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21.メタ行為で初日から処刑位置は勘弁してください

 僕が()()に復讐を誓った、初回の昼の会議の事だ。


 ピエロ男が新役職の振り替えと、新役職の説明の紙を僕らに把握させる為にテーブルに乱雑に置かれていた。

 その紙には、前回のゲームの死亡者の事や人狼を処刑の際に誰が挙手していたか等も明確に記載されていた。

 その紙を確認した僕は、【静寂なる人狼】という役職についていることを理解した。


 要するに、占い師に占われても【白】が出るってわけだ。

【占い師】にクラスメイトを一周占わせる前に、【人狼】の僕の事を【市民】と思わせる為に占わせる必要があるわけだ。


 次に【凶悪なる人狼】だが、自分で役職の変更が可能で行った場合、一度限り二人襲撃が可能になる。

 ただし、占い師からの占い結果が【黒】に変わるので、使うタイミングが重要ってわけだ。


【見習い勇者】と、【見習い魔法使い】は、小西と御影を襲撃した後に市民の中から誰かが【勇者と魔法使い】の役職に目覚めるって感じだろう。

 新役職に関して、理解を深めていたら小西がクラスメイトに質問をした。


「みんな? 役職が変わった人いるかい?

 僕は【勇者】のままだが? それに装備やレベルなんかも、そのまま維持してるぞ?」


「アタイも、【魔法使い】のままだよ?」と、御影が言った。


 小西の質問の結果、元役職持ちのメンツは役職はそのままだということがわかった。


 ココで一つの懸念が出てきた。

 前回の人狼の人間も役職を振り返られていないのかという点だ。

 僕自身は役職名が変わっただけで人狼なのはわかっているし、それほど考える必要はない。

 これなら、山下さんがもし僕の事をクラスメイトに告げたとしても、生き残る方法はまだある。


 そう考えていたら……野瀬がクラスメイトに確認をとるために挙手をした。

「私は、前回の【黒】を知っているわ」と、クラスメイトに宣言した。


 !?


 ど、どういう事だ?

 次の占いの担当は山下さんじゃ?

 いや、考えたくないが彼女が僕の事を裏切ったのか。


「人吉君!! 貴方が人狼よ!!」


 占い師の野瀬が僕に向けて指をさした。

 僕は急な黒だしに動揺をみせることなく……一息いれた。


「フゥ……

 唐突な黒出し、()()()()()ね。

 野瀬さん、君が【占い師】を騙った狼って事はないだろうね?」と、僕はとぼけて野瀬さんに返答した。


「冗談は程々にして!!」と野瀬は僕の挑発にわかりやすく反応した。


「一つ聞いていいかい? 君は最終日の前日に既に占って【白】を出してたよね?

 次は山下さんの番だったと理解しているが? 何故、野瀬さんが占ってるんだい?

 やっぱり、君は占い師を騙った人狼じゃないないのか? って、邪推してしまうよ」


 周りの視線が占い師の野瀬に集まった。


「違う!!私は正真正銘の占い師よ!!

  前回、私が占えたのは次でクリアになると思ったから、山下さんに占いの担当を譲ってもらったの。

 佐々木が人狼だったとしても他にいるなら見つけてやるって思ってね」


「へぇ……。それで僕ってわけだ。

 成る程ね、キミが占えた理由はソレで納得するとしよう。

 何故? 佐々木が吊られた日に、僕を占ったんだい?」と、野瀬に対して問いかけた。


「だって、佐々木君とアナタは仲よかったじゃない。

 ハイタッチとかもしてたし!!」


「そっか、それなら仕方ないね。

 たしかに、()()()()()は僕だったよ!!

 いい判断だったね野瀬さん」


「だったら、今回も貴方が人狼なんじゃ?」と、野瀬さんが聞いてきた。


 人狼は吊るせだの……

 殺せだのクラスメイトのヤジが僕に向けて飛び交ってきた。


「お・前・ら……バカか?

 あの腐れピエロ男の発言聞いてなかったのか?

 役職は振り替られてるんだぞ?」


「それでも、役職持ちは変わってないじゃない」と、野瀬が言い返してきた。


「だから、お前は馬鹿なんだよ!!

 まず第一に、一人しかいない人狼を前回と同じ奴にやらせるか?

 まぁ良いや!! 僕を処刑するべきではない理由を三つ教えてやるから、みんなよく聞いてくれよ」


「聞かせてもらうわよ!!」と野瀬が偉そうに言ってきた。

 クラスメイトも僕の発言に注目しているみたいだ。


「まず一つ目、これが一番重要な事だ!!

 まず第一に、30階から50階の探索班の仕事を小西、御影、名取、巻島の四名でクリアできると思うか?」


「うぐっ!!」と言って、小西が顔をしかめた。


「君達は既に二人の探索班のエースプレイヤーの内、一人を君達は処刑してるんだぞ?

 僕を処刑したとしてダンジョンをクリアできるのか? 小西達が全滅したら終わりなんだぞ?

 そこは理解してるのか?」


 僕の発言に対して、クラスメイトが色々と考え始めたようだ。


「ゆっくりと時間をかけて攻略していけば問題ないはずだ!!」と、小西が僕に食ってかかった。


「小西君さ、馬鹿だ馬鹿だと思ったけど……

 本当に馬鹿なんだな」


「なんだと!!」と、小西は顔を真っ赤にして挑発に乗ってきた。


「みんなが理解してないから言うけど、あのピエロ男はゲームマスターって言ってたよな?

 しかも、クリアの条件を反故にしてしまうようなこともやる奴なんだ!!

 小西、お前が言ったようにチンタラ探索してたら、なんのペナルティも打ってこないとか考えてないよな?

 相手はゲームマスターだ、極端な話だがゲームを円滑に進めるために、今朝の食事が目玉焼きだった人を処刑って事でさえできるんだぞ!!」


 クラスメイトの皆は、現状を理解したのか顔が青くなって言った。

 小西も言い返してこなかった。


「二つ目な、この状況で僕を処刑するリスクの高さを考えてくれよ。

 役職の振り替えがあったんだぞ!!

 役職を宣言した連中や市民の中に人狼がいるかもしれないのに、攻略班全滅のリスク冒してまで僕を処刑できる状況か?

 次に三つ目な、お前ら、お花畑連中と違って佐々木の次に僕がいちばん現状を理解してると思うぞ!!

 申し訳ないが小西に任せてたら、それこそ関係ない奴まで殺されるぞ!!」


「それでも、ピエロ男が人狼の奴がコイツらを皆殺しにしてやるって書いたから。

 僕達がここに残されてるんだろ!! だったらそれを書いたのは、それはお前じゃないのか!!」と、小西が言った。


「勝手に都合のいいように解釈するな!!

 ピエロ男は【人狼の仲間】と言っただろ!!」と、僕はキッパリと断言した。


 クラスメイトも小西もハッとした表情で理解したみたいだ。


「お前らの視点では、佐々木の仲間が僕だからって考えなんだろ?

 佐々木は僕なんかより、よっぽどいい奴だし、友人なんかも多いと思うし。

 能丸だって、このクラスに彼の恋人がいたのかもしれない。

 彩子さんだって、そうさ……

 僕以外からも、君達は怨みを買っている可能性を理解するべきだ!!」


 ぬぐぐぐ、と言いながら小西と野瀬は反論できず口を噤んでいた。


「それにな、佐々木にゃ悪いが僕も君達と同じ理由でココに残されてるんだ。

 そりゃ、なんでも叶うって言われたら願い書くに決まってるだろ」


「ほう、それじゃなんて書いたんだ?」と、小西は僕に聞いてきた。


 !? えっ!! そこ聞いてくるの?

 それは予想外だったわ……。


「僕には好きな人がいるから、無事に帰れたらその人とお付き合いしたいって書いたさ。

 言わせんな恥ずかしい……」と、僕が言うとクラスメイトが山下さんの方を見ていた。


 そして、山下さんは顔を赤くして俯いてた。


「だけど、野瀬さん。君が僕の事を疑うのは正しい!!

 ただ、今日の会議で処刑していい人間は、一人としていないよ!!」


「正しいなら、処刑を飲むんでしょ?」と、野瀬が言ってきた。


「本当に君が狼なんじゃないのか?

 君の理解度がヤバすぎて、人の生死が関わる【占い師】やらせるには不安しかないんだけど?」


 ……と、僕は野瀬に皮肉を言って引き続き発言を続けた。


「僕が疑わしいなら。

 今日は僕を占えばいいだろ。

 それで【黒】が出たら、それで済む事だ」と、僕は言った。


「たしかに、それが一番わかりやすいね」と、小西が僕の意見に賛同してくれた。


「それに30階のボス戦メインで戦ってたのは、僕と佐々木だぞ。

 小西達は残念ながら、ボスの眷属のオルトロスに苦戦してたからな」と、クラスメイトに探索班の現状を理解させるために事実を言った。


 野瀬は納得してなかったみたいだが、もう一人の【占い師】の山下さんに説得され挙手せず。

 クラスメイト全員が挙手をせず無投票という結果になった。


 そんな流れで……

 僕は初日から処刑位置に挙げられたが、無事に処刑から逃れる事に成功した。

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