ぱんつ、ぱんつ、あごー。
いもうとパンツ。
学名:Panchu panchu my sister (Oni-chan,2016)
新雪のように真白で無垢な存在“妹”の身に纏いし聖衣が一つ。
それは、穢れを知らぬイヴの羽根の様に柔らかで、
それは、一日の生命活動を一身に受けた天使のエネルギーが凝縮され
それは、まだほんの僅か乍らも主たる幼き女神の熱を宿しており
それは、ノアが如く、内々に染みたる大海の中に、二つの“アララト”を見出したる。
“妹”が持つ二つのアララトの狭間にある峡谷は、まだ未踏の地であり、
最も神聖な生命の象徴たる地。
何人たりとも侵すことかなわぬ。
たとえそれが兄であろうと。
誰かが言った。
最も穢れを知る部分を包み隠すのは、清廉の白であると。
別の誰かが言った。
生命の滴を生み出さんとすその三角州に相応しいのは、
その象徴たる水玉であると。
また別の誰かが言った。
双丘を最も美しく照らすのは、それぞれが光と影を指し示す、
二色の横縞模様であると。
そして私は叫んだ。
同じく幼い生命を端的に表すのは、瑞々しくも赤くきらめく、
甘酸たる果実であると―――。
今、私は我が家の脱衣所にいる。
―――ジャー……。
風呂場の中には、今しがた湯浴みに入ったばかりの妹(9yo)が一人。
果たして、彼女は今私が為さんとする罪深き行いを知る処であるだろうか、いや、知らぬ。
無垢な妹を傷つけたくはない。
私は、その一心で声を潜め、物音を立てず、そろりそろりと足を踏み進める。
目指すは、洗濯機の上に置かれた脱衣カゴの、その中。
取り出したるは、小さく、木綿の、小さなリボン通しの付いた、いもうとパンツである。
なんと、神々しいのであろうか。
思わず、感動を覚えるほどに美しい三角形のソレを広げる。
白くて、ふわふわで、まだほんのりとあたたかいいもうとパンツの、最も神聖な処である、クロッチ。
妹の最も神聖で、穢れた、相反する二つの要素を併せ持つ処を、一身に受けたクロッチは、ほんの僅か乍らに、黄色いシミをつくっていた。
我が神は、此処に居たり。
私はいもうとパンツを手に取ったまま、膝立ちとなり神への感謝のポーズをとる。
ありがとう、神様。
ありがとう、妹。
目の前で組んだ両手の中で、いもうとパンツの温もりをしっかりと感じ取る。
さっきまで、妹が、身に着けていた……っ!
辛抱、溜まりません。
私は汲んだ両手をほどき、両足を通す穴いっぱいに、指を広げる。
いもうとパンツで、パンツあやとり。
私の眼前に広がるのは、まさしく露わにされた、ほんのり黄色みを帯びたクロッチ部分。
緊張で、心臓がバクバクとなる。
風呂の中の妹にまで聞こえるのではないかという程に、昂っているのが分かる。
恐る恐る黄色く染みた部分を鼻元へと近づければ、
甘酸っぱいような、それでいてツンとするような芳醇な香りが鼻腔を擽るのだ。
何と、至福の時であろうか。
そのままさらにクロッチを顔へと近づける。
私は無意識のうちに舌先を、それへと伸ばしていた。
あと8,6,4,2……
―――ガラララッ
「ッ!?」
妹の秘所が押し当てられていた部分に、あと舌先1cmにも満たないところである。
脱衣場の扉が、何者かによって開かれた。
見られた……ッ!?
まずい。
この状況はまずい。
言い訳のできる状況ではない。
私は、パンツを舌に押し当てようとせん体勢で固まったまま、恐る恐る視線を上へと上げた。
兄だ。
私の、4つ離れた兄が、そこにいた。
私の痴態を目の当たりにし、目を見開いては硬直しているのである。
その手に、別の……なんか妙にゴム部分が伸びたいもうとパンツを手にしたまま。
「―――兄者……ッ!?」
思わず叫んで、しまったと両手で口を押さえる。
その拍子にパンツが鼻と口に押し当てられるという運びとなり、ラッキースケベならぬラッキーパンツ。
そんな私の姿に一層目を見開いては、眉を思い切り顰めるは我が家の長兄である。
「ヌゥ……。うぬは一体、此処で何をやって居るのだ」
「ひゃひひゃほほ、いっはひふぉふぉへはふふぉほーはほへふふぁ。」
「知れたことを……、我が妹が湯浴みの最中……脱衣所で物音が聞こえれば鼠か、はたまた賊を警戒せずして、如何して兄と名乗れようか」
何やらかっこいい事を言っているようであるが、私の目線は兄の手に握られている、ゴムの伸び切った水玉のいもうとパンツその一点のみである。
「ふぁひひゃ!うふぁふぁふぁふぉほへひほっふぇふほふぉははんはほへふふぁ!?」
「ええい小癪な――ッ!まずはその口の中に押し込めたいもうとパンツを除けてからモノを語れ!」
……無念である。
私は、いつの間にやら口の中に詰め込まれていたいもうとパンツを取り出し、傍らへと置く。口内より鼻腔へとダイレクトに伝わっていた妹の刺激臭が離れ、些か口寂しさを覚えるのは当然であろう。
咥内が解放された私は、改めて兄者へと疑念を投げかけた。
「兄者!貴方がその手に持っているモノこそ、何なのですか―――ッ!!」
「……ぐぬぅッ!?」
私の投げかけた言葉に兄はたじろいだ。
これは、もはや、クロであろう。いもうとパンツは白いが。
兄者は、いもうとパンツを盗み出し……あまつさえ、自らの股間部と一身になろうとしたのである。
何と如何わしいのであろうか。何と傲慢なのであろうか。
己が身勝手な、淫猥な行為に酔いしれ、いもうとパンツを再起不能へ追いやるとは……。
彼は妹の何になったつもりだというのか。
何と愚かな。救いようのない変態め。恥を知るが良い。
「……うぬがそれを知る必要などない」
「まだ言うか、兄者!この近親女装変質者が!」
「うぬとて、近親スカトロ変質者であろうに!」
「~~~~ッッッ!?」
言うに事欠いて、私をスカトロ呼ばわりだと……?
兄者め。私の崇高なる趣味を……、この世で最も尊ぶべき滋味をスカトロ呼ばわりだと!?
もはや貴様を兄とは思わん……!
「兄者、もはや堪忍ならぬ!覚悟いたせい!!」
「フ……笑止!」
私のいもうと大好きパンチが兄に襲い掛からんとする―――まさにその時であったッ!
『ちょっとお兄ちゃんー?わたしまだおふろ中なのー、入るならもうちょっとからねー』
「ハーイ」
「ゴメンねー騒いじゃってー」
『もー、おふろくらいゆっくりさせてよー』
とても可愛らしい、妹の声が天より届いた。
おお、シャンゼリゼ。
が、此処でこれ以上騒ぐのは拙い。
あまりに煩いと、妹が出てきて我らの罪が白日の下に晒されるであろう。
それはよくない。
早急に決着を付け、凡てを兄に押し付けなければならぬ。
どうやら兄者も同じ考えに至り。ぐっと拳を構えてはいもうとパンツで拳をぐるぐる巻きにする。
……ふっ。兄者がその気であれば、私も付き合おうではないか。
互いに利き手の拳をいもうとパンツでぐるぐる巻きにした私たちは、狭い脱衣所でボクシングの構え。
逃げ場はない。
あまりに騒いでは、妹に気づかれる。
故に、一発勝負だ。
「兄者、覚悟―――ッ!」
「ほざけィッ!うぬの軟な拳など、我が剛拳の前には無力も同然よッ!!」
互いに振りかぶった、その瞬間である。
―――ガラララッ
「「ッッ!?」」
我々の手に巻かれたいもうとパンツの中、その先端となる妹の秘所が押し当てられていた部分同士がまさにぶつかり合おうとせん、その瞬間であった。
脱衣場の扉が、またもや何者かによって開かれた。
「あ、兄上達……斯様な所で、一体何をしているで御座るか……?」
「弟者!」
「ええい、うぬもか……三男よ」
我々の間に現れたのは、私の2歳年下である、弟。
弟もまた、いもうとパンツを欲せんと集いし猛者であろう。
その手には、純潔を指し示す白。豊穣の願いが込められた緑。その二色で構成された横縞のしましまいもうとパンツと、デジタルカメラ。
「そのカメラは、弟者……まさかッ!?」
「戯けがッ!うぬは近親盗撮にまで身を堕としたかッ!」
「滅相も無いっ!小生は……小生はただ!日課のいもうとパンツ観察に馳せ参じただけにござる!」
何……だと……?
確かに、そのカメラでは脱衣所から浴場内部を覗ける構造ではない。こっそり撮ろうものならば、フラッシュとシャッター音で気づかれること必然である。
「うぬはまだ白化くれるかッ!その手に持つのは何だ!答えてみよッ!」
「……しましま、いもうとパンツに御座る」
弟者は、涙を堪えるように語る。兄と違い、自分のなした罪に気付いたか。
私は、感極まる弟者をなるべく刺激しないように問いただす。
「弟者……そのしましまいもうとパンツで、一体ナニをしていたというのだ」
「それはその……写生を、少々……」
「貴様ァッッ!己が愛すべき妹を己が欲望の権化たる白濁液で汚すような真似をしただと!?うぬは……うぬは妹を何だと心得ておるかぁ!!」
「兄者、兄者落ち着け。弟者の言うソレは、そっちのしゃせいではない……。私は知っている、弟者が日々部屋に籠っては筆を用いて何かを描いているのを」
「ええい、うぬまでッ!自らの筆をカいていると申したかッッッ!」
兄者は頭が固いのか、一度勘違いした自分の淫猥な発想から外れようとしない。
我々、弟二人がナニを言おうと聞く耳持たずである。
嘆かわしいッ!兄者のしている事こそが一番欲望の権化ではないか!つまるところ妹のロリエな部分が接していたソフィなクロッチに兄者のユニ・チャームがセンターインしてはウィスパーウィスパーしていたわけなのだ。
弟者の行いを罰する権利など、兄者にはないのだ。
むしろ間違いを認めない、兄者こそが諸悪の根源である!
「兄者ぁッ!貴様が一番妹を汚していることに、まだ気づかぬかぁッッッ!!」
再び手に巻いたいもうとパンツが唸りを上げるッ!
まさに兄への断罪せんとばかりに、いもうとパンツ越しの拳は兄者のみぞおちへと刺さる。
ボフリと、いもうとパンツ越しに鈍い音が響いた。
「ぐぉォッ……!?」
兄者は、体をくの字に曲げて悶絶。
「兄者、これは私の怒りではない。弟の悲しみでもない。無垢な妹の……いもうとパンツの重みである」
もはや、勃ち上がれまい。いもうとパンツの重みを知った以上は……。
「ま、まだだ……」
「……あ、兄者。まだ勃ち上がるというのですか」
「我が背中の後ろには無垢な妹が居るのだ……。ここで一人膝をつくわけにはいかぬのだ!ここで地に伏し、お風呂場から上がってきた妹に幻滅されるのは、いもうとパンツを口に含んでぺろぺろしていた、次男の貴様だッッッ!!」
完全に立ち上がった兄者。その背後には、妹好き好きオーラが湧き上がっているではないか。何という執念。何といういもうとパンツ愛。その方向を間違えていなければ、貴方は立派な兄であっただろうにッッ!
「……ならば兄者、既にこれは妹と尊厳をかけ、どちらかが倒れるまでの死合いである!」
「上等だ!うぬには負けぬゥッ!!」
「やめるで御座るゥッッッ!!!」
私と兄者の死合いを止めたのは、妹の愛ではなく、先ほどまで罪を告白し、沈んでいた弟であった。
「弟者……」
「何故止めるのだ……」
「兄上!小生らは……小生らは元々、志を同じくした仲間では御座らぬか!斯様な詰まらぬ諍いで、共倒れとなってはいけませぬ!妹者が第二次性徴を迎えるまであと数年、早ければ今年にも双丘に草原が生い茂り始めるやもしれませぬぞ!?」
「何……だと……!?」
「弟者よ、それは本当か……ッ?」
「左様。男子に比べ、女子は成長が早いので御座る。ましてや草原が生え始めた時のことを考えるで御座るよ。妹者は今まで無頓着に扱ってきたいもうとパンツを、『お兄ちゃんたちと一緒に洗濯機に入れて洗うのは、ヤ!』と言って自ら洗い始める知恵を付けるで御座ろう。さすれば最期。我々がぬぎたていもうとパンツを楽しむ術は完全に失われてしまうで御座る!」
「そ、そんな……」
「そのような残酷なことが……!あってたまるというのか……!」
驚愕を隠せない我々兄二人に対し、弟者はさらに話を続ける。
「兄上。何故小生がいもうとパンツの写真を日々撮り続け、その様子をスケッチし、観察記録を日誌に纏めているか、分かるで御座るか……?」
「あ……あ……」
「まさか……」
「その通りで御座る。今の我々はいずれは失う一過性の輝きを享受しているに過ぎないで御座る。それが何時尽きるとも分からず、不安を抱えた小生は、ついに記録を取り始めたに御座る。まさに今この瞬間の妹を!一瞬一瞬のいもうとパンツの輝きをッッッ!!」
「それはまさか、いずれ失われた後に……」
「左様にござる。思い出はいつも甘酸っぱいので御座るよ。兄上達。」
高らかに叫ぶ弟者の姿は、いもうとパンツの真理へとたどり着いていた。
将来、例え穿かれなくなった現物が残ったとしても、果たしてそれに一体どれほどの価値があるだろうか。それよりも、今この一瞬一瞬の輝きを収めた、『いもうとパンツ観察日記』の方がはるかに価値があるのではないだろうか。
それは、輝いてたあの一瞬を切り取った。甘酸っぱい香りのセレナーデ。
「……うぬには、教えられたな……」
「兄上!」「兄者!?」
振り向けば、兄者はいもうとパンツを籠の中に片づけ、涙を流していた。
「いもうとパンツが我々の宝であるのなら、それを穿く妹もまた至宝。我は、何時しかそんな簡単なコトすら忘れ、自らを妹と同一視していた……」
「兄者、では……!」
「ああ、我はもういもうとパンツのゴムがゆるゆるになるような、愚かな行為はしない」
「兄上!分かってくれたで御座るか!」
「その代わり、と言っては何だが……いずれ妹が、いもうとパンツが我々の手から離れた時、その時は……うぬの『いもうとパンツ観察日記』を使わせてもらってもよいか?」
「……もちろんに御座るっ!小生らは、兄弟なのですからっ!」
なんということだ。
先ほどまで憎みあっていた我々兄弟が。
いもうとパンツで争っていたはずの我々が。
いもうとパンツの偶像に救われるとは。
私もまた、教えられたのだろう。
どんな優れた実像も、いずれは輝きを失う。
だが、我々がその輝きを覚えている限り虚像は輝きを放ち続けるのだ。
「……いつか妹が反抗期を迎えるその時まで」
「ああ、うぬらと我はいもうとパンツを守り続けるPantserだ」
「カメさんチームとでも、名乗るで御座るか?」
「カメさんチーム……良い響きだな」
「フ……それも悪くはないな」
「それじゃあ、小生らの、結束を祝って!」
「「「パンツァー、ゴー!!!」」」
こうして、我々3兄弟はいもうとパンツを手に取りあい、より一層固い絆で結ばれた。
それは、わずか数年で崩れ去る砂上の楼閣なのかもしれない。
だが、今この瞬間を刻み付け、味わい続ける限り。
我々の中と『いもうとパンツ観察日記』の中で、その情熱は輝き続けるのであろう。
……例え、ぱんつ、ぱんつ、あごーのお話となったとしても。
めでたし、めでたし。
ガチャリ。
「ふぅー、いい湯だったぁー」
「「「あ」」」




