ぎで作った武器を小西達が使うって話だろ?
「いや、ふざけんなよ!! 僕たちが稼いだ金だろうが」
探索班が初日から言い争いを始めたので、クラス全体がザワつき始めた。
さすがに、これは拙いと思ったので僕は一つ提案を考えた。
いやぁ、ホントウザいな……このイケメンスカし野郎は……!!
コレで反対したら僕が悪者になる流れじゃないか? ……と思ったので僕は小西に提案を持ちかけた。
「それなら、名取君が余分に持っていった装備を僕に返してくれ。
それで新しい武器については納得することにするよ」
佐々木が僕の方を見て、本当にそれでいいのか? ……って感じの表情をしていた。
それを見て僕は手振りで大丈夫と返事しておいた。
小西は、佐々木が持っている同様の剣を僕に差し出してきた。
「コレが君の武器だよ!!」
「そりゃ、どーも!!」半ば納得をしていない、そぶりをしながら武器を受け取った。
今回の探索の後半だが……
スライム狩りだけだと、余裕があり過ぎて現状で行える色々な実験をしていた。
結論から言うと武器が弱すぎただけだった。
戦闘に慣れてきた状態だと(レベルも上がった状態だと)実は素手の方がダメージが通っていたというオチまであった。
魔法こそ、役職補正で覚えれないが僕も佐々木もレベルが上がってステータスが上がったのを体感していた。
なので、普通の武器さえ手に入れば今後の攻略はそれ程苦労しないだろうと予想できていた。
だから、今回は小西達の無茶な条件を飲んで譲歩した形をとった。
連日の探索の疲れからか、自室に帰ると泥のように眠りについた。
そして、その日の夜が過ぎ、目が覚めると昼の会議が開始されるのだった。
5話 は 8/7 12時 投稿予定。