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バックアップ ワールド~修復屋さんの業務日誌~  作者: モパ
【1ー1】動乱の始まり
16/110

VSキュドン四天王(オフメ視点(後編)・アケモン視点(後編)・テバコ視点)

「元々、キュドン様は、

ダンジョンを管理する組織の一員でした。



ですが……その……

ダンジョンが、オリジナルの世界に転移してしまい、通常の業務が無くなってしまったばかりか……


その理由を調査する仕事を拒否されたので、

キュドン様は、管理人の職を、クビにされてしまいました。



我々、家臣は、その……

冒険者として身を立てながら、キュドン様を養うと言ったのですが……


あれよ、あれよ、と言う間に……

こんな事に、なってしまっていました。



今、思うと、その頃から……

キュドン様は、意図が分からない指示を出したり、

理解不能な行動を取られる事が、多くなったのです。



ですが……

何処まで、オカシイのか、自分でも良く分かっていません。


何故ならば、キュドン様は……

相手に錯覚を起こさせる【誤認】と言う、異能を持たれていますからね。」


ラネトは、淡々とした口調で、

キュドン様の悪口を言い始めた。



「分かる範囲で良えから……

具体的に、オカシイと思ってはるところを、話してくれへんか?」



「はい。では……」



【ボン】



ラネトの頭が、吹っ飛んだ。



「ちい。

鑑定しきれへんように、巧妙に偽装された、

契約魔法か、似たような、何かをかけられてたみたいやな……」


背の高い、イケメンが、

首から上が無い、ラネトの死体を見ながら、苦い顔をしている。


「無敵タイムをかけてたら、良かったね。

そしたら、彼の頭と体は……『現状維持』を保てたのにね。」


小さな、おっさんが、

ラネトの死体を眺めながら、悔しそうな顔をしている。


「分かり難い、遠回しな言い方ね。

ラネトに、無敵タイムをかけてたら、死なせずに済んだのに!って、普通に言えば良いじゃん。」


背の高い女が、

苦笑いしながら、小さな、おっさんの頭を叩く。


「難解な言い方の方が、賢こそうじゃん。


『はよ帰れ!』よりも、『ぶぶ漬けでも、どうどす?』の方が……

賢くて、品がある感じがするのと、同じ理屈だよ。」


「賢くて、品がある?

嫌味ったらしくて、糞意地の悪いの間違いでは?」


背の高い女が、

小さなおっさんの頭を、再度、叩きながら、苦笑いしていた。



◇◇◇



「でっ、そっちの、お姉さんは……何か知ってる?

そこの、頭が吹っ飛んだ人と、最恐の情報屋コンビなんて、呼ばれているんでしょ?


有益な情報をくれるのならば……

そんな頭にならないように、善処するわよ。」


人形のような女が、淡々とした口調で話す。


「いえ……アタシは……情報を引き出す専門でして、その……

それ以外は……管轄外ですから……」


アタシは……ラネトみたいになりたくない訳ではない。

ただ、正直に答えただけだ。


「キュドンの協力者とは誰なの?

もっと、具体的に教えて。」


小さな、おっさんが、淡々とした口調で質問をしてくる。


「キュドン様は、秩序の破壊者。と呼んでました。


ただ……秩序の破壊者とは、組織名らしく……

特定の誰かを指した言葉では無いらしいです。」


アタシは、意を決して答えた。



この質問に答えた場合……

ラネトのような頭になる可能性があったからだ。


とは言え……嘘の通じない相手に、嘘をつくのは、得策じゃない。


どちらにしろ、ヤバいのであれば……

見逃してくれそうな相手に媚を売るべきだからな。



「へ~。

その秩序の破壊者の組織の者に、

貴女は、会った事はある?」


「知らずに会っていた可能性は、0ではないですが……

アタシが認識している限り無いです。」


小さな、おっさんの鋭い質問に、

アタシは、正直に答えた。


「嘘は言ってないよ。」


背の高い女が、淡々とした口調で、

アタシの返答が嘘じゃない事を、証明してくれる。



「てっ、事は……


貴女、自身には、秩序の破壊者と、直接、連絡が取れるようなパイプは無い。


そう言う認識で良いのかな?」


「はい。」


小さな、おっさんの質問に、

アタシは正直に答える。



小さな、おっさんは、背の高い女を見る。

背の高い女は、小さな、おっさんに頷く事で、

アタシの潔癖さを証明してくれた。



◇◇◇



「無敵タイムがなかったら……

この人、何回か、頭が吹っ飛んでたね。


でっ、これ以上、引き出せなさそうだけど……

どうする?サヨナラする?」


小さな、おっさんが、淡々とした口調で話す。


「せやな。


取り敢えず、

秩序の破壊者って言う、謎の組織が有るって言う事と、


キュドンを捕まえる事が出来たら、

秩序の破壊者って言う、謎の組織の詳しい情報を得られる。


今日のところは、

この2つの事が、分かっただけで、良しとしとくか。」


背の高いイケメンが、

小さな、おっさんの理不尽な発言を肯定しやがった。


「それも、そうだけど……ゼロイチ。


シエジ様や、コロチン。カベショウに、


キュドンが、秩序の破壊者って言う、謎の組織と繋がっている!って言う事だけでも、

直ぐに、報告しておくべきだと思うんだけど……」


人形のような女が、アタシの存在を完全に無視して、

背の高いイケメンに、意見している。


「せやな。直ぐに始める。」


そう言うと、背の高いイケメンは、

馬車の奥に引っ込んだ。


「無敵タイムを解くね。サヨナラ。」


小さな、おっさんが、笑顔でアタシに別れを告げた。



◇◇◇



気がつけば……

頭の無い、自分の体を見下ろしていた。



「自分で行く?手伝う?それとも……消滅させる?」


背の高い女が、アタシを見ながら、質問をしてくる。


『自分で、行きます!』


アタシは、背の高い女に、返答を返した。



これ以上、こいつ達に、敵として関わるべきじゃないと、

アタシの心が、警鐘を鳴らしまくっている。


だから、この光の先が、地獄に続く道だとしても……

アタシは、後悔しないだろう。


柔らかな光が、アタシを包み込む。


願わくば……

今よりも、身の安全が保障された場所に、辿り着けますように。



ーーーーーー



「あのキュドン四天王を、蟻を踏み殺すように始末するとわ……」


キンノウ君が、タメ息をつきながら、

ニャレスと、ヴォルを見る。


「アケモン君のようにゃ、特殊な支援系の異能を持った者が居る、

特異点と準特異点のみで、構成された、少数精鋭のチームでもにゃい限り……


人の子で構成された、少数精鋭のチームにゃど、

全て、等しく、お雑魚様にゃ。」


そんな、キンノウ君に、ニャレスが、

失礼極まりない返答を返す。


「まぁ……人の戦の優れたところは、

数の暴力と連携。それと……様々な武具じゃからな。


アケモン君の無敵タイムのバックアップが無い状況で、


精鋭で揃えた、500~1000人規模の、モンスターの討伐部隊などの相手をすると考えた場合……


儂とニャレスのコンビでも、

それなりに手こずるとは思うぞ。」


「それだけ集めても……それなりに手こずる。って言われる程度のレベルなのですねぇ……」



ヴォルは、フォローのつもりで話したのだろうが……

どうやら、逆効果だったようだ。


その証拠に、テバコちゃんなんか、

真っ青な顔をしながら、下を向いてしまった。



「まぁ……得手不得手があるからね……

今は、ゴチャゴチャ考えず、自分の得意分野を伸ばす事を考える時期よ。」


レサさんが、苦笑いしながら、

自信を失いかけている、テバコちゃんをフォローする。


「特殊点レベルまでの仕事ならば、

どんな仕事でも、エキスパートの方達と同じ仕事を、こなせはる、お前に、いくら、ド正論を言われても……


言われた方は、嫌味にしか聞こえへんと思うで。」


ゼロイチ君が、苦笑いしながら、

そんなレサさんを嗜めている。


「もう。若い子の夢を奪うような事を言わないの。


人は人。自分は自分。


たとえ、1つの分野だけでも……

頑張れば、準特異点と張り合える。


それで良いじゃない。」



レサさんが、膨れっ面をしながら、

人生の厳しさを語るゼロイチ君に、苦言を呈している。



「まぁ……優れた人物と、尊敬すべき人物は、必ずしも一致するものでもない。


優れた人物に成れる才能が無いのであれば、尊敬すべき人物に成れるよう、

自分のペースで、自分磨きを続ければ良い。儂はそう思うぞ。」


「だにゃ。


たとえ……客観的に見て、モブにゃとしとも……

人も獣も……各々が、各々の人生の主人公。


妾は、そう思うにゃよ。」


「これこれ。それ……

フォローになってるようで、なってないぞ。」


嫁が、苦笑いしながら、

悪気の無い、ヴォルとニャレスの失礼な発言を、

優しく諭していた。



ーーーーーー



人口の33%は、準変異点。


アタシ達は、その人達を、

最優先で守るべき、社会の最底辺に居る最弱者。

そう決めつけていた。



そして……

Aクラスのジョブ補正を受ける資格だけでなく、

Sクラスのジョブ補正を1つ受けられる資格も得た、

人口の1%しか居ない、アタシ達、特殊点は、


選らばれた強者であり、

選ばれなかった者達を、守り、導く責務を負った者。

そう決めつけていた。



だけど……現実は違った。



もし、準変異点のジョブロが、

準特異点の異能を付与されていなかったとしても……


戦闘と言う意味では、

最強のジョブ補正と言われている【武聖】のジョブ補正を受けているアタシが……

ジョブロに勝てたとは、到底、思えないのだ。



そして……

そんなジョブロは……

幻獣のヴォル様と、ニャレス様に瞬殺された。



でっ、ニャレス様が言うには……


『アケモン君のようにゃ、特殊な支援系の異能を持った者が居る、

特異点と準特異点のみで、構成された、少数精鋭のチームでもにゃい限り……


人の子で構成された、少数精鋭のチームにゃど、 全て、等しく、お雑魚様にゃ。』


との事だ。



世界規模の商売組織である、ギルドは、

管理人や管理者の言う、能力の評価基準は、アバウトすぎるとし、


各々のジョブの習熟度に合わせて、

A~Dの4段階に分けた評価基準を設定し、


ジョブ補正の習熟度の評価基準の枠に収まらない、

特殊点をSクラス。準変異点をEクラスとした、

6段階の評価基準を採用しているが……



管理人や、管理者となる化物達が、我々へ下す評価基準と言う意味では、


ギルドが否定した、評価基準が正解だと言う事が、

身に染みて分かった気がした。



だからと言って、アタシは……

ギルドの評価基準を否定するつもりもない。


ギルドの評価基準は、

人の世を上手く回すと言う意味では、

管理人や管理者の設定した評価基準よりも優れているからだ。



ただ1つ、

ギルドの評価基準に対して、異を唱えたいのは、


アタシ達が、最弱の者とバカにする、Eクラスの者達が、

管理人や管理者の設定した評価基準では、最下層のモブではなく、変異点と呼ばれ、

Sクラスを自称する、アタシ達、特殊点と同等の評価を受けているのは、正しい評価なので、

Eクラスへの評価を、改変して欲しいと言う事だけだ。



いや……変わるべきなのは、

アタシを含めた、各々の価値観だな。


いくら、

ギルドと言う組織。国と言う組織。町や村と言う組織の評価基準を改変したとしても……


結局、誰かを評価するのは、組織と言う枠では無い。

組織に属する、他者を評価する権限を得た者が、他者を評価する。


つまり……何処まで行っても、人が人を評価する。

この事実は、変わらないのだからな。



もしかしたら……


ワルウン王国の王族と、

アタシ達、ワルウン王国の王族の直属の家臣団が、

民達や、8人の諸侯達から見限られたのは……


キュドン達への恐怖などではなく、

自分達が選ばれた者でも無い癖に、選ばれた者だと勘違いしていた、

アタシ達の傲慢さが招いた結果なのかもしれないな。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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