謎の城
この世界のどこかに空に浮かぶ巨大な城を見た、という噂を聞きつけた探検家達は死に物狂いで探していた。世界各地の上空を見上げても目印なる物はなく、発見は困難を予想された。唯一、巨大な城を見たという噂の張本人――G・アジュレ――彼は十年前にこの世を去り、手掛かりとなる日記も葬り去られていた。
その故、どの探検家達や物好きな人々ですら、何十年経った今なお発見されていない。もはや、そんな話など信じる者は少なくなり、信じたとしても笑い話としてあしらわれるだけになっていた。
しかし。
皇国暦、四九八年。空飛ぶ巨大な城が笑い話となった三十年後、再び地上に姿を現した。誰もがその姿に驚愕し、世界を震撼させていた。その浮遊城は神出鬼没で、多くの探検家達の探求心には良い材料になっていた。その内の一人、ゲイル=アシッドもその探求心に火をつけていた。数多くの功績を遺した祖父の代から引き継いだ探検家としての魂は、今なお彼の中にある。
世界中央都市――セウルゲート――から東に五百キロメートル離れた町にあるレーン・セナに、あの浮遊城は現れたという情報を聞きつけ、俺――ゲイル=アシッド――は町に来ていた。その町で一番大きいな建物に入り、その中にいた一人の老人に話しかけていた。