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富士樹海のダンジョンの調査(直前編(後編))

「ねぇねぇ。なんか……


パパと、ゼロイチ先輩が、

嫌な感じの話をしてる気がするんだけど……


ガチでマズイ状況なの?」


嫁が、心配そうな顔をしながら、会話に加わってくる。


「かもね。

ところで、セプモちゃん。

祈祷師のジョブ補正を受けたら、どんな事が出来るか覚えてる?」


レサさんが、淡々とした口調で、

会話に加わってきた。


「うん。


祈祷師は、依頼者を【知恵の泉】に有る、ジョブを司るアプリとを接続する事で、

依頼者が、ジョブ補正を受けられるようにする事が出来ます。


それと……

悪霊を払ったり、嘘を見抜いたりする事が出来る【浄冥眼】を持ってます。」


嫁が、レサさんの良く分からない質問に、

丁寧に答えている。


「正解。

アタシの受けてるジョブ補正は、祈祷師。


でっ、

準特異点として得た、特別な異能は、【神遊観】。


【神遊観】っていうのは……

簡単に言えば、物体を持った、分身を作れる技ね。


アタシは、

一度に、最高で、8体の分身を操れるの。



それと……

分身は【神遊観】を使えない。


だけど……

アタシの努力の甲斐もあって、

繋ぎさえすれば、全てのジョブ補正を受ける事が出来る。


簡単に言えば、最大で、

Sクラスのジョブ補正が一度に9個、使えるって事。



それと……

覚えてるかどうか分からないけど……


Aクラスのジョブ補正とは、

Bクラスのジョブ補正を2つ受けてる状態を言う。


だから、

受けるジョブ補正をBクラスに落とせば、

分身の受けられるジョブ補正は、最大で16個。


本体のアタシを含むると、

最大で、17個のジョブ補正を一度に使う事が出来るの。



これが……

何でも出来る、スーパーな、お姉さん。なんて呼ばれている、アタシの最大の秘密。」


レサさんが、そう言うと、

ニコッと笑った。



普段、能面のようなレサさんの笑顔……

思わず、ドキッとしてしまう。



「そして……


その秘密こそ、

レサが、クールビューティーと呼ばれはるようになった理由でもあるんや。


分身は……

喜怒哀楽が少ないからな……


分身と入れ替わっても違和感が無いように、レサは……

ポーカーフェイスを極めはったんや。



せやけど……

ベッドの中では……」


「う・る・さ・い」


【ドコ】


レサさんが、

ニヤリと笑いながら話す、ゼロイチ君に、

クールな顔をしながら、蹴りを入れる。


「もう。

ゼロイチ先輩。そう言う、乙女の秘密は……

墓場まで持って行くものよ。」


「そうそう。

もっと、言ってやれ。」


嫁の援軍を受けた、レサさんが、

ジト目で、ゼロイチ君を見る。


「不老有死の存在に向かって……

墓場まで持っていけ!は、不吉すぎるやろ。


せめて……

永遠の秘密とか言って欲しいわ。」


ゼロイチ君が、

苦笑いしながら、嫁に抗議をする。


「だったら、

レサさんが、本気で怒りそうなネタは言わない。


だって……

ゼロイチ先輩、ケンカは、からっきしなんでしょ?」


「上手い。

運動音痴(ゼロイチ)が、ガサツ(レサ)に、

ケンカで勝てる道理はにゃい。」


ゼロイチ君への嫁の返答を聞いたニャレスが、

お腹を抱えて、大笑いしていた。



◇◇◇



「ほう。


レサが他者に、自分の異能を話すとは……

珍しい事もあるものじゃな。


じゃあ……

儂の異能【音波の操作】と【電磁波の操作】が、どのような異能かについて、披露するとしよう。



文字通り、音波を操作して、

ソナーのように、索敵に利用したり、

超音波を使って、虫や、鼠等の小動物を追い払ったり、

物を、木っ端微塵に破壊しはったりする事が出来る異能じゃ。



そんでもって、電磁波を操作して、

熱光学迷彩を作りだして、自分の存在を消したり、

レントゲンのような使い方をして、体内や、壁の中等を、破壊せずに調べたりも出来る。


それと……

結界で、敵や食べ物を覆い、

その中に、誘電加熱を起こして、レンジで、チンみたいな事をしたり、

導線等に、誘導加熱を起こして、IHヒーターみたいな物にする事も出来る。



後は、

電磁波を、生き物の脳に照射して、

幽霊が出たように、錯覚させたり……


電磁波を収束して、

電磁波ビームを生み出して、切り殺したり、。


電子機器に電磁波を当てて、

誤作動を引き起こされる事も出来る。



それと……

音波と電波を同時に操作して、

爆音と光を生み出して、相手の動きを止める、

スタングレネード弾的な物を生み出す事も出来る。



取り敢えず、こんな感じじゃ。

他に、面白い使い方の案が有れば……


ご教授して頂ければ、有り難い。」


ヴォルが、そう言うと、

ペコリと頭を下げる。


「凄い能力なんだろうけど……


科学っぽいと言うか……

ファンタジー成分が薄いわね……」


嫁が、苦笑いしながら、

ヴォルを見る。


「分かるか。

科学と魔法。魔術の行きつく先は、同じなのじゃ。


儂は、魔法と科学を融合させた、魔法科学を極めたくて、

敢えて、この異能を選んだのじゃ。」


ヴォルが、興奮した顔をしながら、

嫁に返答を返す。


「成る程。


ヴォルって……

見た目が、ワンちゃん以外は、

ファンタジー要素0っぽい犬なの?」


嫁が、ヒソヒソ声で、レサさんに質問をしている。


「髭ヅラの偏屈な老科学者の魂が、

とある事情で、犬の体に入った。


そんな妄想でもすれば……

少しは、ファンタジーっぽくなるかもね。」


レサさんが、ニヤリと笑いながら、

嫁に返答を返す。


「妄想ねぇ……

でっ、現実は?」


「偏屈で、科学好きで、

普通の人よりもの知的好奇心に満ち溢れた、

セラブラム ミアキスと言う幻獣。


論理的な話で勝とうとは……

決して思わない事ね。



てか、アタシのように、

獣よりも、おバカと言う事実に、

速やかに受け入れる事をオススメするわ。」


レサさんが、苦笑いしながら、

ヒソヒソ声で、嫁にアドバイスをしていた。



◇◇◇



「最後は、妾かにゃ。


妾は、ヴォルと違うて、

ファンタジー要素満点にゃ。


持ってる異能は、

【高時間分解能】と【物異透過】にゃ。



【高時間分解能】とは、


体感時間を長くする能力にゃ。


分かりやすく言えば……

全ての動きが、スローモーションのように見えるようにする能力にゃ。


因みに、この能力は、

一回につき、6時間程度、

他者に付与する事も可能にゃのにゃ。



【物異透過】とは、

壁やドア、肉体と言った、物理的な障害物や、

魔法で作った結界等、異能で作った障害物を、

すり抜ける能力や。


それだけじゃにゃいにゃ。

すり抜けた先に、にゃにが有るかを把握する為に、

透視能力も、セットでついてきたにゃ。


更に、この能力も、

一回につき、6時間程度、

他者に付与する事も可能にゃのにゃ。



妾は、どんな場所にも、忍び込める。

隠密行動のプロにゃのにゃ。」


ニャレスが、得意気な顔で、

僕と嫁に、自分の異能を説明してくれる。


「ゴメン。


偏見かもしれないけれど……


猫っぽい感じの生き(セブラハム ミアキスのメス)が、

その能力を持ってるのは……


とても、危険な気がするんだけど……」


そんなニャレスの話を聞いた嫁が、

苦笑いしながら、レサさんに、ヒソヒソ声で話す。


「少なくとも、ニャレスに対しては、偏見じゃないわ。


ニャレスは、【物異透視】を悪用して、

オヤツを盗み食いしたり……

オヤツにつられて、風呂や更衣室の覗きに加担したり……


皆で、手品を見てる時に、

見える世界をスローモーションにして、

種も仕掛けも、丸見え状態にしたりと……


兎に角、やりたい放題するの。



仕事仲間としては、頼りになるけれど……

ペットとしては、困った奴以外の何者でもないわ。」


「ハハ。

見た目通りかよ。」


レサさんの呟くような返答に、

嫁が苦笑いしながら、ニャレスを見ていた。



◇◇◇



【パン・パン・パン】



「ハイハイ。


無駄話は、それぐらいにして、

仕事の話をしましょうか。


取り敢えず、ゼロイチに頼まれていた物は揃えたわ。」


何時の間にか、僕達の近くに居たコロチンさんが、

手を叩きながら、ダラダラ モードの僕達に苦言を呈してくる。


「おっ。


人数分の【人外地の標準装備】に、

キャリー ケース型のマジック ボックスが1個。

それと、アーティフィシャル シー フォースが4体。

更に、アケモン君とセプモちゃんの武器。


よう短期間で集めてくれはったわ。

ホンマ、コロチン先輩は、頼りになるわ。」


「頼り無い先輩で、悪かったわね。」


コロチンさんに愛想を振り撒くゼロイチ君を見て、

レサさんが、不機嫌な顔になっている。



【人外地】とは、

モンスターや野生動物や、盗賊が跋扈する、

ほぼ、人間の手が入っていない、

手付かずの自然が広がる場所の総称だ。


その【人外地】を踏破する為に、


空間を拡張し、大量の荷物を積めるようにした、

マジック ボックスと呼ばれる機能を付けた、背嚢(リュックザック)と、腰袋の中に、

サバイバルに必要な物を詰め込んだ物が【人外地の標準装備】と呼ばれる物だ。



他世界(パラレル ワールド)には、

基本、人が住む場所は、城壁等で囲まれていて、

人外地を通って、交易をしている世界も有るらしい。


そう言う世界では、

人外地に舗装した道路を作っても、直ぐに壊されるらしく……

未舗装の道を移動する乗り物を用意した方が、遥かに建設的らしい。



また、比較的、UFOを含む航空機の運用ルールが緩い世界では、

交易は、もっぱら、航空機に頼る感じになっているらしい。



僕は、情報管理局の管理者が運営する、アカデミーで勉強した内容を思いだしながら、

コロチンさんから、支給された【人外地の標準装備】と、武器を受け取る。



「あれ?


パパの武器と、わたしの武器。

カブってるのも有るけれど……


若干、違うね。」


嫁が、不思議そうな顔をしながら、

僕に支給された武器と、自分に支給された武器を、交互に見ている。


「良く気がつきましたね。

貴女達のアカデミー時代の成績を元に、

貴女達に最も合う武器を身繕わせて貰いました。」


コロチンさんが、嬉しそうな顔をしながら、

嫁の呟きに答える。


「へ~。そうなんだ。

気を使って貰って、有り難うございます。」


嫁が、そう言いながら、

コロチンさんに、ペコリと頭を下げる。


「アケモン君。


そこのキャリー カート。載せてる嗜好品ごと、

このキャリーケース型のマジック ボックスに入れるわよ。


手伝って。」


「了解です。」


僕は、レサさんの指示に、短い返答を返す。


「ほな、それが終わったら、

樹海の旅に洒落込みますか。」


ゼロイチ君が、言葉とは裏腹に、

面倒臭さそうな顔をしながら呟いている。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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