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3.二重人格

素直に言います、さぼってました...

「私は、文月琴、魔法使いです」

「…はい?」

彼女の言葉に呆然とする。

魔法使い?冗談を言ってるのか?

彼女の顔を改めて見るがその冗談を言っている表情ではなかった。

「えっと、魔法使い?つまり君は魔女ってこと?」

「はい、私は見習い程度の魔法しか使えませんが」

その魔法が先程見た空を飛ぶ魔法ということだったのだろう。

「魔法があるとはあまり信じられないが...さっきこの箒で浮いていたもんな」

「はい、見られちゃいましたので、もうどうにでもなれと思い伝えました」

そういう彼女の顔はあきらめと自暴自棄が入ったような満面の笑みだった。

「どうにでもなれってことは…一般人にバレちゃ?」

「はい、当然だめです!」

「なるほど…もう一つ、一般人にバレた場合の対処は?」

彼女は笑みを浮かべながら少し間を置き、口を開いた。

「コロスシカナイデスヨネ」

今までの彼女の言葉遣いからは考えられない発言にゾッとする。

真意を確かめるべく彼女に目を合わせるとあることに気が付く。

「目が…」

先ほどまで空色をしていた彼女の瞳は血のような深紅に染まっていた。

ズキッと頭が痛む、今朝と同じだ。

頭を押さえながら彼女に目を向けるとハッとしたように頭を振った。

「す、すみません今のは冗談というかなんというか~」

バツの悪そうな彼女はぶつぶつと何か独り言を言い再びこちらに語り掛ける。

「まあいいでしょう、お話しします」

「はい…なにを?」

彼女は改めて意を決し、話し始めた。

「実は私、二重人格なんですよ~、表の人格は私なんですが、裏の人格がちょっと厄介な魔法使いでして~」

「……」

「私は彼女のおこぼれで魔法使えるんですがね、しっかりとした魔法は彼女しか使えなくってー……」

何とも言えない表情をしていたのか、俺の表情を読み取った彼女も黙ってしまった。

「えーっと、っていう設定?」

「そ、そう思われますよね…久」

苦笑いしながらそういうと、彼女は立ち上がる。

「実際に見てもらった方が早いですね、それに先ほどの殺すというのはこのご時世当然冗談ですが、魔法使いの存在がばれていけないのは事実です」

羽織っていたマント、いやローブから杖を取り出した。

「ですので少しの間の記憶を書き換えさせていただきます、痛くはしないので少し我慢してくださいね」

そういうと彼女の周囲が少し青く光り、ふわりと風が舞う。

「こっちの意思は関係ないんですね…」

彼女が杖で何かを空中に描いた、かと思えばそれを杖で振り払った。

「絶対、ころさナイ…よウ…に…」

ドサッ

最後に何かつぶやいた彼女はその場にしゃがみ込んでしまった。

「あの、だいじょー」

心配し彼女に近づこうとした時、ブワっと風が吹き、辺りが赤い光に包まれた。

風に吹かれたプリントが部屋の中を舞う中彼女は立ち上がる。

中を待っていたプリントのうち1枚が彼女の頭に乗っかる。

プリントはちょうど彼女の顔を隠してしまい表情がわからない。

「あのー、文月さん?これって成功なんですか?」

俺にはまだ彼女が魔女だという記憶、そして2重人格だという設定を聞いてしまった記憶が残っている。

「エエ、コロシはシナイわヨ」

彼女がそうつぶやき頭に乗っていたプリントを手で払う。

ようやく見えた彼女の表情に、いや目には見覚えがあった。

ズキっと頭が痛む、今朝と同じだった。

そして彼女の眼の色、血の色のような深紅に染まった目の色も、今朝一瞬だけ見たものと同じだ。

「君は…」

「フミヅキよ、ウラノジンカクの」

先ほどまでの彼女とは纏っている雰囲気がまるで別人だった。

「なるほど、2重人格というのも本当だったんだな」

痛む頭を押さえながら立ち上がる、いつでも逃げられるよう、そうしろと本能が訴えかけている。

「で、君なら俺の記憶を消せるんだろ、君たちのことは忘れるから早く始めよう」

その言葉に返答はない、彼女はこちらをなめるように見つめ「ナルホド」とだけつぶやいた。

なにが?と思いながら、次の行動を考える。逃げるべきか、彼女に従うべきか。

俺はー

「アァ、あァ、あー、よし」

「え?」

彼女が急に声を整え始め、あっけにとられる。

彼女の声は少し演技掛かった片言から元の人格と同じ声色になっていく。

「お久しぶり、でいいかしら?天田和樹君」

「お久しぶり?どういう?」

そして開かれた口から放たれた言葉の意味を理解できずにいる俺に彼女は少しずつ歩み寄ってくる。

「私はあなたを探していたの」

広くない室内とはいえ、数メートルはあった彼女との距離がほぼゼロとなり、目の前に彼女の顔がある。

「あなたは私の、運命の人だから」

彼女はあっけにとられ動けずにいた俺の唇をふさいだ。


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