響く雨音
降り続く雨音が嫌に大きく聞こえて耳に障る。ただそれだけ。
ずいぶんと慣れたものだ。
泣き続ける空を見上げて物思いにふける。
ここへ来たばかりのころは、この音が恐ろしくて寝付けなかったものだが。
今ではほとんど気にならない。
思えばなぜこれが恐ろしかったのか。
大きく聞こえた音はどこから発生していたのか。
窓を開けると砕けた滴の破片が顔にかかった。
見ればすぐそこに、薄いトタンの屋根があった。
これが叩かれて音になっていたのだと、ようやっと気づく。
隣の建物の外壁がすぐそこに迫っている。
だから音が響くのだろうとも判った。
見上げれば軒は短く顔を直接滴が打った。
痛いじゃないか。
誰もきかないが独り毒づく。
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