1.楽しいゲームの始まり
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8/7 17:00 に 6話 投稿
全 54話 8/30日に完結予定。
僕の名は、人吉拓郎という。
どこにでもいる、ゲーム好きの高校三年生の男子だ。
今日も昼休みは友人の佐々木と、ゲーム談義に花を咲かせていた。
クラス内はカースト制みたいなものはないが、一部の連中に僕たちが軽く煙たがられているのは理解している。
イケメンとその愉快な仲間達とその取り巻きの女子達が集まって、クラス内を盛り上げていた。
僕達にはそんな事は、どーでもいいので軽くスルーしつつ佐々木と話を続けていたが、悪ノリしているイケメン集団の取り巻きA・Bが僕達にちょっかいをかけてきた。
「オタクさん達、空気読んで教室出て行ってくれない」
「俺らがソコの席今から座るからさぁ……どけよ」
と、取り巻AとBが僕らにちょっかいかけてきた。
まぁ、別に移動しても構わないが……取り巻きA・Bに言われるのもなんか癪だな。
「別に構わないが、元に戻しといてな」と、佐々木が取り巻きに対して言った。
「あぁ……」と、軽くどうでもいいような感じの返事を取り巻きが返してきた。
「それじゃ、拓郎。
中庭にでも行こうぜ」
と、佐々木が言って僕達は席を立って教室から離れた。
「そ、そうだな。
天気も良いし中庭で問題ないな。
この前、佐々木が言ってた人狼ゲームっての教えてくれよ」
友人と歩きながら、中庭へ向かいながら話を続けた。
「おっ、ようやく拓郎も人狼の良さに気づいてくれたか!!」
「ちゃうわ!!
お前がアレだけ推してくるんだ少し興味持っただけだよ」
「中庭に着いたら、きっちりと教えてやるよ。
急いで、行こうぜ!!」
……と、佐々木は言って駆け足で中庭に向かった。
「ちょっと!! 待てよー!!」と言って、友人の佐々木を追いかける形で中庭へ到着した。
二人は中庭のベンチに座り、佐々木から人狼ゲームのレクチャーを受けた。
……
…………
「へぇ、なるほどね。
村人の中に人狼って殺人鬼みたいなのが紛れ込む、それを村側は排除して村を守る。
狼側は村人を全滅させる感じに動いていくんだな」
「まぁ、大体そんな感じだ……
村側には役職ってのがあって、それをヒントに村側は人狼を追い詰めて行くんだよ」
「へぇ……
なかなか難しそうだな」と、素直に僕は答えた。
キーンコーンカーンコーン!! と、昼休み終了の合図の授業の予鈴が鳴り響いた。
「あっ、ヤベッ!! 人狼のレクチャーするのに集中しすぎて昼休み終わっちまったな。
今度、ソシャゲでも良いし一緒にやろうぜ!! ゆくゆくは人数集めて対面人狼とかもやりたいな。
けど拓郎って、割と無表情だからな人狼役向いてる気がするぞ」
「とりあえず、ゲームになれてからな。
その時はよろしく頼むよ。
けど、今は教室に戻ろうぜ……
次の先生遅刻すると定規で頭ペチペチしてくるからウザいし」
……と、僕は言った。
お互い顔を見合わせて、お互いにうんと頷き全力で教室へ戻った。
全力で走り切り、なんとか次の授業の先生が来る前に席に着くことができた。
お互いに自分の席に戻り、全力疾走で切れた息を立て直そうとゼェゼェと息を吐きながら先生を待つことにした。
グ、グラッ……
急に走ったから、息が切れてめまいか?
視界が揺れた? いや、違う!! 建物自体が揺れている。
それにクラスメイトも気づき、皆が慌て始めた。
ドーンと爆音がした直後、一気に教室が暗くなった。
「窓から光が消えた? どーなってるんだ?」
と、僕は素直に疑問に思った事を口に出してしまった。
クラスの女子達が、恐怖のあまり騒ぎ出した。
こうなると、いつもの流れでカースト上位のイケメンが発言した。
「みんな、とりあえず落ち着いて!!
スマートフォンを持ってるだろ。
それで、とりあえず明るさを確保しよう」
イケメンの小西の提案に皆が納得して、スマホを取り出しひとまず明かりを確保して、クラスが大騒動になるのを防げたみたいだ。
いけ好かないイケメン野郎だが、こういう時は役に立つな。
「とりあえず、先生に状況を聞きに行こう」と、小西が提案して率先して動こうとすると……
「小西君が行く必要ないべ……。
センコー呼びに行くのは、オタク二人に行かせようぜ」と、取り巻きAが言ってきた。
おいおい、どういう事だよ……
そんなブン投げされるとは思ってなかったぞ。
「うーん、そうだな。
僕がココを離れちゃうと、みんなが不安になると思うし……
人吉君と佐々木君、職員室で先生を呼んできてくれないか?」
うーん、たしかにさっき騒動になりそうなのを抑えたのは事実だしな……等と考えていたら。
「あぁ、わかったよ。
拓郎と二人で行ってくる」と、佐々木が僕が答える前に言った。
それを聞いて仕方ないなと思い僕も席を立ち、佐々木より僕の方が廊下に出る扉に近かったので先に扉を手をかけたが扉が開かなかった。
「あ、開かない……
ど、どうなってんだ?」
僕の発言を聞いて佐々木も駆け足で扉に近づき、全力で扉を開けようとしたがビクともしなかった。
僕と佐々木は顔を見合わせてどーなってんだと、アイコンタクトに近い何かをお互いに送っていた。
「な……何やってんだよ」と言って、取り巻きAが僕達に突っかかろうとした時。
まの抜けるような声で、「ピーンポーンパーンポーン!! 」という声が聞こえた。
続けて、謎の声がクラスメイト全員に向けて話しかけてきた。
「はい、3-A組の皆さん。
こんにちは!!」
クラスメイト全員が、どこから聴こえてるんだと辺りをキョロキョロと見回している。
「あぁー。
私の姿を探そうとしても無駄ですよー!!
私はあなた方を、とあるゲームに招待させていただきます」
「「ふ、ふざけるな!!」」と、取り巻きA・Bがイキって罵声をあげた。
「あれれ、みんなゲームとか好きじゃないの?
喜んでくれないの?
でもね、ざーんねーん!! 貴方達に拒否権はございません」
うわぁ、間の抜けた声をしてる割にふざけたヤツだな。
取り巻きA・Bに対して、小西が静止をかけて謎の声に対して話しかけた。
「名取、巻島、ちょっと静かにしてくれ……
それで、アンタは何者なんだ?」
「へぇ……ようやく話を聞いてくれる子が出てきたみたいだね。
私はこのダンジョンの管理者だ、ゲームでいうところのゲームマスターだね」
……と、謎の声が小西に対して返答していった。
ゲームと聞いて、僕は小西の話の横から首を突っ込む形で質問をした。
「それで、ゲームマスターさん。
僕達に、なんのゲームをやらせようとしてるんだ?」
「へぇ、そこの少年はゲーム好きって感じがするねぇ……
それは簡単!! この教室(1F)から出て、このダンジョンの30階に到達できたら貴方達を元の世界に返してあげるよ」
「ようするに……
ダンジョン攻略を僕らにしろって事か?」
「あらぁ、察しがいいねぇ……君。
けど、それだけじゃ面白くないでしょう。
せっかくクラス全員でココに転移してきてるんだし、皆が主役にならなきゃネ。
……というわけで、ここにいる30名のみなさんには各自役職を配布します。
決して、この場で自分の役職をカミングアウトするのはオススメしないよ。
貴方達の胸ポケットの中に役職を書いた紙を入れてるから各自確認しておくよーに」
謎の声がそう言うと、僕の胸ポケットの中に一枚の紙切れが入っていた。
紙切れを見ると、そこには人狼という2文字が紙に書いてあった。
僕達が役職を確認すると、紙は何も無かったかのように手元から消え去った。
役職を確認した後、教室(1F)を見回すと友人の佐々木とあまり話をしたことのない女子と、良くも悪くもクラスカーストの中間くらいの普通の男子が人狼である事を察せた。
人狼が解った理由は、僕の目には三人の頭の上に矢印がついて、【人狼】ってアピールされていたからだ。
「それじゃ、ゲームの詳しい説明を始めるよ〜」と、謎の声はノリノリな感じに話始めるのだった。