死の宴(ルワオヨ視点(後編) / マガツニチ視点)
「ワーム ホールから出てくる敵が居なくなった!
後、少しの辛抱だ!
目の前の敵を潰したら……
繋がっている、ワーム ホールに突入し、この落とし前をつけさせるぞ!」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
ヤバムリさんの檄に、皆が、蛮声で答える。
何とか、持った。そんな感覚だ。
アタシ達の回復魔法を受けている、盾役は、まだまだ、戦えそうだが、
盾を持ったサポート部隊の者達の疲労は、アタシ達の回復魔法をもってしとも、完全には取りきれていない。
仕留め役・撹乱役・狙撃役は、もう少し、踏ん張れそうだが、
長槍を振るうサポート部隊や、指揮官達も、疲労の色が濃くなってきた風に見える。
【キラ】
ワーム ホールの中で、何かが光った気がした。
◇◇◇
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ドォォォーン】・【ドォォォーン】・【ドォォォーン】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ズザザザザ】・【ズザザザザ】・【ズザザザザ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
【ドン・ベチャ・ドチャ】・【ドン・ベチャ・ドチャ】
何か、得たいの知れない物が、ワーム ホールから飛び出して来た。
盾役は、何とか防いだが……
盾を持ったサポート部隊の多くは、
得たいの知れない物とぶつかった衝撃や、その後の爆発を受け止め切れなかった。
そして……
アタシ達、回復役。そして、仕留め役・撹乱役・狙撃役は、
咄嗟に、身の周りに結界を張る事で、その衝撃を、やり過ごしたが、
長槍を振るうサポート部隊の多くの者や、
アタシ達の部隊の周りに結界を張ってくれていた、ヤバムリさんを除く、指揮官達は、
身の周りに結界を張る事が出来ず、その衝撃を、もろに受けてしまった。
そして、衝撃を受け止められなかった者達は、
その衝撃だけでなく、
アタシ達の張った結界が壁となってしまった事で、
死んでしまったり、瀕死の重症を負ってしまった。
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
「ウォォォォー」「ウォォォォー」「ウォォォォー」
ワームホールの向こう側から、蛮声が響いて来る。
「マジかよ……」
「もう……ヘトヘトよ。」
「頭がクラクラしてきたよ。」
仲間達の中から、弱音が聞こえる。
「馬鹿野郎!
最後まで諦めるな!」
「死なばもろとも!
1人でも多く、道連れにしてやるよ!」
「槍を捨てよ!
各々の得意な獲物を奮って、最後を迎えましょう!」
「マナが尽きるまで、魔力弾を……
撃って!撃って!撃ちまくるぜ!」
そして、そんな仲間達を鼓舞する者達が居る。
敵の投げた投げ槍が、チラッと見えたが……
避け損なった。
目の前が、暗くなってきた。
マナの残量が殆んど残っていないアタシには……
この傷を治す術はない。
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
【ガチャン】・【ガチャン】・【ガチャン】
仲間達と敵の剣や槍や斧が、ぶつかり合う音がする。
誰も……アタシを気にする余裕など……ないだろうな……
◇◇◇
【ようこそ。咎人達よ。】
見知らぬ美少女が、氷のような冷たい目で、アタシ達を見ている。
足元には……自分の身体が転がっていた。
これが……俗に言う、幽体離脱と言う奴なのだろうか……
【我の身体の中で、核兵器を使う者は許さぬと言う事を……
主は知っておったよな。
我も鬼ではない。無知な者へは、
余程の事を起こさぬ限り、その罰には手心を加えてやる。
また、主が、本星様(新惑星ニビルの自我)と呼ぶ者の嘆願であれば、もう少し、まっしな罰を与える。
だが……主は?
見過ごすにも、手心を加えるにも値しない者達だ。】
美少女が、そう言うと苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段が現れた。
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段の先端が、俺達を掴む。
恐怖で逃げ出したい気持ちでいっぱいだが……
身体?が動かない。
いったい……アタシの未来は、どうなってしまうのだろうか。
分からないが、1つだけ分かる事は……
ロクでもない未来に続くと言う事だけだ。
ヤバムリさんが、最初の時点で、敵を迎撃する!と言う決断をしなければ……
アタシの運命は、変わったのだろうか?
いや。それは無いだろう。
アタシ達を潰した、決定的な攻撃は……
数の暴力なんかでは無く、得たいの知れない物からの攻撃だ。
あんな攻撃……皆で、迎撃体制をとってなければ……
とてもじゃないが、防ぎ切る事など出来なかった筈だ。
つまり……アタシ達は、最初から詰んでいた。
悔しいが……それが現実だ。
そんな事を考えていると、
苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段が、アタシ達を掴んだ。
そして、アタシ達を、漆黒の闇へと引きずり込もうとし始めた。
嫌だ。彼処には、行きたくない!
だけど……その願いは叶いそうにない。
何故ならば、アタシには……
とてもじゃないが、
苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段が引っ張る力に、
抗える力など、持ち合わせていないからだ。
ーーーーーー
「こちらは、終わりましたよ。」
ゼロイチ殿が、持たせてくれた、通信機器を使って、
土狛シエジとリンゴトマド、トティアマ様やクモヒト様とのグループ通話を利用して、報告を入れる。
『ご苦労さん。
てか……アケモン君の作戦、効率は良えんやけど……
人として?って言うんかな?
そう言う意味では、ホンマ、滅茶苦茶やったな。』
「確かに。
ですが……
この世界の秩序の破壊者の残党達の恨み(ヘイト)を、レツブン大帝国人に集めて、
秩序の破壊者の残党達にとって、レツブン大帝国が、
貴方達の世界(オリジナルの世界)の、ゴキブリ ホイホイ的な場所にする!と言う作戦上……
今回の戦の方法は……間違ってないと思います。
何故ならば、
レツブン大帝国軍の北軍の個々のレベルは……
第5・第6部隊の連中の個々のレベルと比べて、圧倒的に劣っていましたからね。
その実力差を埋めるには……
蟻のように群がり、数の暴力で埋めるしか……方法は無かったかと思います。」
俺は、リンゴトマドの意見に賛同しつつも、
今回のアケモン殿の指示が、間違っていなかった事を、強調した。
『そこやない。
自分に、対戦車ミサイルを生き物に変えた奴を撃ち込ませはったんを言ってるんや。
レツブン大帝国軍を全滅させるつもりで、やらせれば……
自分の手助けは、必要無かったと思うんや。』
『確かにそうかもね。
だが……そんな事をすれば、レツブン大帝国は……
南部だけでなく、北部の治安維持も出来なくなる。
秩序の破壊者の恨み(ヘイト)を集める為には……
我の称賛だけでは、不十分。
レツブン大帝国人が、それなりに、幸せに暮らしていて、
始めて、恨み(ヘイト)が集まる。
きっと、アケモン君は、そう踏んだのでは無いかな?』
トティアマ様が、俺達の会話に加わってくる。
『かもな。
てか……会話に加わって来れると言う事は……
そっちも、終わったのか?』
土狛シエジの、ホッとした声が、通信機器から聞こえてくる。
『あぁ。
今、クモヒト達と合流したところだ。
首尾は首尾は上々。
効果が現れるまで、もう少し、時間がかかるとの事だが……
時期に、この世界は、開かれるとの事だ。
そっちは、どんな感じだい?』
『こちらは、ヤップ侯爵を中心に、
俺達の世界(オリジナルの世界)。
爬虫類型哺乳類人が暮らす、第6世界。
恐竜人と水棲爬虫類人が暮らす、第8世界。
魔法科学文明が発達した、第9世界。
昭和が65年有る、第10世界。
の管理者や管理人が、一丸となって、
各々の世界に蔓延る、秩序の破壊者の残党狩りを始めたところだよ。
ニバセン殿の情報提供のお陰で、
駆逐する者と、仲間に引き込む者の選別者出来て、大助かりだよ。』
トティアマ様の質問に、
土狛シエジが、弾んだ声で返答を返す。
思っていた結末とは、大きく変わったが……
俺とニバセンの譲れないラインである、ハチハタ姫の安全は、何とか、確保する事が出来たようだ。
きっと、かつての仲間達(秩序の破壊者のメンバー)は……
俺やニバセンを憎んでるだろうな。
だが……何かを得る為には、何かを犠牲にしなければならない。
たとえ、それが、裏切り者と言う悪評だとしても……
俺とニバセンにとって、その悪評は、誇らしい物だ。
何故ならば、その悪評は……
ハチハタ姫の安寧を守り切った、証でもあるのだからな。
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