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富士樹海のダンジョンの調査(直前編(前編))

「ただいま。」


嫁が、そう言いながら、

小動物用を飼う為の、アクリル ケージの方に向かう。



因みに、

アクリル ケージは、2つ有る。

1つは空き家だ。


この空のケージは、

家主が居る、もう1つのアクリル ケージを掃除する時に、入って貰う、別荘的なケージだ。



でっ、

もう1つのアクリル ケージには、


アラート地リスと呼ばれる妖魔の、

ドンソンとコイリドが住んでいる。



ドンソンと、コイリドは、

管理人や、管理者の中でも、一部の者しか入れない、

高次元の施設と呼ばれている、特別な施設に入る為の権限を付与されている、

高次元の施設のセキュリティ キー的な存在だ。



因みに、アラートジリスは、

不老有死なのと、危険を察知する能力の高さ以外は、

普通のジリスと、殆んど変わらない。


妖魔、霊獣、幻獣、魔獣等と、呼ばれる、特別な獣は、


圧倒的な武力を有していたり、

人の言葉を喋るだけでなく、ノーベル賞を取れるような学者さん達並みの頭脳を持っていたりする中で……

残念な意味で異質の存在だ。



そんな中でも、

野生を忘れ、運動能力が低く、危機管理能力も0に等しい、食いしん坊のドンソンと、

ビビりで、気難しく、人に懐かないコイリドは……

殺処分も検討されていた程、残念な奴等だと思われていたらしい。



【高次元の施設のセキュリティ キー】の権限を付与された、アラートジリスを飼う必要があったのは、

修復屋の肩書きを貰った僕だけだった。


そんでもって、

僕達が飼う、アラートジリスは、

一匹で良かったのだけど……


嫁が、ドンソンとコイリドが、可哀想だと言い、

二匹を引き取る事になった。



因みに、

ドンソンはオスで、コイリドはメスだ。


二匹は、(ツガイ)と言うよりも……

姉弟のような距離感で、仲良く暮らしてくれている。



「ほれ。」


「ピィ」・「ピィ」


嫁が、ドンソンとコイリドが住む、アクリル ケージの中に、

皿に盛った、レタスを入れる。


「シャク・シャク・シャク」・「シャク・シャク・シャク」


ドンソンと、コイリドが、

一心不乱に、レタスを食べている。


「癒されますなぁ……」


嫁が、目を細めながら、

ドンソンとコイリドを眺めている。


「そう言えば……


この前、ドンソンとコイリドの定期試験に連れてった時なんだけどね。


コイリドちゃん。

滅茶苦茶、優秀な成績だったのよ。


でっね。

コイリドの代わりに、別の子を育てなおして欲しい!って言われたの。」


嫁が不機嫌な顔で、報告してくれる。


「でっ。なんて答えたの?」


「嫌。って言ったに決まってるでしょ。


本当に……

ペットを何だと思ってるの。って話。


最後まで飼う。それがマナーでしょうが。」


「確かに。

でっ、ドンソンは?」


「安定の最下位。


休憩中の、おやつタイム以外は、気を殺しながら……

時が過ぎるのを、ひたすら待ってる。って感じだったわ。」


嫁が、大笑いしながら、

ドンソンの活躍を話してくれる。



◇◇◇



「うし。行きますか。」


嫁が、そう言いながら、

缶コーヒーを2つ持って、運転席に乗り込む。



車は、世界的に有名な日本産のSUV。

世界を裏から仕切る情報管理局の日本支部からの支給品だ。


2列目には、

多頭飼い用の少し大きめの肩掛けタイプの、

小動物用のキャリーバッグを置いている。



キャリーバッグの中には、

ドンソンとコイリドが入っている。


キャリーバッグの中には、

魔術式の温冷水の毛布が敷いている。



魔術式の温冷水とは……


服の中に水の入ったチューブを入れて、

その水を電気で暖めて、湯タンポのように感じで、体を暖める温水服と、

氷で冷やされた水を、服の内側を循環し体を冷やす、水冷服のどちらの要素も持ち合わせたような毛布だ。


具体的に言えば、

電気毛布の電熱線の部分が、水の入ったチューブになっていて、

その水を魔力で、暖めたり、冷やしたりしながら、

自分にとって、丁度良い温度に変える毛布だ。



それと……

二匹には、魔術式の温冷水のハーネスも着けている。

ハーネスとは、胴体に着ける、首輪のような物だ。


首輪にリードを付けるよりも、

ハーネスにリードを付けた方が、

体への負担が少ないらしいので、

僕達は、首輪ではなく、ハーネスを選んだ。


そんでもって、

ハーネスの中でも、服のような形状の物を選んだ。


動物に服のような物を着せる事に、最初は、少し、抵抗があったのだが……


服の部分が、

魔術式の温冷水服になっていたので、

敢えて、服っぽいのを選んだ。



何故なら、

アラートジリスは、気温の変化に弱いらしく、

暑いと熱中症で死んでしまい、

寒いと冬眠したまま、凍死してしまう恐れがあるからだ。



◇◇◇



「ドンソンとコイリドの入ったキャリーと……


足元には、

ドンソンとコイリドのトイレセットと、砂風呂用のキャリー。


忘れ物は無いね。」


嫁が、2列目を見ながら、最終点検をしている。


「確認は、そっち?」


「えぇ。

3列目を跳ね上げて作った、荷室に入れた、

キャンプ用のキャリーカートは、中身を含めて、

何回も確認したからね。」


嫁が、得意気な顔をしながら、

僕に返答を返す。



キャンプ用のキャリーカートの中には、


キャンプ用のキャリーカートを封印する事が出来る、

ステンレス製の小瓶。


携帯ゲーム機。


虫除けスプレーや、

何処でも◯ープや、蚊取り線香と言った殺虫剤。


お菓子にジュースに、ビールと煙草。後は、

カップ麺に、ミネラルウォーター等の人間の食糧と嗜好品。


ドンソンとコイリドのオヤツ。


それと……

ヴォルと、ニャレスと言う名前の、

セラブラム ミアキスと呼ばれる、幻獣用のオヤツが入っている。



因みに、

ヴォルとニャレスは、レサさんが飼っている幻獣だ。


セラブラム ミアキスのオスは、

中型犬サイズの狼のような見た目で、


セラブラム ミアキスのメスは、

日本猫(和猫)のような感じの見た目だ。


だから、何も知らなければ、

オスのヴォルは犬。メスのニャレスは猫だと思うだろう。



因みに、

二匹とも、人の言葉を話せる。


てか……

英語やスペイン語、中国語等、

日本語以外の言語も操れるので、

日本語しか話せない、僕や嫁よりも優秀だ。


更に、独自の特別な異能を2個づつ、持っていて、

僕と嫁よりも、IT機器なんかにも詳しい。



因みに、僕と嫁は、2匹を、

人としてのプライドを捨てて、普通に先輩として敬う事にした。


そして……

それが、切っ掛けで、レサさんが、

特に嫁の事を、目にかけてくれるようになったのだった。



◇◇◇



「お久さ。」


愛くるしい美少女って感じの容姿の女の人が、

無表情で、挨拶をしてくる。



別に、彼女は……

僕達を警戒している訳でも、嫌っている訳でもない。


これが、彼女の通常運転って感じだ。


「レサさん!久しぶり。」


嫁は、無表情な美少女にハグをする。


背の低いレサさんが、

女性としては、大柄な嫁に埋もれそうになっている。


「そうそう。

ヴォル。ニャレス。お土産。」


嫁が、そう言いながら、

ワ◯チ◯ールと、チ◯ールを投げる。


ヴォルとニャレスは、

前足だけを器用に人間の手のような物に変化させながら、

嫁の投げた、ワ◯チ◯ールとチ◯ールを受け取る。


「恩に着るぞ。」・「ありがとにゃ。」


ヴォルとニャレスは、そう言うと、

ワ◯チ◯ールとチ◯ールを一心不乱に舐め始めた。


「気い使わしたみたいやね。ごめんな。」


ゼロイチ君が、そう言いながら、近づいてくる。

相変わらず、長身のイケメンさんだ。


「それは、そうと……

俺の能力は、覚えてはるか?」


ゼロイチ君が、真剣な顔をしながら、質問をしてきた。



◇◇◇



「うん。


ゼロイチ君のジョブ補正は、賢者。


賢者のジョブ補正は、

Sクラスのジョブ補正と呼ばれている、

特殊なジョブ補正の1つ。



でっ、

特別な異能は【知識の泉へのアクセス】。


知識の泉とは、

外縁部と深淵部の2つの層から出来ている。



外縁部とは、

電脳空間等、科学や魔法の力で作られた仮想現実の世界の事を指す言葉で、


深淵部とは、

死亡した生き物達が、生前に持ってはった情報が、

集約されたサーバーのような物を指す言葉。



通常、死んだ生き物の魂は、

深淵部に、情報を吐き出す事で、リセットされて転生する。


だけど……

たまに、前世の記憶を持つ者が居るのは、

このリセット機能にバグが出たか、


記憶のリセットが行われない、

準特異点・特異点の生まれ代わり。


そのどちらかになる。



通常、知識の泉の外縁部には、

通信機器等の道具を使ってしか、アクセスする事が出来ない。


だけど……

【知識の泉へのアクセス】を持つ、ゼロイチ君は、


道具を使わなくても、

超絶ハッカーや、クラッカー並みに、何処にでもアクセスが可能。


そんでもって、

他の世界(パラレル ワールド)との通信も可能。



深淵部へのアクセスも、

魂の記憶を呼び出したりする事が出来る、

シャーマン系のジョブ補正を持ってる人達並みに、

深い場所までアクセスが可能。



確か……

こんな感じだったと思うけど……

合ってる?」


「完璧や。」


ゼロイチ君が、そう言うと、

僕の肩を、軽くパンパンと叩いてきた。



◇◇◇



「でっ。ここからが本題や。


【知識の泉へのアクセス】は、

自分(アケモン)の持ってはる、【原状回復】や【現状維持】と違うて、特別な異能の中では、メジャーな能力や。


何が言いたいか!ちゅうと、

俺以外にも、【知識の泉へのアクセス】を持ってはる奴が居はるんや。


でっ、俺も含めて、

【知識の泉へのアクセス】を持ってはる奴が、

皆で、富士樹海のダンジョンの制御室にアクセスしてるんやけど……


暴走を始めた原因どころか、

そもそも、他世界(パラレル ワールド)。具体的に言えば、

バックアップ ワールドから、この世界に転移して来た原因すら、掴めてないんや。」


ゼロイチ君が、ヒソヒソ声で話してくる。


「他の場所に発生したダンジョンも……

同じ感じなの?」


「せや。


他のダンジョンも、

その場所を仕切ってはる、情報管理局が、

ダンジョン管理局の要請を受けて、現地調査する流れになってはる。


正直に言うと……


素人に毛の生えたような、

自分(アケモン)と、セプモちゃんには、荷が重い仕事や!って思ってる。



せやけど……

自分達(アケモン & セプモ)の能力と、

性格も含めた、俺達との相性を考えたら……


自分(アケモン)と、セプモちゃん以上の適任者が居らんとも思ってる。」


ゼロイチ君が、

意味有り気な顔をしながら、僕の質問に答えてくれる。


「何が起きるか、出たとこ勝負だから……

気を使わなくても良いメンバーが、良いって事?


それとも……

この世界に有る、ダンジョンの存在自体に、

何か裏がありそうって事?」


「良え質問や。


ダンジョン管理局は、各国の情報管理局から派遣された、

知恵と交渉と諜報のスペシャリストの集まりや。


まぁ……

自分達(アケモン & セプモ)が会った、コロチンは、

個人的に仲の良い、俺達にとっては、信頼の置ける奴やけど……

結構な曲者なんや。


そんなコロチンと……

コロチン以上の曲者のカベショウが……


ダンジョン管理局は、

魑魅魍魎の集まりや!出し抜かれへんようにしやんとアカン!って言ってはった。



そんな状況で、イレギュラーなんて起こってみ。


仲間内だけでも、気を抜ける相手やないと……

俺の、お豆腐メンタルが持たへんよ。」


ゼロイチ君が、

タメ息をつきながら、僕を見る。


「成る程。

でっ、カベショウって人は、信用する事が出来る人なの?」


「俺達にとっては……

コロチンの男バージョンってところやな。」


ゼロイチ君が、

苦笑いしながら、ヒソヒソ声で返答してくれる。


「成る程。


最悪の場合、

泣きっ面に蜂の蜂が……


スズメバチじゃなくて、アシナガバチ。

そんな感じみたいだね。」


「ハハ。

相変わらずやね。


せやから、自分達(アケモン & セプモ)を組む相手に指名したんや。


俺達が、自分達(アケモン & セプモ)と組めば……


アシナガバチを、

ミツバチに変えれそうやからね。」


「そのミツバチとやらは……


セイヨウミツバチ?それとも……

キラービー?」


「相変わらず、鋭い質問をしはるなぁ……


最悪は、キラービー。

アカン方を、イメージしてた方が良えやろな。」


ゼロイチ君が、

苦笑いしながら、僕を見る。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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