3.探索開始
謎の声がゲームの説明をし終えた後……
僕達は皆、謎の声に対して不満をぶつけた。
「「「ふざけるな!!」」」 など、様々な罵声が謎の声に浴びせられるたが、謎の声は僕らの罵声を遮るように言った。
「はいはいはいはい……
皆さんのお気持ちは、よーくわかります!!
クラスメイトで殺しあいとかしたくないですよね!!
だったら、人狼と市民協力して最上階を目指せばいいんです。
ねっ、簡単でしょ」
「な、なるほど……」と、クラスメイトの大半が謎の声の提案に賛同していた。
「しかし、ここからが本題です。
それは、あくまでもクリア条件であって追加条件ではない!!」
……と、畳み掛けるように謎の声には僕達に話しかけてきた。
「追加条件をクリアした陣営には、一人一人の願いをなんでも叶えちゃいますー!!」
!!??
なん、だと……!?
今、なんでもって言ったよな?
「そこの君達……今、なんでもって考えただろう。
そうなんでも、、だ!! 望み通りの願いを叶えよう。
しかし、君達は殺し合いは向いていないから無事にクリアを目指せばいいとおもうよー」
と、謎の声は最後は投げやりな感じに僕達に提案してきた。
「当たり前だろ!! クラスメイトを殺すだなんて!!
考えられないよ僕達は!!」と、小西が言った。
クラスの雰囲気が……さすが小西!! と、いう流れが出来つつあった。
「それじゃ、初日の処刑会議をココの大部屋にいる皆さんで始めて下さい」と、謎の声は言って、僕達の会議に謎の声が邪魔することはなかった。
僕と佐々木は二人組になって、どーする? と、言葉には出さないがアイコンタクトを取っていた。
その後、小西が皆に対して宣言した。
「僕がクラスメイトのみんなを、無事に元の世界に戻してみせる!!
僕はココに宣言する!! 僕が【勇者】だ!!
【守り手】の人は宣言しなくていいが、僕を守ってくれ!!」
「そーなん、小西ぃー。勇者なの?
あーアタイ、【魔法使い】ね。守り手さんアタイのこともヨロシクねー!!」
と、頭のネジが抜けてそうな、喋りをする女が小西の勇者の宣言に続き、魔法使いがカミングアウトを行なった。
コレで、上位カースト組から二人役職持ちか……と考えていると。
「流石、小西さんっすねー!! 」と取り巻きA・Bが小西達によっていった。
「オレ達が探索班になってやるから、みんなは安心して市民班の仕事を頼むねー!!」
と、調子に乗った取り巻きB事、巻島が皆に言った。
僕と佐々木はお互いにどうする? と相談して、ゲームならやらなきゃ損だろ的なノリで佐々木が手を上げた。
「それ、待った!!」
「あーん」と、メンチを切るようにこちらを睨みつけ。
取り巻きA事、名取が続けて挑発してきた。
「お前えらなんか、戦力外だ。
無力なオタクは、大人しくオレ達の帰りを待ってればいいんだよ」
そんな発言を無視するかのように、佐々木は言った。
「最初から君達のパーティに入る気は微塵もないよ。
謎の声は言ってただろ?
コレはゲームだって、それなら僕と拓郎の出番だろ」
「フン、好きにしろ。
死んでも文句言うなよ!!」と捨て台詞を吐く取り巻きAであった。
まぁ死んだら文句言えないけどな……と、僕は名取に内心突っ込んだのは内緒である。
「僕と佐々木で二人で探索にでるけど、探索に参加したい人他にいるかい?」
と、僕はクラスメイトに尋ねてみた。
しかし、反応がなかった。
「なるほどね!!
佐々木君がゲームが好きな事は知っている。
これは安全なゲームじゃない気もするが、それでも良いのかい?」
……と、の小西が佐々木へ尋ねた。
「ゲームって聞いた以上、僕達は降りる気ないさ」と、佐々木は言い切った。
「わかったよ!! 好きにするといいさ。
それと、【人狼】の人はカミングアウトしてくれ!!
僕達は人狼の事を殺さないから!!」と、小西が言うが誰も返事や反応はしなかった。
「そうか、信じてもらえないか残念だ」と、小西が言った。
小西の発言で、人狼仲間の男子と女子の様子を見ると明らかに女子の方が同様していたのが見て取れた。
そのあとは処刑候補は決めず、教室の施設の件や探索班の取り分や市民班の収支の配分について、皆で話し合った。
・人狼も殺さないだろうと、予想して【医者】と【鍛冶屋】に昼の会議の間にカミングアウトしてもらい。
現状わかっている内訳はこうなった。
・探索班
勇者 小西 (クラスの人気者)
魔法使い 御影 (頭の緩そうな女)
市民(役職不明)名取 (取り巻きA)
市民(役職不明)巻島(取り巻きB)
人狼 僕(人吉 拓郎)
人狼 佐々木 (友人)
・市民班
男人狼 能丸(良くも悪くも普通の奴)
女人狼 彩子(気弱、初日会議で動揺している)
※人狼は拓郎視点で透けている状態です。
鍛冶屋 金子 (鍛冶屋カミングアウトした男)
医者 薮(特になし、医者カミングアウトした女)
特別枠 山下 唯香 (拓郎の思い人)
そして、話し合いが終わり。
夜の時間が始まる前、僕は佐々木の部屋へ行き今後の予定を話し合った。
「それで、僕達の役職アレだし。
今後どーするよ? クラスメイトに襲撃は流石にしないよな?
内心、名取と巻島は襲撃したいけど……」
「ぷっ!! あはは解る!! が、辞めとこうぜ。
小西の言う事を全部は信じれないが、多少は信じていいだろ」
と、佐々木と方針を決めて探索のパーティのリーダーの件になった。
「パーティリーダーは佐々木がやっていいよ。
戦闘方式は当然、ゲーム方式だろ?」
「あぁ拓郎。パーティリーダーの件は了解した。
経験値三倍だろうが、ボク達ゲーマー勢がリアルで動かす体なんてありえないって話さ」
「そりゃ、そうだ……
イメージだけ先行して即敗北してそうだよな」
「全くその通り、疲れたくないしな」
「違いないね……。
話は変わるけど、今日の会議で仲間の彩子がすごく動揺してたのに、佐々木は気づいた?」
「いや、僕は拓郎が仲間なんだ程度にしか気づかなかったよ」
「そっか、何かしらやって対策した方がいいだろうけど。
僕らに出来る事って、ほぼ無いよな」
「そんな興味もない女子に優しさをみせる。拓郎は、憧れの山下さんとは別陣営だけど今の心境はいかが?」
「うっせ!! 黙っとけ!!」と言って、佐々木の頭をグリグリと手でこすりつけた。
山下さんは、魔法使いのカミングアウトしたギャルっぽい御影とは真逆の存在で、正統派な黒髪ロングの美少女って感じの女の子だ。
「山下さんは襲撃させないからな。
ブツブツブツ」
「いやあ、拓郎君は健気だねぇ」と、佐々木に冗談めかして言われた。
自由な話し合いの時間も終わり、夜の時間が始まった。
各自個室へ入り、人狼達は個室に備え付けてあるモニターとスピーカーを使い。
人狼四人で襲撃会議を行なった。
結果からいうと、四人とも【投票しない】を選択して、初日の処刑と襲撃による犠牲者は0人となった。
そして、静かな夜が過ぎていく……
◇◆◇◆
自室で睡眠をとった僕は目が覚めた後、大広間へと向かった。
広場には【鍛冶屋】の金子がいて、探索班へ装備を渡していた。
「よぉ、二人組みの片割れさん偉く重役出勤じゃないの!!
小西達は装備持って、そこのドアからダンジョンに向かったよ」
「うっせ!! それで僕の装備は?」
「ほらよ」といって、鍛冶屋から僕は明らかに木の棒みたいな武器を手渡された。
「え……ナニコレ? 」
「うむ、所謂……失、、失敗……いや、最弱武器だな。
資金もなかったし諦めてくれ」
「マジかよー!!
流石にコレは酷くね?」と言って、失敗作を手に持ちいろんな角度から眺めた。
「人吉が重役出勤するから、めぼしい装備を全て小西達のパーティにとられたんだよ。
諦めてやれよ」
と、佐々木が言った。
よさげな感じの剣を柄に入れた状態で手に乗せてパンパンと音を鳴らしながら、佐々木はニヤニヤしていた。
「この、裏切り者ー」と言って、佐々木を木の棒でつついてやった。
「やめ、やめろよ!!」
そんな馬鹿をやりながら、僕達の初探索は始まった。