あえいおうの詩
翌檜のある朝が鮮やかに明け
縁がわに縁するものへ餌をやり
行きかい急ぐ一般車を見て
大らかで御の字の己に気づき
膿まない浮世を嬉しく思う
肩に懸かるかねて重なった過労
蹴って蹴られて蹴たおされ蹴つまずき
極まる杞憂の記憶に気遅れする
この昼下がり越えとうよする心づき滾々と
苦しいくらいくたくたの首を振る
先駆けて去る輩が寂しい
世界に背をむけた青春の寂寥
静寂に白い獅子舞いの調べが
外はそれほど底なしの夕陽に染まらず
酢橘を啜る雀はすでに滑りおちた
畳たて唯ひとり屯する寝床をつくった
鉄瓶に照る徹夜は天涯孤独だ
畜生! 死なしてなるかと乳飲み子を抱き血を吐き
とんとん息する藤吉郎と床に共倒れ
疲れてつまらぬ妻ない小さな鼓が慎ましく辛い
生半な泣き寝入りなどとなりまして
寝息はすんすん根をはやしてね
忍者よ憎むな! 偽に似た肉体を
のんびり軒をのそのそのめって
濡れたぬらりひょんに額ずけよ
はらはらと蓮の華の花嫁に餞を
変転するお遍路さんで変容を歴巡って
彼岸の火の悲壮に惹かれ
本当の星が仄か焔になり
不埒に踏み外した不届き者を不夜に思え
瞬きでまた朝の眩しさ目のあたり
面目躍如の朝こそ珍しくも面妖な飯粒
三十一の美海と美空に見惚れた朝だ
木曜の黙想をもぞもぞ盛りあげて持ち
胸でむらむらと尨毛と無心がむっくり結ばれ
柔らかで優しい安らぎがやおらにやって来た
黄泉も善きかな善きかな寄席の余生なら
左手の夢は勇気の行方にゆらーり揺れて
んとこどっこいしょ
んとこどっこいしょ
我身に涌きだす悪知恵を歪曲し
ゑゑと鵞鳥声で依怙贔屓すら婉曲し
「ゐーあーざわーるど」を歌いゐいんゐいんに生きたいと願い
乙女なき童男を抱いて招き餌を片手に昼と朝のあわいを味わう
んとこどっこいしょ
んとこどっこいしょ




