実践演習!?
「おい! サム。 今日は実践訓練だ。 すぐにトナカイ連れてこい!」
と、叫びながらカリウスはサムを引きずりながら小屋から出る。
「ええ! 昨日トナカイに餌やったあと。倉庫の片付けやらされてクタクタなんですけど!?」
サムは必至にもがきながら最後の抵抗といわんばかりに反論する。
「それは両方ともお前がやらかしたことだろうが! 今回は毎回クリスマスの時に邪魔してくる『サンタ狩り』から逃げるための訓練だ! わかったらさっさとトナカイとソリ持って来やがれ!」
カリウスはそう言ってサムの尻をトナカイのいる小屋の方に向かって蹴り飛ばす。
「カリウス先輩! 今『サンタ狩り』から逃げる訓練って言いましたよね!?」
サムはそう言ってうつぶせの体勢から跳ね起きる。 いままで死んでいた目が、豆電球に電気を流したみたいに明るくなる。
「逃げるのは構いませんけど・・・。 殲滅してもかまいませんよね?」
と、言ったあとひゃっほおおおう! と叫びながらサムはトナカイのいる小屋の方に走って行った。 足元につもっている雪を全く気にせずに。
そして10分ほどたったころ、サムは反りを引かせているトナカイをつれて、戻ってきた。
「ほう。 最速記録を20分も更新か。 よっぽど『対サンタ狩り特別演習』をやりたかったらしいな。 お前が思ってるほど楽しいもんじゃねぇぞ?」
カリウスはトナカイとソリをつなぐロープがしっかりしているかの確認をしながらそう言った。
「上等。 クリスマスの度に喧嘩吹っ掛けてくるんだろ? なら二度と再起できねぇようにたたきつぶせばいいだけじゃねぇか。」
サムはそう言ってソリに乗り込み、手綱をとる。 カリウスはその様子をみて小さくこう呟いた。
「さていつまでそんな事言えるかな?」
と。
「ん? 何かいったか?」
「いや。 何も言ってないぞ。 どっかでエルフが叫んだんだろう。」
「そうか。 じゃあ行きますか。」
そう言って、サムは手綱を思い切り、トナカイに叩きつけた。 驚いたトナカイはそのまま走り始める。
「馬鹿野郎! 飛ばす魔法使わなくてどうするんだ! 『フライト』!」
カリウスが慌てて呪文を唱える。 カリウスの指から放たれた光が、トナカイを包む。 トナカイはだんだん、空へと上がって行く。
「高度のコントロールはこっちでやる。 スピードと索敵は任せる。 今回は一時間以内に10キロ先の広場までいくのが目標だ。」
「そんぐらい 楽勝! さっさと終わらせてやる!」
サムはそう言ったあと、再び手綱を思い切り、トナカイに叩きつけた。
少しテンポを速めにしてみようかなと思っています。 慣れない三人称で苦労している俺でした。