日常茶飯
電車が速度を落として駅のホームに入ってくる。
電車が止まり、扉が開くと、まるで巣から出ていく蟻達のように人が電車内から吐き出される。
そんな日常的な様子を、眠たそうに眺めていた俺の頭に、ゴツンと衝撃が走った。
「~~っ!毎日毎朝人の頭を殴るな!ノゾミ!」
頭を押さえながら振り返り、非難する俺の前には、案の定、『紅坂 望』の姿があった。
赤みがかった長い髪を左右にまとめた、俗に言うツインテールに、スレンダーな体型、胸は…まあ大きいとは言えないだろう。
「毎日毎朝、挨拶を返さないアンタが悪いんじゃない!」
「そ、それでも殴るんじゃなくて、曲りなりにも幼なじみなんだから…ってオイ」
俺の反論を無視し、電車に乗り込んだ、望。
「そんな所で突っ立ってると、扉閉まっちゃうよ」
彼女に指摘され、初めて気が付き、慌てて乗り込む。
「まったく、ホントにアンタは抜けてるというか鈍いというか」
前者は反論出来ないが、後者に関しては納得いかない。
「俺は抜けているかもしれんが、鈍い訳じゃないぞ。お前も俺の反射神経の良さを知ってるだろ?」
「そういう意味じゃなくて…まあいいや、それと…えー、コホン、お、お早う!」
「ああ、オハヨウ」
漸く朝が始まった。
誤字、脱字や改良点は遠慮無しに指摘して貰えると助かります。
もし、人物紹介があった方が良いと言ってもらえたら、作ります。