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バックアップ ワールド~修復屋さんの業務日誌~  作者: モパ
【1ー1】動乱の始まり
11/110

テショミさん達との合流

「有難ね。代わるわ。」


レサさんが、そう言いながら、御者台に向かう。


「ハケオさん。テショミさん。

最低でも、ロテクの悪魔の森に入る前には、合流したい。


せやから、勝手に、

あんた達の【空の目のナビ】のナビを細工して、

常に、俺達と出会える最短ルートをナビして貰えるように設定させて貰ったで。



この土砂降りの雨や。


それに……

キュドン達の部下との鉢合わせをさけやんといけんやろし……

モンスターや、盗賊、ややこしい獣も避けやんといけん。



せやから……ナビの指定しはるルート通りに進まれへん時は、

ナビの指示を無視して貰って構わへんよ。」


『了解。助かる。』


ゼロイチ君の指示に、ハケオさんが、

嬉しそうな声で答える。


「それと……トバチリちゃん。

コマレ村の人達は、カルオモ王国に亡命しはる!って言ってはったけど……


具体的に、何処を目指してはるん?


【空の目のナビ】を見てると、8時間後ぐらいまでには、


今とは比べ物にならへんぐらいの、

暴風雨が、この辺り一帯に、吹き荒れそうなんやけど……」


「出来る限り、【空の目のナビ】に映り難い、野山や森を通り、

カルオモ王国の東の都の管轄の、ソカカ村に入る予定です。



てっ……

確かに、雲の動きを見る限り、8時間後ぐらいには、ヤバい事になりそうですね……



念の為に、

キンノウの護衛兵と、私の警備兵に連絡をしてみます。


クイメガ。宜しく、お願いします。」


トバチリちゃんが、真剣な顔をしながら、

クイメガ君に指示を出す。


「レサさんの横、一旦、代わるよ。」


「有り難うございます。」


御者台に居る、クイメガ君は、そう言いながら、

僕の横に移動してきた。



◇◇◇



「よく、こんな真っ暗な中、

カンテラの灯りだけで移動が出来ますね。


てか……

先導するキンノウ君と、テバコちゃんなんて、


よく、カンテラの灯りすら無い、漆黒の闇の中、

アーティフィシャル シー フォースを走らせられますよね……」


僕はレサさんに話かける。


「それね。


【武聖】のジョブ補正を受けてる者は、

【至極眼】を持ってるからよ。


【至極眼】の持ち主は、暗闇でも夜目が利く。


それに……

昼間であれば、視力が10.0以上。


勿論、この暗闇で、そこまで遠くを見れる事はないだろうけど……


それでも……

昼間の視力が4.0以上の人並みに見えてるんじゃないかしらね。」


レサさんが、淡々とした口調で、

僕の質問に答えてくれる。


「それは……凄いですね……


だけど、レサさんは、

【至極眼】を持っていない。


有る意味、レサさんの方が、凄い!って事ですね。」


「フフ。それは過大評価勿論良いところ。


夜目って意味では、

昼も夜も同じように見える【浄冥眼】の方が利くのよ。


ただ……

視力と言う意味では【浄冥眼】は、それだけ。


元々の視力が【至極眼】とは違い過ぎる。


だから……

視力と言う意味では【浄冥眼】は……

【至極眼】には勝てないの。」


レサさんが、

僕の的外れな返答がおかしかったのか、

クスクスと笑いながら、アーティフィシャル シー フォースを走らせる。


「へ~。そうなんですか。


それで、ゼロイチ君は、

敢えて、夜の行軍を選んだんですね。」


「かもね。


まぁ……それでも……

テショミと、ハケオさんは、飛ばし過ぎな気がするけどね……」


「確かに。

【空の目のナビ】を見る限り……

アーティフィシャル シー フォースを、ほぼ、全速力で駆けさせてるみたいですね。」


僕は、【空の目のナビ】を見ながら、

レサさんの返答に相槌を打つ。


「でしょ。


まぁ……

多少の雨でも、晴れの日と変わらずに動くのは、

人間と、人間に使役されてる獣ぐらいだからね……


本格的な嵐が来る前に、アタシ達と合流したいのでしょうね。」


レサさんが、淡々とした口調で、

【空の目のナビ】を、チラチラ見ながら、

アーティフィシャル シー フォースを走らせる。


「お待たせしましました。

御者台のナビを代わります。」


そう言いながら、

クイメガ君が、僕の右肩を、トントンと叩く。


「了解。

でっ、コマレ村の人達は、大丈夫そう?」


「はい。


水と食糧は行軍予定の3倍の、1ヶ月程度の量を持ってますからね。


ただ……

想定外の嵐になるようですから……

今から、高台に避難を始めるとの事です。



それと……

ゼロイチさんと相談して、

我々の行軍ルートを、少し、遠回りになりますが……

川から離れた場所を移動するルートに変更する事になりました。



今、【空の目のナビ】の移動ルートを、

最新のルートに変更中です。」


クイメガ君が、

レサさんの質問に、丁寧に返答を返す。


「そう。

でっ、テショミとハケオさんには、連絡してた?」


レサさんが、

クイメガ君の返答を聞いて、心配そうな顔をする。


「ルートを変更する事で、

二時間以内に、テショミさん達との合流する予定になりましたので……


そこは、大丈夫だと思いますよ。」


「そう。良かった。」


レサさんが、クイメガ君の返答を聞いて、

嬉しそうな顔をする。


「じゃあ……後、宜しく。」


安心した顔をした、レサさんを確認して、

僕は、元の場所に戻る事にした。


「はい。任せて下さい。」


そんな僕に、クイメガ君が、

得意気な顔で、返答を返して来た。



◇◇◇



【シャク・シャク・シャク・シャク】

【シャク・シャク・シャク・シャク】


【ポリ・ポリ・ポリ】

【ポリ・ポリ・ポリ】



何時もならば、爆睡中の時間にも関わらず、

コイリドだけでなく、ドンソンも寝付けないらしい。


お腹が空いて、ピィー・ピィー鳴かれると……

モンスターや獣が、寄って来ないとも限らない


なので、

水分補給も兼ねて、ミニトマトと、

栄養補給として、牧草のペレットを与えた。



「ドンソンまで、寝ないね……」


嫁が、心配そうな顔をしながら、

こっちを見る。


「嵐の気配を察知してるんじゃない?


ドンソン……

雷の音が、ダメだから……」


「成る程。でっ、コイリドは?

震えてる?」


「いや。イライラしている。

回し車でも、持って来るべきだったかもね……」


「そっちね。


運動不足。だけど……

ビビりのコイリドは、知らない場所では、

キャリーの外には出ないもんね……


やけ食いってやつか。」


「多分……そんなところだと思う。」


「馬車の外には、

獣や鳥や蛇や……肉食のモンスター。それに……

気持ち悪い、昆虫型のモンスター達までもが、


草の陰や、木の上から、こっちを見てる。


だから、ドンソンとコイリドが寝るまで、

そのまま、餌で機嫌を取り続けてね。」


嫁が、真剣な顔で、そう言うと、

再び、ヴォルと共に、後方を確認に戻る。



僕には、漆黒の闇のような景色でも、

【至極眼】を使ってる嫁には……


それなりに色々と見えてるのだろうな。



「うん。てか……

キャリーの外から出る気配がないよ。」


「良かった。


そして、出来る事ならば、わたしも……

キャリーの中に入りたい。


本当に……

ウサギや猫サイズの昆虫とか、油断すると……

オシッコを漏らしちゃいそうだもん。」


嫁が、イライラした声で、

漆黒の闇の先に居る生き物達の情報を教えてくれる。



「ホウ。ホウ。ホウ。」



フクロウか、ミミズクの鳴き声が聞こて来るえる。



【ガサ。】



コイリドが、キャリーの中にある、

魔術式の温冷水の毛布の中に潜り込み、

顔だけを出して、辺りを警戒する。



【シャク・シャク・シャク・シャク】



ドンソンは、

立ち上がって、警戒モードになりつつも、

手に持っているミニトマトを離さずに、食べ続けている。



【ジィィィー】



取り敢えず、

キャリーの内側の天窓になる、メッシュ部分の天窓を閉じる。



「ピィー。ピィー。ピィー。」



コイリドが不安そうな顔で、警戒音を出す。



「大丈夫よ。」


「ピュイ。」



嫁が、小さな声で話しかけると、

コイリドは、安心したような声を出した後、

ウツラウツラし始めた。



◇◇◇



【ピカ・ピカ・ピカ】



遠に、光の点滅が見える。



【ピカ・ピカ・ピカ】



それに合わせ、

レサさんが、御者台に取り付けた、カンテラに、

黒色の布を掛けたり、外したりしている。



「確認が取れたやろ?」


『えぇ。そっちに行く。』


ゼロイチ君の質問に、

テショミさんが、短い返答を返す。



【バサ・バサ・バサ】



森の茂みの中から、

2台のアーティフィシャル シー フォースが、

ゆっくりとした足取りで出てくる。



【バサ】



大雨の中、ゆっくりとした動作で、

2台のアーティフィシャル シー フォースに騎乗している男女が、フルフェイスのヘルメットを取り、

少しだけ顔を晒した後、再び、ヘルメットを被る。


僕達に、顔を見せやすくするつもりもあったのだろう。


ヘルメットを取る時だけ、

自分達の周りに結界を張り、雨に当たらないようにしていた。



『久しぶり。』


「えぇ。晴れてたら、ハグが出来たのにね。」


短い挨拶をするテショミさんに、

レサさんが、嬉しそうな声で返答を返す。



時刻は、もうすぐ、夜中の2時。

嵐が、段々と酷くなる中、薄気味悪い森の中で……

丑三つ時を迎えるのは、気持ちが良い物ではないな。



◇◇◇



『本当よね……


てか……

ギリギリ セーフ。


間に合って良かったわ。』


テショミさんのホッとした声が、

通信機器から聞こえてくる。



「ほう。


【浄冥眼】を得てない、人の子にも関わらず、

瘴気を感じ取れるようになったとは……


主も、成長したのう。」


ヴォルが、そんなテショミさんを、

嬉しそうな顔をしながら誉める。



瘴気とは、

知識の泉から溢れた塊になる前の悪意の気体で、

悪い空気とも呼ばれている。


因みに、

悪霊は、瘴気が出ている場所を好むらしい。


だから……

悪霊に会いたいく無い人は、

何も無いのに、気持ち悪くなるような場所からは、

速やかに立ち去った方が良いらしい。



『アタシには、ここが……

瘴気が出てる場所だ!ってのを……ハッキリとは分かってないわ。


ただ、【修復師】のジョブ補正を持ってるツレ(ハケオ)が、

【浄冥眼】と【魔法術眼】を持っている。


だから、確信を持てたのよ。』


そんなヴォルの呟きに、

テショミさんが、反応する。


『挨拶は、日が昇ってから、改めてさせて貰う。


一刻も早く、この場を立ち去るべきだ。


だから、俺達は……

このまま、先導してる子達の仲間に入らせて貰うぞ。』


ハケオさんの申し出を聞いて、

レサさんが、ゼロイチ君の方を見て、小さく頷いた。


「宜しく頼みます。」


ゼロイチ君は、レサさんの方をジッと見ながら、

ハケオさんの申し出に、短い返答を返していた。

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