しがないリーマンとアイスの当たり棒
----6月。初夏に見舞われ、すでに真夏並みの暑さが蜃気楼を作る。
田舎の古い駄菓子屋でアイスをかじりながら涼しむ1人のサラリーマンがいた。
「はるちゃんのスーツ姿も随分しっくりくるようになったねぇ。」
駄菓子屋のばあちゃんが言う。
「ははは。まぁ7年目だからね!・・・おっ当たりだっ!ばあちゃんっ!交換してよっ!」
僕は佐川 春。普通に高校まで何事もなく卒業し、普通の企業に就いた。普通のサラリーマンだ。
小さい頃からこの駄菓子屋は行きつけで、就職してからもよく来る。
心が落ち着く場所だった。
---その落ち着く場所で人生の転機が訪れる事を知るのはあと数分後だった。