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31.パワーレベリング

 市民班から二人がパーティに加入することになったので僕は二人に提案した。


「あのね、ダンジョン内ってあまり生理現象起きないんだよね。

 お腹は多少空くのと、HP以外に疲れは存在する感じかな。

 それ以外の生理現象はあまり感じない仕様なんだよね。

 それで勇者パーティが探索に出ないと言うのなら、3日間じゃなく1〜2週間程探索しないか?」


「二週間は流石にハード過ぎるんじゃ?

 山下さんもいるし」


「いやね、ダンジョン入ると解ると思うけど。

 あからさまに汚れる展開にならないと汚れも気にならないし、疲れ自体は専用の薬で回復できるんだよ」


「と……言うと、小西君達が言ってた。

 女性がいるからってのは?」と、山下さんが聞いてきた。


「僕からすると単なる言い訳かな。

 僕が小西達に言い返すと、クラスメイトに対してのイメージが悪かったから、佐々木は()()を諌めてくれたけどね」


「それで、通常は3日探索なのに探索期間を2週間に伸ばす理由は?」と金子が聞いてきた。


「加入するのが金子だけなら、安全にパワーレベリングもできるが加入者が二人いるから、パワーレベリングするなら複数の種類のモンスターが現れる階は極力避けたい。

 なので、最初は31階のウォーキングアーマーあたりで調整しながら46階を目指したい」


「なるほど……

 安全対策の為に探索を長期化すると言うわけだ」


「ほら、二人の装備って無いわけで……

 初回の探索は完全に僕だよりになるし」


「あぁ、それなんだが……

 一応、装備はあるんだ」


「なんで? 」


「今日、装備を取りに来ないパーティがいただろう?」


「あっ……」


 探索に出てこない、勇者パーティの装備をそのまま借りると言うわけか……


「うん、それならソレを使わせてもらおう。

 曲がりなりにも45階まで行ってるパーティの装備だろうし、それなりには強いだろ」


「それでも、人吉の装備の方がかなり先にいってるぞ?」


「そ、そうか……稼ぎが違うからかな。

 まぁ装備に関してはソレを使うことにして、安全性を加味して31階から進めたい」


「わかった」「拓郎君に任せるね」……と、両名から同意を得れた。


 二人には探索に出てこない、勇者パーティの装備を装備してもらった。


 市民班は既に1日の活動を再開している市民班に連絡を取る。

 僕は食堂で料理をしていた【料理人】の二人に山下さんと金子が探索班に加わる事と、ソレの兼ね合いで二週間ほどダンジョンに籠る事を伝えた。


「さて、市民班に連絡も行ったし行こうか。31階へ」

 ……と、僕が言うとパーティの二人が頷いた。


 二人をパーティ設定したのち、ダンジョンへ続く扉を開け僕達三人は扉の中へと入りダンジョン内に入る事となった。


 扉に入ると31階に繋がっていた。

 ココは鎧野郎こと、ウォーキングアーマーが出現するマップだ。

 僕が鬱憤を溜めまくった狩場でもある。

 僕だけで来た時は雰囲気を気にしなかったが、洋館のような作りのダンジョンだった。。


「ねぇ、拓郎君。

 雰囲気のある建物だね、何か出てきそう」


「よし、かかってこーい」と、山下さんの発言で軽くビビった金子が気合を入れて大声を張った。


「あっ!!

 ダンジョン内で大声は意図したとき以外は禁止」


「し、しまった!!」と、金子が慌てた。


「どうなるの?」


「んー、すぐわかるよ」と彼女の質問に答えた。


 そして、これから起こることを予想して僕はこのダンジョンの次の部屋へ進む入り口を警戒した。

 ガチャ、ガチャ、ガチャと複数の鎧野郎が音を立てながらが僕達のいる部屋に入り込んできた。


「キャーー!!」と、彼女まで叫び出した。


 二連戦、確定か……。

 僕は頭を抱える前に、鎧野郎にスキルで弓矢の雨(アローシャワー)を食らわせてやった。

(スキル:アローシャワー 効果:範囲内にいる敵に纏めて攻撃が可能)


 鎧野郎とは二度目の戦闘で、弱点も対策も既に把握済みだった。

 弱点の聖属性の光の弓矢を使い、鎧野郎を一撃で屠っていった。


「凄っ!!」「スゴイ!!」と、二人とも僕の事を褒めてくれた。


「もう一戦あると思うから、入り口付近を警戒して!!」


 案の定、モンスターの歩行音である金属音がこちらに近づいてきている。

 僕は鎧野郎が現れる前から、スキルを放つ準備をしていた。


 ウォーキングアーマーがあらわれ……たかもしれないと、いう感じにあっさりと戦闘を片付けた。


「っとまぁ、普通に倒すとこんな感じね。

 だけど、これだと戦闘のイメージ湧かないだろうから。

 次は僕がタンクをして、モンスターを足止めするから二人とも鎧野郎に攻撃してみて」


 金子が勇者用の剣を装備して、山下さんが魔法使い用の杖を装備をしている。

 そもそも、占い師って魔法使えるのかな? と、疑問に思ったので聞いてみた。


「ねぇ? 山下さん。

 それって魔法使い用の装備だけど占い師って魔法って使えるの?」


「さっきの戦闘で、いくつか使えそうな魔法がいくつか頭に浮かんだよ」


 あぁそういうことか……。

 僕が弓系のスキルを覚えたのは、弓で戦闘してたら勝手に使えるようになってた。

 こんなスキル欲しいなと思ってたら、ある日を境に本当に使えていたという感じだ。


 意図しないでスキルが発生したのは、ウルフヴォイス位のものだろう。

 アレは僕が気合を入れたり大声出すと強制的に発生するしな。


 新人の二人のおかげで、僕はスキルの習得条件が理解できた。


「さて、次の部屋に行くよー!!」


 僕が二人に話しかけたら、二人ともさっきの件もあって掛け声ではなく頷いて僕に返事してきた。

 しばらく歩いて別の部屋に入ると、単体のウォーキングアーマーがあらわれた。


「よし、アレで戦闘練習を行おうか」


「どうやるの?(どうやるんだ?)」と、パーティの二人が質問してきた。


「なに簡単さ、僕が鎧野郎を足止めするから。

 二人で鎧野郎を倒してみてくれ!!」


 金子が手に持った剣を見ている。


「自分で作った剣を、使う時が来るとはな……」


「魔法を試してもいいのかな?」


「いいよー!!

 練習だと思って、二人とも思いっきりやりな」と僕は言って、鎧野郎に張り付くようにタンクの体勢をとった。


 新人二人のレベルが多少上がったのと、装備がそれなりに良いこともあって思ったより二人の攻撃がモンスターに通用している。

 僕はヘイトを取るために軽く短剣で小突く程度はしていたが、思ったより早くモンスターを討伐できた。


「……と、まぁこんな感じね。

 今は僕がタンクをしているんだけど、本来の僕の役割は攻撃役です。

 なので、金子が探索に慣れてきたら防御役をお願いすると思う」


「あぁ、それはわかるよ」


「ねぇ、拓郎君。

 私はどうすればいいの?」


「山下さんは、魔法での攻撃が主体だから距離を取りながら魔法で攻撃する。

 一番周りが見える位置だから状況判断なんかもお願いするよ」


「なるほどな……

 攻撃役の人吉がタンクやらされて、得意の攻撃役の仕事できずにクビにされたんだな。

 そりゃ、人吉が小西達の事をバカにするのも納得だわな」


「まぁ、それは前の話だけどね。

 今だから言えることでもあるし」


「それでも、クビ初日から暴れてたじゃないか」


「まぁ攻撃せずにタンクに無駄に徹してたんだ、二度目の攻略なんか簡単すぎるだろ?」


「ふむ、ココが常人には理解できないのかもな。

 誰も人吉のパーティに参加しようとしない理由もわかったよ」


「えっ、そんな!!

 あぁ、能丸を探索班に誘った時にも言われたなぁ。

 人として無理って……」


「ギャハハハハハハハ!!!」と、金子が大爆笑した。


「ちょっ!! 金子。

 そんな大声で笑ったら!!」


「あっ、すまん」


 この部屋への侵入口は二箇所あるので、両サイドからの挟撃を警戒する必要が出てきた。

 案の定、右と左の通路から鎧野郎が近づいてくる音が聞こえた。


「僕が右側の敵を潰すから、左側の敵相手に5秒いや、10秒耐えてくれ!!

 装備はしっかりしてるし、何度か戦闘は済ませてるから、大丈夫と思う!!

 無理と思ったら、即座に【帰還】しろよ!!

 ()()()()()()()()なら、医者に見せれば翌日には治るから」


「おいおい、怖いこと言うなよ」


「山下さんは、金子の援護をお願いする。

 無理はしないでね。

 ちなみに医者の効果は15階で瀕死になった巻島で実証済みだ!!

 行けぇーー金子!!」


 山下さんは頷いて、左側の入り口に注視している。


 さて僕は、右側を……


 矢の雨を降らせて、右側の通路のから来たモンスターを蹴散らし、全力で部屋内の左側での戦闘に参加した。


「10・9……………5・4・3・2・1」と、モンスターの攻撃を耐えながら金子がカウントしていた。


「待たせたね」


「かかって来いやーー!!」と、僕は声を発し鎧野郎に威圧をかけるとスキルが発動し、威圧され鎧野郎達が動けなくなってしまった。


 それを好機と見て、僕は短剣を使いウォーキングアーマーを蹂躙していった。


「フゥ……

 連戦は流石に疲れるね」と言って、疲れを取るための薬を飲んだ。


「おいおい、人吉。

 お前まで大声あげたら、また……」


「あぁ、それは大丈夫。

 金子とは、スキルの種類が違うから」


 そう自分で言って思いついた。


「ねぇ、金子と山下さん二人が叫んだ時に何かスキルが発動して無いかい?」


「「あっ!!」」と二人がスキルの存在に気づいた。


「ラウドヴォイスって出てるよ。

 拓郎君」


「あぁ、それが敵を呼び寄せるスキルなのかな。

 最初の入り口が一箇所だけの部屋で、そのスキル使えば効率よく狩りできそうだな」


「うへぇ」と、金子が嘆いていた。


 ……

 …………


 こんな調子で、僕達のパーティは二週間かけて46階まで探索を進めたのであった。

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