表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/57

11.ボスモンスター

 ここは15階だな……


 この場所には見覚えがある。

 前回の探索で時間切れで中断したボスマップへ進む扉の前だ。


「本日の1戦目がボス戦か……キツイな。

 緊急脱出が出来ないらしいから、お互いに気をつけよう」と、僕は佐々木に言った。


「拓郎。ボスが単体なら、弓で相手の足を止めてくれないか?」


「この階は、牛男(ミノタウロス)ばかりだったからな、お約束ならデカいのがボス戦に出てくるよな。

 了解した」と言って、僕は水属性の属性矢と弓を準備した。


「それじゃ、行くよ」と、佐々木が号令をかけてくれたのでボス部屋へと突入した。


「「うおおおおおお!!」」と、二人は雄叫びめいた声を出しながらボス部屋へ入っていく。


 ボス部屋には、一際デカいミノタウロスのボスモンスターがいた。

 小西がデカい牛男と一対一(タイマン)で戦っているが、小西はかなり手傷が多くどう見ても劣勢にみえる。

 取り巻きの二人組の名取は巻島は? と、状況を確認する。


「ひ・とよし……」僕の後ろから声が聞こえた。


 名取が全身傷だらけの重症の状態で、入り口付近に倒れていた。


「名取!!」と言った、直後に回復剤を名取にぶっかけて強引にもう一本の回復剤を口の中に突っ込んだ。


「動けるようになったら自分だけで【帰還】しろ!!

 解ったな!!」と、僕は名取に指示を出した。


 一人は救出が終えたので、再び状況を確認した。


「拓郎!! アソコだ。

 牛男のいる右奥に誰か倒れてるぞ!!」


 佐々木が巻島らしき人物が倒れている場所を教えてくれたので状況が把握出来た。


「よし、佐々木……

 予想通りの展開だな。僕が牛野郎(ミノ)を遠距離で引きつけるから、その間に佐々木が馬鹿二人を救出する。

 それでいいな?」


「あぁ。

 すぐ援護にくるから死ぬなよ。拓郎」


「俺、この戦いが終わったら……」


「この状態で馬鹿な事言う余裕あるみたいだし全力でやってこい」と言われて、佐々木にボス戦へと送り出されてしまった。


「おうよ!!」と、佐々木への返事と同時に弓を構えて矢を()()()()にモンスターに向けて放った。


 スキル:ダブルショット


「小西。助けにきたぜ」と、声をかけた瞬間牛野郎の目に水の属性矢が刺さった。


「ブモォオオオオオオオ!!」とモンスターは叫び声を上げ、片目を潰された事に牛野郎が怒り狂った。


「小西は下がれ、巻島は佐々木がなんとかするから。

 お前は自力で逃げろ」と、小西に聞こえるように叫んだ。


「この牛野郎!!

 お前の相手は、この()()だぁぁ」


 普段は僕呼びだが気合が入りすぎて、オレ呼びになってしまった。

 それに呼応するが如く、デカいミノタウロスは小西の事は無視して僕の方に突進してきた。


 突進してきた牛野郎を狙い撃つように、3本の属性矢を同時に放った。


 スキル :トリプルショット


 三本の矢がミノタウロスに直撃するも、それを気にせず突進してくる。

 クソっ、 流石にボスだスキルの一発二発じゃ、オチやしない。

 モンスター距離を詰められる分、こちらも離れるように距離を保ち弓を構えスキルを放った。


 スキル:クワドプルストライク


 三本の矢のでダメなら……四本だ!!


 モンスター自体がデカいこともあり全弾命中した。

 牛野郎もボスではあるが、4本同時に属性矢の攻撃を受けたのは効いたみたいで軽くよろめいた。


 僕は【アイテムボックス】からMP回復剤を複数本取り出して、ソレを飲みながらミノ野郎から距離を再びとるようにして立ち回った。

 チマチマ単発で削りながら距離を作りながら、巻島が倒れている場所から距離を離すようにモンスターを誘導していった。


 安全性重視の立ち回りをして、小西達の脱出の為に時間を稼いでいたが想定外の事が起こった。


 ヤバい!! 水の属性矢の在庫があと二本しかない。

 補充してなかったのが響いたか…… 

 クソっ!! 近接戦をやるしかないのか。


 僕はすでに片目を潰しているミノタウロスの残りの片目を潰す事に掛けた。

 これでダメなら近接でやりあってやると覚悟を決めた!!


 スキル:ダブルショット


 弓を放ったと同時に弓を投げ捨て、【アイテムボックス】から剣を取り出した。

 水の属性矢は、狙い通りに潰されていない牛野郎の目に吸い寄せられていくように直撃した。


 両目を失ったミノタウロスが雄叫びをあげる。


「ブモォォオオオオオオ!!」


 ミノタウロスが見当違いの所に大斧を振り回して攻撃している。

 これはチャンスだ !! 行くぞと覚悟を決めたその時。


「待たせたね、拓郎」と声が聞こえると同時に、佐々木がミノタウロスの片足に剣を突き刺した。


 デカいミノタウロスの態勢が傾いていく、そのまま、倒れるのか?

 いやまだだ……と、思いミノタウロスに対して一気に距離を詰めた。


 そして……


「拓郎!! トドメだ」と、佐々木の声に呼応するかのごとく、僕は態勢の崩れたミノタウロスの首に剣を振り下ろした。


 ミノタウロスの首から赤い鮮血が吹き上がり、ボスモンスターは前のめりに倒れて初のボス戦は終了した。


「佐々木ぃ。流石に今回は疲れたな」


「そだな、それより拓郎。

 お前返り血で酷いことになってんぞ」


「お前もな」と、僕は佐々木にも同じ状況になってることを教えてやった。


 倒したモンスターは金銭と化し、デカいミノタウロスは肉を落とした。

 それを回収したあと、佐々木に確認をとった。


「これからどうする? 一度、教室に戻るか?」


「いや、僕は三人が【帰還】したのを確認できたし。

 決定は拓郎に任せるよ」


「ボス戦で疲れはしたけど、内心物足りないんだよなぁ。

 よし、もうちょい狩るかぁ」


「そっか、それならこの返り血どうにかしないとね」と、佐々木が言ってきた。


「なら、飲料水でも頭からかぶっとこう……」


「ほんと、この辺りは雑だよなぁ」と、佐々木に言われてしまった。


 二日分の飲料水を、頭から被ったり装備品を洗う為に利用した。

 

 佐々木は僕が作業している間に……

 佐々木から【緊急招集】が行われました。


 場所:15階 ボスモンスター部屋内


【ボスモンスター討伐。ついでに狩りにいくんで心配しないで下さい】


 ……と、【緊急招集】の機能を使いクラスメイトに連絡を入れてやがる。

 使えるものはなんでも攻略に使う、コレがゲーマーってやつだよな。


 頭や体を水で洗い終わり装備を洗おうとした時に佐々木に確認した。


「そう言えば、巻島はどうなったんだ?」


「あぁ、君がデカミノの相手してる間に小西と合流したんで早く戦闘に戻れたよ。

 巻島に関しては応急処置が終わらせたタイミングで合流したので、僕と小西でケガ人を部屋の外に連れ出して、僕は部屋の外で小西達が【帰還】した所まで確認したよ」


「それにしても、いいタイミングで助けてくれたな」と、僕は佐々木を褒めた。


「いや、本当はもっと()()助太刀できたんだけどね」と、佐々木は爆弾発言を落としてきた。


「おい!!

 結構、苦戦してたんだぞ。そりゃねぇよ」


「いやいや、拓郎なら大丈夫だって両目潰す所までやってたし。

 それに小西でも、なんとか時間稼ぎできる相手だし」と、佐々木が言ってきた。


「そう言われると、確かに行けたかもしれないな。

 初のボス戦で、僕も緊張してたのかな」


 そんな感じに、今回のボス戦の総括をしながらお互いに装備の清掃を進めていった。


 ……

 …………


 僕と佐々木の装備の清掃が終わり、僕達は再び探索を再開して16階へと階を進めた。

 二日分の飲料水を無駄に消費したため、今回の探索は1日のみ行い17階まで探索を済ませ、18階に入った所で僕達パーティは教室に【帰還】した。


「た、ただいまー」と言って、教室に僕達は戻ってきた。


 市民班のみんなが今回の功績を称えてくれた。


 小西達は一応無事で、巻島のみ重症なので医者の治療で明日まで回復に時間がかかるらしいが……

 翌日の探索には間に合うらしい。 これが、良くも悪くもゲームという設定なんだなと理解できた。


 今回ばかりは小西達も反省したみたいで、しおらしくなっていた。

 僕達は、いつものように探索での稼ぎをテーブルに置いて僕達は自室へ向かった。


 その道中……御影が「佐々木、人吉。ありがとう」と言って、僕達に抱きついてきた。


 もともとから思ってたが、コイツはデカいものをお持ちだなぁ。

 ソレが身体にフニュフニュとしたものが当たってきて、下半身に悪い。

 しかも、密着しているためイイ匂いもするし。


 突然の御影の抱きつきに僕と佐々木は面食らってしまい……


「み、御影さん。

 ちょっと離れてくんないかかな僕達ってそういう耐性ないからさ」と、佐々木は赤くなりながら御影に離れるように促した。


 佐々木の発言を聞いて、御影は僕達から離れた。


 その後、「もう、無茶すんなよ」と、だけ僕は言っておいた。


 自室に帰る途中に「まるで、僕達がヒーローみたいな扱いだったな」と、僕は佐々木に言った。


「遅刻の常習犯だがな……あはははは!!」と、佐々木が笑って返してくれた。


「うっせ!!

 ヒーローは遅れてくるものなんだよ!!」


 そして、お互いの自室が近づき「それじゃ、また明日!!」と、お互いに別れの挨拶をして自室へ戻り、いつも通り昼の会議まで僕は眠り続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼ 1ポチ、協力お願いします。 ▼
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ