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バックアップ ワールド~修復屋さんの業務日誌~  作者: モパ
【1ー1】動乱の始まり
9/110

寸法臣一族のニギリステと、ツキの回って来た人達

「バカ様達……

ヤバそうな人達に連れてかれているわ。」


テショミが、ボソッと呟いた。



【空の目】と呼ばれる、この世界の人工衛星的な物を利用して、

カーナビみたいな使い方や、Goo◯leア◯ス的な使い方が出来る、【空の目のナビ】を利用して、

そろそろ、俺達が消えた事を察するであろうバカ様達の動向を、確認しておいて良かったわ。



「バカ様を、一方的にボコるなんて……

あいつ……相当やるわね。


一介の盗賊とは思えない。

一体、あいつ達は……何者なのかしらね……」


テショミが、首を傾げながら、【空の目のナビ】を見ている。



「管理人の旗と……よく分からない旗が出てるな。多分……

この辺りを仕切る、管理人の見習いと、

この辺りを仕切る国の軍の混成部隊じゃないか?」


「成る程。そう言われれば、シックリくるわね。

じゃあ、バカ様は……何故にボコられた?」


「生意気だったからじゃない?


流石に、このタイミングで、寸法臣一族の名を出すのがマズイ事ぐらいは……


あのバカ様だって分かっている筈だ。」


「ブフ。じゃあ……あ~なるかぁ……」


俺の見解を聞いたテショミが、

大笑いしながら、【空の目のナビ】に映る、バカ様達を眺めている。


「助けに行くか?」


「まさか?

貴方……正気?」


「酷いな。」


「普通でしょ。」


俺も、テショミも、バカ様を助ける気など、一ミリも無い。



「そう言えば……お前の左手の義手。ボロボロだったよな?

誕生日プレゼントだ。」


「嬉しい!って……今、渡す?

誕生日は、明々後日なんですけど!

てか……何で、こんな森の中なのよ。」


テショミが、モジモジしながら、憎まれ口を叩く。



ヤバい。可愛い。

化物女なのが分かっているのに……

理性が効かなくなりそうだ。



「ついでに、俺の義足も変えるつもりだったんだよ。」


「そう言えば、貴方……両足が義足よね……」


「昔、ヘマしてな。」


「な~んだ。ついでかよ。」


テショミが、プクッと、頬を膨らます。



ヤバい、更に、理性が……



「でっ、代わりに、貴女の血を……少し分けて欲しい。」


「ごめん。意味が分からん。」


テショミが、ドン引きした顔で、俺を見る。


「貴女の古い義手には、貴女の血を……

俺の古い義足には、俺の血をつけて、そこら辺に投げておく。


ついでに……

バカ様から支給された通信機器と、

寸法臣一族の担当から支給された通信機器も捨てて置こうか。


ただし……

プライベート用は捨てるなよ。」


「成る程。

バカ様達と、寸法臣一族には……

アタシ達が、死んだと見せかけるのね。」


「そう言う事。」



【プチュ】



テショミが、不意にキスをしてくる。


「取り敢えず……


人里に着いて、無事、宿屋に泊まれたら……

抜いてあげる。


どうやって、抜いて欲しいか、考えておいてね。」


テショミが、妖艶な笑みを浮かべながら、俺を見る。



ここで彼女を押し倒しても……返り討ちに合うだけだ。


そして……

彼女の申し出を断れないだろうなぁ……


まぁ……良い。

尻に敷かれる人生も捨てたもんじゃない。


古い友人が……そう言っていた理由が、何となく分かった気がしたよ。



◇◇◇



「レサとは、古い友人だ。


まぁ……

アタシの一族の寸法臣一族への借金のせいで、今は……だけど……


一応、今回の件、貴方の事を含めて、報告しておいても良いかい?」


「レサって……

土狛一族の次期当主、ゼロイチの許嫁の、あのレサか?」


「そう。そして、多分……

アタシ達と一緒に、この世界に来てしまっている……ツイテない同士だと思う。」


テショミが、ニヤリと笑いながら、俺を見る。


「そうしてくれると有難い。」


俺は、そう言いながら、レサに頭を下げた。



ーーーーーーー



「キュドン様。あの~。

捕まえた奴達なんっすけど……その……

【高次元の施設のセキュリティ キー】が付与された、アラート ジリスを逃がしてしまったとか、言ってるんっすよね……


それに、その……捕まえた奴の独りが……その……

寸法臣一族の長の末子。ニギリステ様だと、仰られてるんですが……


どうしたもんっすかねぇ……」


『何で、俺よりも、ニギリステとか言う小僧の方が、

格上のような物言いなんだよ?

もしかして……犠牲者が、かなりに出たのか?』


「言え……その……ニギリステ様は……


【武聖】のジョブ補正こそ受けられてるのですが……その……

ジョブロさんの一回のアンチ サイで、無力化されて……

一瞬で、ジョブロさんに、フルボッコにされてたっす。


ただ……その……オフメさん曰く、

ニギリステ様は、嘘は言ってないみたいです。


勿論、向こうの世界からの情報から、

ニギリステ様が、向こうの世界のダンジョンの暴走の調査団に加われるような器ではない事は……


お会いして間もないですが……十二分に理解する事が出来てるっす。


だけど……嘘は言って無いらしいんっすよね……」


『そうか。

暫し待て。追って、指示を伝える。』


キュドン様が、苦笑いしながら、

混乱する、ウゴメスさんに、指示を出した。



◇◇◇



【ブッ・ブッ・ブッ】



ウゴメスさんの通信機器が鳴る。



「はい。ウゴメス。」


『待たせたな。

寸法臣一族との話し合いが終わった。


両足が義足の男と、左手が義手の女は使えるらしいから……

口止め料として、俺達の配下にして、

この世界を閉じた主犯達と、寸法臣一族との繋ぎ役をさせる事になった。


でっ、ニギリステは……消せ。


それと……

本当に3人なのか?5人では無いのだな?』


キュドン様が、ウゴメスさんに、

淡々とした口調で、指示と質問をされる。


「3人っすっけで……

どう見ても……2人とも女っすよ?」


『そうか。その2人が、ハケオとテショミか……

至急、確認してくれ。』


「了解。

先に片付けをして、直ぐに、聞き取りします。」


ウゴメスさんが、キュドン様の指示に、短い返答を返す。



◇◇◇



【トン】・【ボト】



「キャァァァァー」×2


ウゴメスさんが、何も言わずに、

ニギリステの首を刎ねたのを見て、

残りの2人が、悲鳴を上げる。



「黙るっす。」



【ジョワァァァー】×2



冒険者・狩人・運び屋・漁師・船乗り等のジョブの上位互換である、【踏破者】のジョブ補正を受けている、ウゴメスさんの一睨みに、2人は、失禁してしまった。



「ハケオと、テショミってのと話がしたいんっすけど……」


ウゴメスさんは、

この残念な2人が、ハケオとテショミでは無いと踏んで、確認作業に入る。


「その2人なら……


【高次元の施設のセキュリティ キー】が付与された、アラート ジリスを探しに行ってます。


もう少ししたら……帰って来るとは思うのですが……」


女がそう言いながら、胸の谷間を見せつける。



「名前。」


「ヤリヨで、ございます。」


『好きにしろ。』


通信を切らずに、やり取りを聞いていた、キュドン様が、

淡々とした口調で命令される。



【トン】・【ボト】



ウゴメスさんが、何も言わずに、ヤリヨの首を刎ねた。



ウゴメスさんは……見た目こそ、イケメンの男だが……

体も中身も女だ。


そして……乳が無い事に、大きなコンプレックスを感じている。


ヤリヨは、ウゴメスさんの地雷を踏んだ。

可哀想だが……殺されて、当然だ。


「勿体ねぇ……」


「あぁ?」


ジョブロさんの不用意な発言に、

ジョブロさんを密かに慕う、ウゴメスが、ぶちギレモードだ。


「キュドン様は、新しい牛女を欲してる。」


ジョブロさんが、飄々とした顔で、

ぶちギレ寸前のウゴメスさんの頭を、ポンポンしている。



◇◇◇



『そうだな。それに……

本物の異世界のダンジョンの調査団の情報も欲しいしな。』


「寸法臣一族は……その情報を、くれなかったんすか?」


『くれたよ。だが……修復屋の情報。あれは……あり得ない。


能力的には、面白そうな能力だが……

その能力を欲した意味が分からない。


しかも、この辺りに飛ばされて来た、本物のダンジョンの調査団の編成は、

寸法臣一族のライバル。土狛一族が仕切ってるらしい。


先方は、嘘はついてなかったが……

ありゃ、多分……騙されてるな。』


キュドン様が、苦笑いしながら、

これ幸いと、話を逸らそうとしておられる。



「訳がわかんね……

乳女の片割れ。

本物のダンジョンの調査団の情報を持ってるか?」


「わっ、わっ、私は……その……詳しく知りません。

【治癒師】として、ニギリステ様の慰み者として、同行しただけです。」


「嘘はついてないみたいです。

キュドン様?連れて帰りますか?」


オフメさんが、淡々とした口調で、

キュドン様に質問をする。


『イラン。顔が好みじゃない。』


「ブヒャヒャヒャヒャヒャ。」


キュドン様の返答に、

乳女を憎む、ウゴメスさんが、大笑いしている。


「じゃあ……置いてくか。

戦闘が不得手なジョブ補正を受けてる者にとっては……

その方が、苦痛を与えられるぞ。」


「良いね。それ。」


ジョブロさんが、敢えて、

ウゴメスさんの、ご機嫌を取る為に、酷い提案をする。


そして、乳女を憎む、ウゴメスさんは……

大満足な顔をしている。



【バキ・ボキ】



「キャァァァァ」


ジョブロさんは、

剣の鞘で、乳女の両膝を砕く。


これで……

万が一にも、この森から、一人で出られる事は無いだろう。



「ラネト。


【空の目のナビ】で、こいつの動向を把握する事が出来るように、マーキングしとけ。


こいつが動くとしたら、それは……

ハケオとテショミとやらと、接触した時だけだろうからな。」


「了解。直ぐに準備します。


それと……

こいつ達の持ってる通信機器へのハッキングも終わってます。


盗聴も始めます。」


「おう。頼む。」


ジョブロさんは、俺の返答に、満足そうな顔をしている。



ーーーーーーー



「うわ……

何時、アバズレ1号に、プライベート用の連絡先なんて、教えてたんだろう……」


「同業者だもんね……何処かの仕事でかち合ったんだろう。

だけど……今回の通信を最後に、着拒しなよ。」


テショミが、少し、イラっとした顔をしている。


何も悪くないし、まだ……何も言われなくても良い関係なのに……


背中に、変な汗が滲み出てくる。


「勿論。てか……お前は死んだ。俺も……義足を壊されて動けない。

そう言う設定にするぞ。」


「分かった。


けど……

通話は、スピーカーにしな。


話の内容は聞かせて貰うよ。」


テショミが、ジト目で、俺を見る。


「寧ろ……聞いて欲しい。」


「宜しい。」


テショミが、俺の返答を聞いて、

満面の笑みを浮かべていた。



◇◇◇



「そうかぁ……


だけど……救出に行くのは無理だ。


テショミは、死に……

俺の義足も壊された。」


『使えねぇな!お前達……本当に使えねぇ!』


サセヨが、通話越しにぶちギレている。



サセヨの話を総合すると……

結局、バカ様は寸法臣一族の名を語り、


それが原因で、キュドン様とか言う奴の命令で殺された。


キュドン様と命令を実行した奴の会話を、サセヨは聞いて無いらしいが……


奴達は、俺とテショミに興味を持っているらしい。



とっ、言う事は……

寸法臣一族と、キュドン様と呼ばれている奴は、

何らかのパイプを持っているのだろう。



サセヨには悪いが……


そんな危ない奴達が居る場所に、テショミを連れて戻れない。


そんでもって、

勝手の知らない人外地の森の中に、テショミを残して、サセヨの元に戻れない。


てか……

そもそも、サセヨの為に、命を張る義理もない。



【キーン……ガッ・ガッ・ガッ・ピィーーーー】



「うわ。」×2


俺だけでなく……死んだ事になっている、

テショミまで、声を出す。


「睨まなくても大丈夫よ。」


テショミは、そう言いながら、

俺に【空の目のナビ】を見せてくる。



サセヨは、巨大な虎のような生き物に……

頭から喰われている。


「多分……気配を消す、感知阻害魔法を得意とする、

サイレント タイガーね。


アタシ達も……気をつけないとね。」


テショミが、ボソッと呟いた。



テショミが、サイレント タイガーと呼んでいた生き物は、子育て中らしく、

2匹の小さな個体が現れて、サセヨの腹を食い始めた。



「取り敢えず……

バカ様と、アバズレ2号のお陰で……

レサへの連絡が取りやすくなったわ。」


「今は……何だろう?

お前の話……信じてくれるのか?」


「お前かぁ……良い響き。


まぁ……それは置いといて。


レサは【祈祷師】のジョブ補正を受けている浄冥眼持ち。

それに……アケモンの嫁……そう……セプモ。あの娘は、特異点。つまり、浄冥眼持ち。


浄冥眼は、言葉からも真偽を見抜く。

だから、通信機器を通した会話からでも、真偽を判定する事が出来るの。」


テショミが、得意気な顔で、浄冥眼の事を教えてくれる。


「そうか。少しは……ツキが回ってきたな。」


「えぇ。ツキの無い時は……環境を変えると好転する。

本当の話だったみたいね。」


「全くだ。」


テショミの自虐の入った返答に、

思わず、吹いてしまった。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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