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22.一人ぼっちの人狼

 昼の会議が終われば、【人狼】の時間だ。

 人狼会議の前に遊びに行く相手もいないし僕は孤独だ。


 一人で何もやることがないので、今後の事を考えるとしよう。

 今日は僕が吊られ位置に上がったが、それを回避して【占い師】による占い位置に入ったわけだ。

 今日、野瀬あたりを襲撃すれば僕が犯人だとバレバレの展開なので、今日は市民班で役職がない人間を襲撃するのが妥当だろう。


 ゲームが始まったばかりのこの状況で、探索班の襲撃する程、僕はギャンブラーではないからな。

 当然、【鍛冶屋】の金子も襲撃対象だが……今は、その時ではない。


 今、役職をカミングアウトしていない市民が市民班に7人いるんだ。

 まずは、ココから襲撃していこう。

 とりあえず、襲撃の傾向がバレてしまう前に【守り手】を襲撃しないといけないという感じかな。


 そんな事を一人で考えていると、人狼会議の時間が始まった。

 自動でモニターがオンになったが、誰の顔も表示されない。


 僕は一人だけの【人狼】だ。


 本日の襲撃相手は、佐々木を処刑した市民班から連中の中から適当に選ぼう。


 ダレニシヨウカナ? んー。

 今日の犠牲者は、コイツだな。

 佐々木に対しても暴言吐いてたし、僕が吊り位置に上がった時も暴言を吐いてたし妥当な所だろう。


 襲撃相手を決めようとした時に、モニターに何かが表示されていたことに気づいた。

 モニターに【佐々木からアイテムが届けられています】と、表示された。


 受け取りますか?


 ▶︎ハイ


 イイエ


 当然、僕は【ハイ】を選択した。

 佐々木、一体なんだってんだ?


 武器:人狼の爪


効果1:


 一度の戦闘だけに使用できる限定武器。

 人狼のステータスを二倍に引き上げ、狼型のモンスターに対しての特攻武器。


効果2:


人狼の思いが込められている。

??????


【人狼の爪】 !? な、なんだこれ?


 モニターにピエロ男の姿が映った。

「やぁ、人狼の諸君!! 人狼会議、頑張ってるかな?

 ……って、人狼は君一人だったね。アハハハハハ」と、言ってピエロ男は笑っていた。


「僕に何の用だ?

 一人しかいない【人狼】の僕を馬鹿にしにきたのか?

 ゲームマスター自ら……」


「まさかぁ、君がとても不利な状態でゲームが始まってるからね。

 朗報を持ってきてあげたのさ。まず一つは先程の武器さ、人狼専用の装備だが効果は絶大な武器さ」


「なんで、それを佐々木が送ってきたんだ?」


「んー。君は佐々木君に信頼されていたからねぇ。

 彼が吊られる前日に、私に相談があったんだよ。

 僕が吊られるようなら、拓郎の力になれる装備を渡してほしいってね。

 それを僕が佐々木君の願いとして、聞き入れたというわけです。

 ねぇ!! 私って心優しいゲームマスターでしょ!!」と、わざとらしく言ってくる。


「黙れ!!」と、僕はピエロ男に怒鳴りつけた。


「おー怖い怖い。

 次は、君の【静寂なる人狼】に関しては、他のプレイヤーには【???なる人狼】としか詳細がわかってない状態さ。

 当然、特殊能力も詳細不明さ……」


「なら、僕は【白】状態で全員襲撃できるってわけか?」


「それは面白くないだろう?

 私がゲームマスターなんだよ。私がソレを許すと思うかい?」


 僕は首を横に振った。


「前回のゲームと今回のゲームで一通り、占いが行われた段階

 もしくは、明らかな殺意を持って【凶悪なる人狼】に君がなった際には、アナウンスさせて貰うさ」


「僕は復讐を果たせるだろうか?」


「さぁね!!

 それは僕にもわからないことさ」と言って、ピエロ男はおどけている。


「まあ、一人寂しい狼君の話し相手にきただけだから。

 今日は帰るねーー!! BYE!!」と言って、ピエロ男はモニターから消えていった。


 僕は、佐々木の忘れ形見を見て、涙するしかできなかった。


「佐々木ぃ……

 僕に武器残して死ぬぐらいなら、お前は逃げてくれよ。

 僕、一人じゃないか……寂しいよ」と、誰もいないモニターに向けて話しかけていた。


 僕は佐々木の忘れ形見を見て、僕は先へ進む決意を決めた。

 本日の襲撃相手は、モブAでよろしいですか?


 ▶︎ハイ


 ……と、躊躇なく襲撃相手を選んだ。

 これで僕は、完全に人狼(ひとごろし)となったのだ。

 襲撃相手も選んだことだし、風呂入って寝るか……。


 ……

 …………


 僕達5人は探索班としてダンジョンに潜ったが、佐々木というプレイヤーを失った為、著しくダンジョンの探索能力が落ちて僕と小西ともにお互いに不満が残る結果になっている。


「昼の会議じゃ偉そうに言ってたから、お前は前衛で敵の足止めやれよな」と、小西が提案してきた。


「は? ダメージディーラーにタンクとか……」


「意味わかんねー言葉を使ってんじゃねーよ」と、名取が突っかかってきた。


「小西さんがこのパーティのリーダーだ!!指示に従え!!」と巻島も言ってきた。


「へぇへぇ」と、僕はやる気なく答えておいた。


 よし、モンスターが現れた。

 僕の仕事が敵の足止めかぁ、まぁいいけどな。


 ……

 …………


 僕はモンスターの足止めの仕事をしているが、一向に倒せる気配がない。

 コイツら、省エネモード入って通常攻撃しかしてねぇな。

 そのせいか、一戦一戦に手間がかかり、5人パーティということもあって稼ぎも少なかった。


 今回の探索で、31階から32階の探索を済ませた時、小西から……


「人吉。オマエ、僕達のパーティに必要ない」と、僕は戦力外通告(クビ)を告げられてしまった。


 まぁ、僕も同様の事を考えていたのでお互い様だろう。

 水と油のような僕と小西を、うまく調整した佐々木が上手かったんだなと理解することができた探索結果となった。


 更に笑えたのは、今回の探索での稼ぎを一銭も貰えなかった。

 一通りモブ供の片付け終わったら、コイツらを片付けるかと本人達の前で考えていた。


「そっか、それはお互い様だと思うよ。

 まぁ頑張れや、勇者御一行様」と、皮肉を言って僕はパーティから抜けて、単独で【帰還】することにした。


 市民班のみんなが僕の稼ぎを期待して待っている。


「あぁ、みんなすまん……

 小西達から、今日の稼ぎ自体を貰ってないんだ。

 次は()()で稼いでくるから許してくれ」と言って、僕はトボトボと自室へ帰って行った。


 そして、僕は昼の会議まで眠りにつくのであった。

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