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ダンジョン管理局からの仕事の依頼

「では、最終確認を始めます。


富士樹海に現れたダンジョンが、暴走した原因は不明です。


最悪、ダンジョンの暴走が原因で、

他世界(パラレル ワールド)に飛ばされてしまう可能性も有りますが……


問題無いですね?」


ダンジョンを管理している、

ダンジョン管理局と呼ばれる組織の事務員のお姉さんが、

僕と嫁に質問をしてくる。



彼女は、

僕達が、神や仏と呼んでいる、

他世界(パラレル ワールド)を含めた、

地球を裏から管理している管理者と呼ばれている存在の下部組織に当たる、


この世界を裏から管理している、管理人と呼ばれる人達の見習いらしい。



「えぇ。

異世界(パラレル ワールド)に飛ばされても……

帰って来れるんでしょ?」


嫁が、ダンジョン管理局の、お姉さんに逆質問をする。


「オリジナルの世界と呼ばれる、この世界以外の世界は、

全部で、11個、有ります。


その中で、

知的生命体が居る世界は……


バックアップ ワールドと呼ばれる、風変わりな世界。

爬虫類型哺乳類人が暮らす、第6世界。

恐竜人と水棲爬虫類人が暮らす、第8世界。

魔法科学文明が発達した、第9世界。

昭和が65年有る世界なんて呼ばれている、第10世界のみとなります。


飛ばされた世界が、

この5つの世界の何処かならば、

余程、運が悪くない限り、

速やかに戻れるかと思います。ですが……


後の6つの世界の場合……

救助するには、それなりの時間が要するにかと思います。


下手をすれば、

この世界に戻られた時には……


貴女達を知る一般の方が、誰も居ないかもしれません。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、

言いにくそうに、嫁の質問に答えてくれる。


「そうなの。


そう言えば……

異世界に飛ばされても、通信さえ繋がれば、

親や兄弟とは、連絡を取っても良いんだよね?」


「えぇ。


まぁ……

毎日と言う訳には、いかないですし、


連絡を取られる際は、

貴女達のご家族の方に、監視する者をつけさせて貰いますけどね。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、

淡々とした口調で、嫁の質問に答えてくれる。



嫁の先刻の質問よりかは、

いくらか答えやすかったようだが……

やはり、答え難い内容なんだろうな。



「まぁ……

そうなるかぁ……


一般的な感覚では……

異世界の実在は、極秘事項なんだもんね。」


嫁が、苦笑いしながら、

ダンジョン管理局の、お姉さんの質問に答える。


「ご理解を示して頂き、感謝します。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、

嫁に深々と頭を下げる。



◇◇◇



「あの……やっぱり……


ダンジョンの修復もする、修復師のジョブ補正を受けられた諸先輩方と、

嫁と同じ、浄冥眼を持つ、祈祷師のジョブ補正を受けられてる緒先輩方が……


チームを組まれて、対処された方が、良く無いですか?」


「これ。パパ。


それが、難しいから、

わたし達のような新参者に話が回って来たんでしょ。」


僕の愚痴を聞いた嫁が、

諭すように、嗜めてくる。


「でもさぁ……


いくら、セプモちゃんが、

悪霊を払ったり、嘘を見抜いたりする事が出来る【浄冥眼】と、

人間の目の力の限界点まで引き上げる事が出来る【至極眼】と、

魔法や魔術の仕組みを解明したり、解明した魔法や魔術を再現する事が可能な【魔法術眼】に目覚めたとは言え……


その能力に目覚めてから、

2年も経っていないんだよ。


やっぱり、この仕事……

辞退した方が、良い気がするよ。」


「駄目よ。


もし、ダンジョンが暴走したら、

どんな被害が出るか、分からないんでしょ?


そして……

わたし達が、暴走しているダンジョンに辿り着く前に、何かが起こる可能性もある。


そうなった場合……

わたし達は、最悪、何処か、違う世界に飛ばされるだけで済むらしいけど……


この世界に残される、他の人達は?



諸先輩方には……

その対処をして貰うべきだと思うし……


この作戦に加われば、

わたし達の家族が、最優先で守って貰える。


わたしと、パパの実家だって、遠いんだし……

兄弟や、仲の良い親戚の人達だって、

近くに固まって、暮らしてる訳じゃない。



だけど……

わたしは、全員を守りたい。


でっ、その為には……

この作戦に加わるのがベストな選択なの。


最初に、そう言ったのは……

パパだったと思うんだけど……」


嫁が、ジト目で、僕を見つめる。


「そうだけどさぁ……


その時は、まさか、組む相手が……

ゼロイチ君達とは、思わなかったんだよ。」


「えっ……と……

パパと、ゼロイチ先輩……


滅茶苦茶、仲良しだと思ってたんだけど……


わたしの思い違いだったの?」


「向こうは、どう、思ってるかは分からないけど……


僕的には、管理者見習いの方で、

唯一、気を許せる相手だと思ってるよ。」


僕は、嫁の質問に答える。



去年、僕と嫁は、

管理人の見習いに成る為に、

管理者が運営する、アカデミーで勉強する羽目になってしまった。


ゼロイチ君は、その時に、

臨時の教官の1人として、僕達の前に現れた。



ジョブ補正を受けずに、

前例の無い変わった異能を2つ持つ事を選んだ事で、僕は……異端児として奇異な目で見られる事になった。


嫁と一緒に居る時は、そこまで酷くなかったが……


そのせいで、

嫌がらせをして来た人達も、それなりに居た。



まぁ……

選んだ異能のお陰で、

何かをされても、困るような事態に陥る事はなかったけど……


反撃をする力が無い為、

嫌がらせ自体を止められ無い事で、

かなり、フラストレーションが貯まっていた。



そんな中、ゼロイチ君は、

僕に反撃の手立てとして有効的な、様々な術式を、

丁寧に教えてくれた恩人だ。



ただ、残念だったのは……


模擬戦の授業で、

ゼロイチ君が、教えてくれた術式と、僕の異能を活用して、

嫌がらせをして来ていた、主犯格の男を、圧倒的な力で、叩き潰したら……


アカデミーを退学して、引きこもりになってしまったので……

本格的に仕返しするチャンスを失ってしまった事だ。


とは言え……

主犯以外の者達も、

嫌がらせに加担したり、黙認していたと言う事実は消えない。


あの時は……って言えば、

大抵の事は、無償でなんでもしてくれる知り合いが増えた!って事で、溜飲を下げる事にしておこう。



てっ……

思考の渦に潜ってる場合じゃない。



てか……よくよく考えたら、

ゼロイチ君とは、1年近く、会ってないな。


本来ならば、彼との久しぶりの再開は、

嬉しいイベントなんだけど……


それが、仕事場で組むと言うのならば別だ。



何故ならば、

彼が率いるチームは、

準特異点が率いるチームの中でも、トップクラスと呼ばれる、優秀なチームだからだ。


そんな彼達に回って来る仕事となれば……

当然、ヤバい仕事って事になる。



いくら、恩人のチームとは言え、

そんな仕事に、嫁まで、ご一緒させて頂くのは、

流石に、勘弁願いたい。



◇◇◇



「嘘はついてないみたいね。

でっ、ゼロイチ先輩達と、会いたくない理由は?」


嫁が、まるで……

犯人に自供を迫る、刑事さんのような目で質問をしてくる。


「ゼロイチ君達のチームは……

準特異点が率いる特殊部隊の中でも、トップクラスと呼ばれてるらしい。


いくら、僕とセプモちゃんが、

特異な才能を得たからと言っても……


ド素人の僕達が、

そんな人達が受けるよう仕事に、関わってしまったら、

足を引っ張りまくる事になる気がするんだよね……」


「成る程。


そう言われれば……

確かに、そうね。


お姉さん。


ゼロイチ先輩達は……

わたし達と一緒に仕事をする事について、

何と言ってる?」


「ゼロイチさんとは、

その件については、話していないです。


ですが、

彼の内縁の妻で、今回の作戦にも参加する、

アタシの同期のレサは……



新人と組むメリットは、

自分達の知らないノウハウや、発想を吸収する機会を得られる事。


そんでもって、デメリットは……

判断の悪さや、遅さが原因で、チームに危険をもたらす事。


そう言ってます。



でっ、今回、

貴女達と組む事について、

非公式に聞いてみたのですが……



アケモンさんの【現状維持】が有れば、

デメリットの部分は、自力で補って貰える。


更に【原状回復】は……

道具や人を直したり、治したりするだけでなく、


無限増殖と言う、副産物が、

仕事場に持ち込む資材や食糧、薬等を最小限に抑えられると言う、付加価値を生み出す。



しかも……

セプモさんは、短期間で、

浄冥眼、至極眼、魔法術眼を使いこなせるようになった本物の天才。



不可解な仕事を受ける中、

メリットしかない新人と組めるのが、唯一の救い。


そう言ってましたよ。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、

淡々とした口調で、嫁の質問に答えてくれる。


「へ~。


レサさんが、わたしの事を、天才と思ってくれていたなんて……


申し訳ないけど……

想像もしてなかったわ。」


嫁が、目を丸くしながら、

ダンジョン管理局の、お姉さんに返答を返している。


「フフ。


まぁ……その気持ちは、分かります。


喜怒哀楽が、表に出ない、

レサの気持ちを、瞬時に察する方が、


即戦力として、

管理者クラスの仕事を回される事よりも、

珍しい事でしょうからね。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、

少しだけ、憐れむような顔をしながらも、

笑顔で、嫁に返答を返す。



◇◇◇



「ごめん。

ここだけの話。今回の仕事って……

そんなにヤバい内容なの?」


嫁が真剣な顔をしながら、

ダンジョン管理局の、お姉さんに質問をする。


「最悪の状況を想定すれば……ヤバいですね。


先刻も言った通り、

知的生命体の居ない世界。


つまり……

科学、魔法に関わらず、文明が無い世界で、

救助隊が来るまで、サバイバル生活をしながら、生き延びないといけないのです。


って……他の人になら、そう言いますね。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、そう言うと、

一旦、話を区切り、僕達を見つめる。


「ですが……


アケモンさんの異能を考えれば……

事前に何を用意するかで、最悪の状況の意味合いが変わるでしょうね。



取り敢えず、

レサが、貴女達の分を含めて、

未開の地を調査する管理人の装備【人外地のセット】を、

人数分、用意するように申請を上げてます。



【人外地の装備】を使ったサバイバル生活は、

勉強されと思いますが……


その装備では、最低限の生活をする上で、

足らないと思われる物を用意しておく事をお薦めします。」


ダンジョン管理局の、お姉さんが、そう言うと、

ニヤリと笑う。


「成る程。


虫除けスプレーと、

何処でも◯ープや、蚊取り線香と言った殺虫剤。


それと……

お菓子やジュース。ビールや煙草と言った嗜好品に、携帯ゲーム機。



後は……

それらを入れて、運ぶ為のキャンプ用のキャリーカートに、

キャンプ用のキャリーカートを封印する事が出来る、ステンレス製の小瓶。


この辺りが必要ね。」


嫁が真剣な顔をしながら、

ダンジョン管理局の、お姉さんに返答を返す。


「フフ。


まるで……

嫌々、キャンプについて行く、

お母様や、お嬢様みたいな発想ですね。


ですが……

良いところに目をつけられたと思いますよ。」


嫁の話を聞いた、ダンジョン管理局の、お姉さんが、

大笑いしながら、嫁に返答を返していた。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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