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37.お嬢さん

 僕達はモニターで、御影が拘束されている状況を見続けている。


 彼女はピエロ男が去った後、目を覚ました。

 日本語で現地の人間に対して喚き散らしていた。


 彼女の言葉を理解できないお偉いさんは静かになる薬を医者に注射をさせ、彼女が暴れないよう眠っている間に人柱として橋へと吊るすと計画を立てた。

 そこから、先は建設もあれよあれよと進み二日もせずにロンドン橋は橋としての機能を手に入れた。


 そして、御影はロンドン橋の橋げたに括り付けられた。

 彼女はこのまま、死ぬまで人柱として放置される。


 御影がその事に気づき時刻が刻々と過ぎていった。

 そして、あたりが暗くなって行くと彼女の足元から声が聞こえはじめた。


「お頭、ロンドン橋をブッ壊しにきたら。

 女が吊られてますぜ!!」


「可哀想に、人柱って奴だろ。

 お前ら、あの女を降ろしてやんな」と、お頭と言われていた海賊のボス風の大柄の男が指示を出した。


 海賊の子分たちにより人柱を逃れた、御影は泣きながら子分たちに感謝の言葉を話していた。


「お頭、この女の話してる言葉わかりませんぜ?

 なんか、泣き喚いてますが。なかなかの上玉だぁ、売り払う前にオレらで味見させてもらっていいですかい?」


 ……と、子分の一人が言っている。


「おいおい、俺がお頭だぞ。

 お前らはオレの後に決まってるだろ」と、海賊のお頭は下卑た笑みを御影に向ける。


 この時、御影は人助けの為に助けられたのではないと、御影は悟ってしまい顔色が一気に青くなった。


「お頭の後だと、女が壊れるんですから。

 勘弁してくださいよ!! 俺が見つけたんですし、お願いしますよ!!」


「し、仕方ねーな。

 お前らが、先に楽しんできな」と言って、海賊のお頭は船の中にある自室へと戻っていった。


 その後は子分たちにドレスを破られ、ピエロ男によって男を挑発するような下着をつけている御影の姿がモニターに映し出された。


 そこから先は……

 海賊の子分たちの慰みモノとしていいように扱われた御影だった。

 モニターに映る映像は、生々しく、男達の暴力、御影の悲鳴、女としての地獄がココにあるんだろうなと男の僕にも理解できる程にひどい扱いを受けていた。


 僕の隣で山下さんが「いや……」と言って、軽く泣きかけてたので僕は彼女の視界を塞ぐようにして抱きしめた。


 あまりにもひどい光景に、泣き叫ぶ女子や男でもドン引きしているもの。

 完全に性欲猿と化しているクラスメイト等、様々な反応があった。


 一通り、子分たちの行為が済み彼女は風呂場に連れていかれ身体を清めさせられた。

 コレで済んだのかと、ホッとした表情を見せた時に御影は服を着ることも許されず海賊の子分にお頭の部屋へと連れていかれた。


 海賊のお頭の部屋に入ると……

 カメラのアングルが御影の視点と、同期したように海賊のお頭を見上げた。


 で、デカい……本当にコイツは人間なのかという体高に横幅もあった。

 こんな奴の相手をさせられた日には死しか待っていないだろう。


 海賊のお頭は、御影の髪をつかむようにして、彼女の顔を覗き込んだ。


「いい夢、見れただろ。

 My fair(可愛い) Lady(お嬢さん)


 ……

 …………


 プツンっとモニターが消え。

 モニターが黒く暗転した。


 モニターに映される黒い画面にビデオロスの文字だけが残されていた。


 モニターが、しばらくして再びついた。

 ピエロ男がモニターに映っている。


「やぁ、どうだったかい?

 3_Aの男性諸君。日頃の性欲の発散できたかな? ギャハハハハ!!

 それは、そうと彼女の生死に関しては聞いてくれないのかい?」


「聞くだけ無駄だろ」と、僕は言葉を吐き捨てた。


「釣れないねぇ」と、言ってピエロ男はモニターから消えていった。


 流石に、コレは酷いと思わずにはいられない。

 人狼が女性陣の敵と思われても仕方ない内容だったぞ。


【ロンドン橋】で、コレは予想立てれない。

 演劇という言葉で、ココまで想像しておくべきだったのか?


「拓郎君。

 怖いよぉ、あんな目にあいたくないよ」と、山下さんが泣きながら僕に言ってきた。


 僕の腕の中で、泣く彼女に僕は「君だけは絶対守るから」と、彼女に言い聞かせていた。


 ピエロ男のことだ、処刑が最近行われていないから、そっちも演劇で!!等と言ってきかねない怖さがあるのだ。

 そもそも、僕としては彼女を処刑位置にあげるつもりがない。

 だけど、狼が誰かわかっていない現状は彼女が処刑位置として一番危ういポジションなのだ。


 狼を占うことができる【占い師】なのに、襲撃されていないし狼を見つけきれていない。


【ステータス】の件で、僕を一度庇っているんだ。

 そうなると、皆はこう考えるだろう。


 役職の中に、悪魔のような人狼がいる?

 いや、一番怪しいのは結果を自由に騙れる【占い師】じゃないのか?

 このデスゲームでの占い師は基本的に【白】さえ出しておけば、人死はでないのだ。

 人狼が結果を騙るのは簡単なのだ。


 次に霊能者なんだが、まだ誰かわかっていないのだ。

 昼の会議で、だんまりを決め込んでいるので誰が今回の霊能者なのかはわかっていない。

 ……となると、【占い師】の彼女が軽く処刑位置に入りかねないのだ。


 どうやって、彼女を助ける?

 助ける方法はあるのか?


 ……

 …………


 あっ、あの方法なら僕は彼女を救える、友人が死んだあの方法なら。

 フゥ、一息入れて気持ちの整理をつけた。


 僕は彼女の頭を撫でてやって、「安心して、僕が命を賭けても守ってみせるから」と、言った。


「うん。

 信じていい?」


「あぁ、僕に任せときな」と、言葉を言った直後、彼女は僕にキスしてくれた。


 クラスメイトの前だというのに……


「えっ!!

 守るとかキスとか、お前らそういう関係なの?」と、クラスメイトが茶化してきた。


 僕達の発言はクラスメイトに聞かれていたのだ。

 もう、こうなったら度胸一発、現状を宣言して煙に巻いてしまおう。


「僕がココで宣言してやる。

 僕は山下さんを無事に元の返す為に、今ココにいるみんなを最終階を突破して連れて帰る。

 だから、今回の昼の会議はナシにしてくれないか。

 山下さんをはじめ女性陣にはアレはエグすぎるよ。

 こんな状態じゃ、人狼と関係のない理由で男性陣の何名かが吊り位置に上がると思うから」


 男性陣は概ね、理解してくれた。

 女性陣も、渋々理解してくれたという形で昼の会議は中止となった。


 会議も終わり……

 僕は自室に戻ったが、山下さんは自室に帰らずにそのまま僕の部屋に上がりこんでいた。


「直接僕の部屋に来ちゃって良かったの?

 来客履歴に残っちゃうけど?」


「うん」


「それと、さっきのアレはどういう意味だったのかな?」


「アレ? あぁ、キスの件?

 拓郎君が守ってくれるって言ってくれて嬉しかったから」


「それで、人前だったけどキスしてくれたってわけか」


「うん、嫌だった?」


「嫌なわけないよ。

 けど、僕は元の世界に戻る前に結果聞いたようなものだよね」


「そうだね!!

 夜寝てる時も、キスしてくれるのかな?って、期待してたのにしてくれないし。

 その結果、私からキスしてるね」


 彼女も照れていたが僕も、顔を赤くして照れていたので話を少しはぐらかす事にした。


「それはそうと、御影の映像の件ゴメンね。

 あんな事になるなんて思ってもいなかったよ」


「私もピエロ男さんの演劇って言葉は聞いてたし。

 あんな超設定で演劇してくるなんて考えてなかったもの」


「お、同じく」と言って、お互いに顔を見合わせた。


「まぁ、ピエロ男の事を気にしすぎちゃ負けだよ」


「うん。そうする」


「とりあえず、今の現状を山下さんに言っておくね」


「うん」


「まず、小西に関してはいろんな意味で重荷になってるんで予定通り襲撃はする。

 それと、金子に関しては襲撃しない事にしたよ」


「そうなんだ。

 良かった!! 最初の頃だったら、金子君も確実に襲撃するって言ってたと思うよ」


「そうだね。

 君達が仲間になってくれたのが予想以上に嬉しかったのかもしれない」


「うん。三人で力を合わせて最上階目指そうね」


「あぁ」と、僕は答えておいた。


「それで、ココからはちょっとだけ重い話だけど聞いてくれるかい?」


「うん」と言って、彼女は真剣な表情になった。


「まず、一つ目なんだけどピエロ男は野瀬さんの時もだったけど、クラスメイトの男子達に今日の御影みたい襲わせようとしている節がある。

 だから、次は処刑でも襲撃も女性は選びたくない」


「うん。あんなの嫌……。

 私、初めては……」と、彼女は口ごもっていた。


「ん?」


「いや、なんでもない」


「それで、今回は僕が宣言する事で昼の会議をナシにしたんだ。

 今、【人狼】として一番怪しいのは位置にいるのって、誰かわかる?」


 しばらく、彼女が考えたあとに彼女は言葉を発した。


「あっ、もしかして私かな?」と、彼女は察したようだ。


「だから、君は処刑位置にも襲撃位置にもあげたくない。

 他の奴らに君を触らせたくない。

 だから、僕は小西を襲撃した後に【人狼】という事をカミングアウトするよ」


「えっ!!」


「佐々木と同じ展開になったのは不本意だけど、こうするしか君を吊り位置から守れる方法がない。

 それに君が処刑位置に上がったのなら、男性陣の中には喜んで投票するバカも出てきそうだし。

 今日の件で、そういう傾向のある連中がいるって解っただろ」


「そ、それはそうだけど。

 拓郎君はクラスメイトを信じられるの?」


「信じたいけど、信じれるってのは君だけかな。

 だからこそ、君を命を賭けても守ってみせる」


「そっか……。

 嬉しい」と、顔を赤くしながら彼女は言ってくれた。

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