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ラビッツ  作者: 無傷な鏡
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〇〇二 献上の儀式

 

 霊兎族の都市では一年に一度、献上の儀式が行われる。

 

 献上の儀式とは、霊兎族の人間(霊兎・兎人)をドラゴンに捧げるための儀式であり、ドラゴンに捧げられる霊兎のことを〝献身者〟という。

 

 儀式には爬神官(はしんかん)(爬神族の神官)が神兵(しんぺい)(爬神族の兵士)たちを引き連れて参加し、献身者を袋に詰めて持ち帰るのだ。儀式の際、爬神族使節一行を先導するのが蛮兵(蛮狼族の兵士)たちで、蛮狼族は爬神族の番民として、霊兎族の都市や町、村などに監視役として常駐し、罪を犯した者への罰を与える役目を担っているのだった。

 

 献上の儀式は霊兎族にとって爬神族に忠誠を示す大事な機会であり、爬神族にとって霊兎たちにその威厳を示す機会だった。

 

 毎年、儀式はつつがなく行われるのだが、二年前ラドリアで執り行われた儀式はそうならなかった。

 

 献上の儀式当日。

 

 前日の雨が嘘のように、乾いた風が塵や土埃を巻き上げながら街路を吹き抜けていった。

 

 雲ひとつない澄み切った青空。

 

 太陽の強い日差し。

 

 昨日降った雨の余韻はどこにも見当たらない。

 

 街を行き交う人々の忙しない動き。

 

 赤ん坊を抱えて家に入る母親たち。

 

 男たちは身ぎれいにして、教会前の広場に向かう。

 

 ザッ、ザッ、ザッ・・・

 

 ラドリアの西の入り口にあたる西大門から街に入ってきた爬神族使節は、その威厳を示しながら、街の中心にある中央広場へとゆっくりと行進していく。

 

 その数はおよそ三百。

 

 爬神族(爬神・神人)は、身長が四メートルを超える巨人だ。ザラザラとした硬い皮膚を持ち、体毛のない緑色の肌と、何物をも噛み砕く大きな顎、大きな口から覗く鋭い牙、吊り上がった目の中に覗く濁った金色の瞳、どれをとっても不気味で、見た者に恐怖を与えずにはおかない存在だ。

 

 神兵は上半身裸で、下半身は白色の布を巻いて隠し、腰に巻いたベルトに剣を下げ、そして裸足だった。

 

 そのザラザラとした体毛のない緑色の皮膚。

 

 その体は鋼のような筋肉に覆われ、隆々と盛り上がった腕や足の筋肉は、この世界を支配する者に相応しい絶対的な力を示している。

 

 兎人にとって神兵たちは分厚く高い壁のように見え、その威圧感は、沿道の人々に腹の底から湧き起こる恐怖と、畏怖の念を抱かせるものだった。

 

 沿道で爬神族使節を迎えている人々の多くは、年寄りや女性、子供たちだった。

 

 ただし、乳飲み子を抱えた母親はいない。

 

 赤ん坊が泣いて行進の威厳に傷をつけてはならないからだ。

 

 使節一行が近づいてくると、人々は静かにし、それが通り過ぎるまでじっとしていなければならない。

 

 爬神族使節は西大門の外に武官の乗ってきた軍馬や爬神官を乗せた馬車を停め、爬神族の威厳を示すために、わざわざ乗り物を降り、爬神官を中心に行列を作って街中をゆっくりと行進するのだ。

 

 神兵は前と後ろの二つの隊に分けられ、その間を、台車に載せられた白と金を基調とした美しい輿が、威風堂々ゆったりと進み(車輪のついた台車を引く神兵が四人、後ろから押す神兵が四人)、行進の最後尾はたくさんの樽が積まれた荷車で、それがラドリアへの贈り物だった。

 

 列の真ん中で美しい輿にゆったりと胡座(あぐら)をかいて座り、沿道の霊兎たちを見下すように眺めているのが黄色の肌をした爬神官だった。

 

 爬神官の服装は一枚布をゆったりと体に巻き付けて左上半身から下半身全体を覆い、右肩から右胸の一部を露出させるもので、足は裸足だった。

 

 肌の色がその位を表していて、黄色の肌は高位爬神官の証だった。

 

「父ちゃん、あの人だーれー?」

 

 子供が輿の中の爬神官を指差した。

 

 輿の高さは神兵たちの腹の高さであるが、それは兎人たちの顔より上の高さにあり、

 

「声を出しちゃダメだ」

 

 父親は慌てて子供の頭を掴んで下を向かせた。

 

 静まり返った沿道の人混みの中から、そんなやりとりの声が聞こえてくる。

 

 緊張感のない男の子と、青ざめた父親の声だった。

 

 その声が爬神官の耳に入ると、

 

 チリン、チリーン・・・

 

 爬神官は手元にある呼び鈴を手に取って静かに鳴らした。

 

「行進、やめー!」

 

 辺りに注意を払いながら輿の前を歩いていた爬武官(はぶかん)が大声を上げ、行進が止まる。

 

 爬武官は深緑の肌色をしていて、神兵たちより濃い肌色をしていた。

 

 爬神官が肌の色でその位を表すのと同じく、爬武官もその肌の色が位を表しているのだが、爬神官は高位になるほど色が薄くなるのに対し、爬武官は高位になるほど色が濃くなるのだった。

 

 濃緑色の肌は爬武官の証だ。(ちなみに、ひとつ上の高位爬武官は黒色の肌している)

 

 爬神官の乗る輿がゆっくりと止まる。

 

「どうなさいました?」

 

 号令をかけた爬武官が輿のそばに来て爬神官に膝をつくと、

 

「あの者の血を」

 

 爬神官は声を出した男の子の父親を指差した。

 

「かしこまりました」

 

 そう言って頭を下げると、爬武官は沿道の霊兎たちの方へ急ぎ足で向かい、爬神官の示した父親の体を乱暴に鷲掴みにして持ち上げた。

 

「父ちゃん!」

 

 男の子が父親に向かって叫ぶのを無視して、

 

「子供に別れを告げることを許す」

 

 爬武官は冷たく父親に告げた。

 

 爬武官の低く尖った声。

 

 その冷酷な眼差し。

 

 そこから漂う殺気のようなものが、この爬武官がただの爬神ではないことを物語っていた。

 

「父ちゃんを放して!」

 

 男の子は爬武官に向かってそう叫ぶ。

 

 周りにいる人たちは同情の眼差しでその様子を眺めているだけだった。

 

 父親は頭を鷲掴みにされたまま、息子を優しく見つめ語りかけた。

 

「エラス、いいんだよ、これで。すべては神の計らいなのだから、それを受け入れることで、父ちゃんは天国に行ける。エラス、父ちゃんを祝福するんだよ」

 

 そう言って父親は笑ってみせるが、その目は悲しみで一杯だった。

 

 しかし、そこに恐怖はなかった。

 

 ただ我が子との別れが悲しいのだ。

 

「父ちゃん!父ちゃん!」

 

 男の子は目の前に聳え立つ巨大な爬武官に対する恐怖心と、父親がいなくなってしまうかも知れないという強烈な不安から、足がすくみ、その場で父親に向かって泣き叫ぶことしかできなかった。

 

 男の子が通りに飛び出さないように周りの大人たちも気にかけていて、後ろに立つ老人が男の子の肩をしっかりと掴んでいるのだった。

 

 爬武官はその光景を冷たく見つめ、泣き叫ぶ男の子に「ぺっ」と唾を吐くと、突然、

 

「ギャンギャンうるせえな、このガキ!」

 

 と怒鳴って周りの霊兎たちもろとも思いっきり蹴飛ばしたのだった。

 

「ギャッ!」

 

 そこにいた四、五人の霊兎が一遍に蹴飛ばされ、さらに周りの多くの霊兎たちにぶつかって、何人かは意識を失ってぐったりとし、何人かは体をぶつけた痛みにうずくまるのだった。

 

 誰も声を出さない、それは異様な光景だった。

 

「エラス!」

 

 父親は息子の様子を確かめる。

 

 息子の後ろに立っていた老人が、息子を(かば)うように抱きしめているのが見えた。

 

 ありがとうございます・・・

 

 父親は心の中でその老人に感謝するのだった。

 

 爬武官に蹴られた恐怖で身を縮こまらせ、ただ涙を流す我が子の顔を見ると、

 

「ぐっ・・・」

 

 父親は涙が込み上げて来るのを、歯を食いしばって(こら)えることしかできなかった。

 

 エラス、立派な大人になるんだぞ・・・

 

 父親は目を閉じ、残される我が子の幸せを祈る。

 

 爬武官が父親を鷲掴みにしたまま爬神官の前に戻ると、丸い器を持った神兵が駆け寄って膝立ちになり、その器を胸の前に差し出すようにして構えた。

 

 爬武官は腰に下げた剣を抜くと、神兵が構える器の上で、父親の首をサッと切った。

 

 シュッ!

 

 切った父親の首から血が噴き出し、その血が爬武官の顔にかかった。

 

 爬武官は口元にかかった血を舌で舐めとり、その味を楽しむかのような笑みを浮かべる。

 

 父親の血は神兵の構える丸い器に注がれていった。

 

「うぐぐ・・」

 

 父親は呻き声を漏らしていたが、ほどなく絶命し、爬武官の手の下でぶらぶらと揺れた。

 

 器の半分ほど血が注がれたところで、血が出なくなった。

 

「もうよい」

 

 爬神官は爬武官からコップを受け取ると、ごくごくと一息にその血を飲み干した。

 

「霊兎の血は美味い」

 

 爬神官はそう満足げに言うと、爬武官に向かって手を伸ばし、爬武官は右手に握っていた父親を爬神官に恭しく差し出した。

 

 爬神官はダランと伸びきった父親の両足を鷲掴みにして受け取ると、そのまま頭上高く持ち上げ、大きな口を開けて頭からかぶりつく。

 

 ムシャムシャ、ゴキッ、バキバキッ・・・

 

 肉を咀嚼する音、骨を砕く音が、静まり返った沿道に響き渡り、

 

 ゴクンッ・・・

 

 爬神官は父親をその衣服ごと食べ終わると、口元から血を滴らせながら、ニヤリと笑って沿道の霊兎たちを見渡した。

 

 沿道の霊兎たちは畏怖の念を持ってその光景を見つめ、そして爬神官に向かって深く頭を下げて殉教した父親の霊兎を祝福するのだった。

 

 神への奉仕として神人に身を捧げることは、兎人にとって光栄なこととされていたし、生まれた時からそう教えられてきたから、兎人にとってそれは当たり前のことで悲しむべきことではなかった。

 

 だからこそ、この父親の霊兎は喜んで爬神官に身を捧げることができたのである。

 

 爬神官に食されることでさえ喜びなのだから、献上の儀式でドラゴンへ捧げられる献身者となることは、兎人にとって特別喜ばしいことであり、栄誉なことだった。

 

 ザッ、ザッ、ザッ・・

 

 行進は続けられた。

 

 爬神族使節の行進は中央広場で一旦歩を止めると、そこで蛮狼族監視団と合流し、蛮兵たちを先頭にして、改めて街の北端にある教会に向け行進を始めるのだった。

 

 蛮狼族(蛮狼・狼人)は、筋肉質でガッチリとした体躯をしていて、灰色に黒が混じった髪色で男は毛深く、口元からのぞく牙が野性を感じさせ、もともとが狩猟民なために、狩りを得意とし、狙った獲物をいたぶるように追い詰め、残酷に殺すというような獰猛な性質を持っている。

 

 蛮兵たちの恰好はというと、ズボンは穿かず、膝下まである長い筒型衣に革のサンダルを履いていて、腰に巻いたベルトに剣を下げている、といったものだ。

 

 筒型衣の色がその階級を表していて、一般の兵士が土色の筒型衣を着ているのに対し、武官は灰色、灰黒色、黒色の筒型衣を着ていて、色が濃くなるにつれ階級も上がるのだった。ちなみに、体毛がなくカサついた肌をしている神兵と違い、蛮兵は毛深くムキムキの体をしているため、その姿は神兵の放つ冷酷さとは違った暴力的な威圧感を放っているのだった。

 

 教会前にある広大な広場では、コンクリによって選ばれた献身者の霊兎が檻に入れられ用意されていた。

 

 そしてその檻を守るように護衛隊の隊士たちが立っている。(護衛隊は霊兎族における軍隊の名称だ)

 

 隊士たちの恰好は、半袖の筒型衣、太もものあたりがゆったりとしたズボンの上にブーツを履いていて、腰に巻いたベルトに剣を下げ、腕にはアームガードをつける、といったものだ。(班長以上はマントを羽織り、班長は青色、副隊長は紺色、隊長は黒色のマントを羽織っている)

 

 緊張感に支配された教会前広場。

 

 広場に集まる群衆は神妙な面持ちで、爬神族使節の到着を待っているのだった。

 

 そして、そこから遠く離れた場所から、儀式の様子を窺う子供たちがいた。

 

「あそこにパパとママがいるの?」

 

 マーヤは教会前に小さく見える檻を指差した。

 

 その表情は、状況を理解していない無邪気なものだった。

 

 シールは涙を浮かべた目でじっと檻を見つめたまま、

 

「うん」

 

 マーヤに視線を向けることなく頷いた。

 

 シール、マーヤ、トマスの三姉弟は、教会前広場の西、離れた場所にある高台の原っぱに腰を下ろし、教会前の光景を眺めていた。

 

 シールの右隣にマーヤが、マーヤの右隣にトマスが座っている。

 

 この日は施設で働くターリおばちゃんにここまで連れて来てもらったのだった。

 

 ターリは精鋭養成所出身者で、毎日ボランティアとして生活棟で子供たちのために食事を作っている中年の女性だった。

 

 優しい彼女はシールにお願いされ、教会前広場が見えるこの高台の原っぱまで三人を連れて来たのだが、今は少し離れたところで一人居眠りをしているのだった。

 

 その日は晴れていて、高台に吹く風が心地良かった。

 

 三人は献身者に選ばれた両親の姿を最後に見ておきたくて、教会前の様子が一望できるこの原っぱに連れて来てもらったのだけど、この距離だと檻の中の献身者たちの姿を確認することはできなかった。

 

 それでも、そこに両親の存在を感じて儀式を見守るのだ。

 

「パパとママ、神様に会いに行くの?」

 

 マーヤがそう言ってシールを見上げると、

 

「そうよ。パパとママは神様に会いに天国に行くの。そのためにコンクリ様が選んでくださったのよ」

 

 シールはそう答えながら、優しくマーヤの頭を()でた。

 

「コンクリ様が決めるの?」

 

 マーヤはコンクリを知っているが、施設で一番偉い人だということはわかるけれど、どういうことをする人なのかまだ理解していなかった。

 

「そうよ。コンクリ様は神様のお友達なの。だからぁ、コンクリ様に選ばれた人はぁ、神様に会えるんだよぉ」

 

 シールはできるだけ気持ちが明るくなるように、おどけた言い方で説明した。

 

 すると、

 

「コンクリ様、すごーい」

 

 マーヤの隣で二人の話を聞いていたトマスが、目を丸くして大きな声を上げた。

 

 突然の大声にビクッとしたマーヤはトマスに振り返り、

 

「トマス、驚かさないでよ」

 

 そう言ってトマスのおでこを軽く叩き、マーヤにおでこを叩かれたトマスは、

 

「でへへ」

 

 と、舌をペロッと出して笑う。

 

 まだ四歳のトマスは状況をまったく理解していない。

 

 マーヤはシールに改めて振り向くと、

 

「コンクリ様に選んでもらえるって、凄いことだよね」

 

 そう自分に言い聞かせるように言って、両親との別れを自分なりに納得しようとするのだった。

 

 一ヶ月ほど前、教会の使者がパパとママを迎えに来たとき、泣いて駄々をこねるマーヤに、

 

「これはお別れじゃないのよ。だから、泣かないの。笑って、ね、笑って」

 

 優しいママはそう言って、いつもの温かい笑顔でマーヤを抱き締めたのだった。

 

 そんなマーヤの姿を見ているシールには、マーヤの気持ちが手に取るようにわかっていた。

 

 マーヤの寂しそうな笑顔を見ていると、自分も我慢できなくなりそうだった。

 

 シールだって、頭ではこれが良いことだとわかっていても、両親との別れはやっぱり辛かった。それが正直な気持ちだった。あのときだって、シールは泣くのを歯を食いしばって我慢したのだ。

 

 だから今だって、

 

「コンクリ様に選ばれることはとても素晴らしいことなのよ」

 

 シールは明るく応えて笑顔をみせるのだった。

 

「パパとママは寂しくなかったのかなぁ」

 

 トマスは教会前広場を眺めながらそんな疑問を口にする。

 

 広場には爬神軍使節が入場しているところだった。

 

 遠目にもその神兵の迫力が伝わってくる。

 

「寂しかったと思うよ」

 

 シールがそう応えると、

 

「寂しいに決まってるじゃない」

 

 マーヤはムキになって両親の気持ちを代弁した。

 

 しかし、トマスは納得しなかった。

 

「だったら、なんで喜んでたの?寂しいのに?」

 

 と首を傾げ、

 

「嘘をついてたったこと?」

 

 そう言い返すのだった。

 

「嘘をついてたわけじゃないと思うんだけど・・・」

 

 シールはうまく答えることができず、

 

「それとこれとは別なの」

 

 マーヤはそんな風に誤魔化すのだった。

 

「ふーん」

 

 トマスは納得しなかったが、特に言い返すことはせず教会前広場に目を向けるのだった。

 

 一方、姉の二人はトマスの指摘に困惑していた。

 

 寂しいのに何で喜んでるの?

 

 そのトマスの投げかけた素朴な疑問は間違いなく、二人の物の見方、捉え方に影響を与えるものだった。

 

 それから三人は言葉少なく儀式の様子を眺め、時間だけが淡々と過ぎていった。

 

 そして、献上の儀式が終盤に差し掛かり、

 

「もう終わり?」

 

 トマスがそう尋ねた、そのときだった。 

 

「おおおお!」

 

「わぁぁああ!」

 

「うわぁ!」

 

 教会前広場に集まる群衆からどよめきの声が上がった。

 

 シールははっとして教会前広場に目を()らした。

 

 何が起きたのだろう・・・

 

 ここからだと、ざわついていることしかわからない。

 

 マーヤも何が起こったのか確かめようと教会前広場をじっと見つめた。

 

 パパとママに何かあったら大変だ・・・

 

「パパ!ママ!」

 

 マーヤは思わず叫んでいた。

 

 シールは嫌な予感に胸の鼓動が激しくなるのを感じながら、パパとママの無事を祈るのだった。

 

 トマスはそんな二人とは対照的に淡々と教会前の様子を眺めているだけで、

 

「ああ、これが物語の始まりなんだ」

 

 ポツリとそう呟くのだった。

 

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