嘘の情報を運ぶ者(ネアブ視点(中編) / 仕込み(ハチハタ姫視点) / 嘘の情報を運ぶ者(ネアブ視点(後編))
「皆!陸に飛んで!『転移』。」
【バキ・バキ・バキ】・【メキ・メキ・メキ】
【バキ・バキ・バキ】・【メキ・メキ・メキ】
【バキ・バキ・バキ】・【メキ・メキ・メキ】
水上モードのアーティフィシャル シー フォースが、
河原に飛んだものだから、足を壊してしまった。
【ズサァァァ】・【ズサァァァ】・【ズサァァァ】
【ズサァァァ】・【ズサァァァ】・【ズサァァァ】
【ズサァァァ】・【ズサァァァ】・【ズサァァァ】
勢いのついた、アーティフィシャル シー フォースは、
壊れた足を引きずるように進む。
【ドコォォォォーン】・【ポォォォォーン】
そして、アタシとセフコ様は、
アーティフィシャル シー フォースから、振り落とされて、
河原に大の字に打ちつけられた。
13番目の秘密の村の脇を通る、大河は、
川と言うよりも、内海のような大きさだ。
始めてここに来た時は、思わず、水がしょっぱくないか確認したぐらいだ。
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
【パァァァァーン】・【ドォォォォーン】
強烈な光と音と爆炎が、先刻まで、アタシ達が居た所に降りそそいでいる。
どうやら、マガツニチ様は……
異世界の超兵器。ミサイルの着弾点をミスられたようだ……
てか……ミス……だよね……
許されないミスではあるが……ミスじゃなかったとしたら……
【ブク・ブク・ブク】・【ブク・ブク・ブク】
【ブク・ブク・ブク】・【ブク・ブク・ブク】
【ブク・ブク・ブク】・【ブク・ブク・ブク】
思わず、そんな音が聞こえた気がした。
アタシの声に反応して、陸に逃げられたのは……10人にも満たない。
500人近くの仲間達は……皆、大河の底へと沈んでいった。
「イテテテ。
ミサイルとは……恐ろしい兵器だな……」
セフコ様が、そう言いながら、アタシの横に腰を下ろす。
「スミマセン。もう少し、早く気がつければ……」
「そう言うな。マガツニチ様に抗議をする。
わざとではないのだろうが、これは……
笑って済まされるようなミスではない。」
セフコ様が、憤怒の表情を浮かべながら、
仲間達が、大河の底へと沈んでいた場所を睨みつけていた。
ーーーーーー
『第2部隊の連中……少し、残りましたね。
最後の仕上げをしてきますね。』
マガツニチから、連絡が来た。
「殺してはダメだ。
それよりも……マガツニチさん。
ハチハタ姫の部屋に残している、インラの通信機器を、第2部隊の残党の所に移動させて。
そんでもって、コトルの通信機器を、
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)から、第5・第6部隊の所に移動させて。
でっ。レサさん。
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)を、大河から陸に上がり、陸路から、レツブン大帝国の王都に向かうように指示を出して。
使うルートは、人通りの少ない、旧街道。
出すスピードは、可能な限り最速。
そんでもって、不眠不休で、馬車を走らせるように指示を出して。
僕の狙いは……
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)が乗る馬車を牽くのは、アーティフィシャル シー フォースだと言う事を、強烈に印象づける事だ。
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)には、兎に角……
目立ちまくって貰いたいんだ。
それと、ワラハラさん。
トティアマさんは、レツブン大帝国軍の北軍に第5・第6部隊を襲わせるように言ってるんだよね?
第5・第6部隊が、レツブン大帝国領に入り次第、彼等を襲うように、再度、指示を出して。
それと、追加の指示として、
レツブン大帝国の中央軍から、100人以上の人数の部隊を、
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)を監視する部隊として、出すように指示を出して。
そうそう。
レツブン大帝国には、
僕達の囮の部隊(レサの分身達の部隊)とは言わず、
自分達にも分からない、謎の馬車だと伝えておいてね。
その方が……緊張感が出るからね。
でっ。ハチハタ姫。
インラの通信機器が、第2部隊の残党の所に着いたら、
彼等をトティアマさんの部下だと言う呈で、
大河を北上中の僕達の部隊と合流したと言う事と、
大河では無く、陸路を通り、
途中で、レツブン大帝国軍の中央軍からの援軍と合流して、
レツブン大帝国の王都を目指す!と伝えて。
それと……マガツニチさんの事は、一切、触れないで。
そんでもって、ゼロイチ君。
ハチハタ姫が、第2部隊の残党に嘘の情報を流したら……
直ぐに、インラの通信機器の回線を切断するように、
リンゴトマドさんに、お願いして。」
アケモン君は、マガツニチの考えた作戦をストップさせ、
皆に、矢継ぎ早に指示を飛ばす。
『了解しました。
要は……我等の作戦に綻びが出た。そう誤認させるのですね。
アケモン殿は人が悪すぎですな。
キュドンや、ソイハが、成す術も無く……
ガキのようにあしらわれた筈ですわ。』
マガツニチが、大笑いしている。
『本当だな。
第5・第6部隊は、自分達が追う、
ハチハタ姫を守ってる事になっている、君達(ゼロイチ達)の囮の部隊と、
君達(ゼロイチ達)の囮の部隊に急接近している、レツブン大帝国の中央軍に意識が集中させようとするだろうな。
だが……
13番目の秘密の村の高次元の施設に入った、クモヒト様の部隊と、
それを援護する動きをする、トティアマ様達の部隊の動きも気になって仕方がないだろう。
そんな中、
彼等にとって、ノーマークのレツブン大帝国の北軍からの攻撃を受ける。
いくら、彼等が精鋭とは言え……かなり、数を減らすだろうな。
レツブン大皇帝への指示は、しっかりとさせて貰う。
なぁに。指示に背けば、トティアマ様だけでなく……
君達の怒りも買うと、レツブン大皇帝に伝えれば、後は、彼が何とかするさ。』
ワラハラが、大笑いしている。
「アケモン君。
【空の目のナビ】を見れば分かると思うけど……
囮の部隊(レサの分身達の部隊)の進路を変えたわ。」
レサちゃんが、淡々とした口調で、アケモン君に返答を返す。
「リンゴトマド兄さんへの根回しも終わったで。
インラの通信機器の回線は……
俺達の望むタイミングで切って貰える事になったわ。」
ゼロイチ君が、ニヤニヤしながら、アケモン君に返答を返している。
『レサ殿もゼロイチ殿も仕事が早いな。
俺も仕事に取りかかる。
では、これにて失礼する。』
ワラハラが、慌てた声を出しながら、通信を切る。
『ハチハタ様。
心の準備は、宜しいですか。』
「はっ。はい。お願いします。」
我は、慌てて、マガツニチに返答を返した。
ーーーーーー
【バサ・バサ・バサ】
小鳥が1羽、アタシ達の所に飛んで来た。
『トティアマの部隊の者達ですね。
我等は、大河を北上する、異世界人と合流しました。
これより、陸路にて、途中、レツブン大帝国の中央軍と合流し、レツブン大帝国の王都に向かいます。
トティアマへの言伝て、宜しくお願いします。』
【ガクン】・【バタン】
小鳥は、そう言うと急に動きを止め、
地面へと堕ちてしまった。
「脈が止まっていますね。」
アタシ達の部隊(第2部隊)の生き残りの中で、一番の武闘派のマダタが、小鳥の胸元を慎重に触りながら呟いた。
「今の声……ハチハタ姫ですよね?」
「だな。
それに……
あのお方の名を呼び捨てにする事が出来る方など、
ハチハタ姫ぐらいしかいない。」
アタシの質問に、セフコ様が、深く頷いた。
「ハチハタ姫の逃亡が……
完全主義者のマガツニチ様に、このような失態を犯させたのでしょうか?」
アタシ達の生き残りの中で、一番の頭脳派のレタサヨが、
ボソッと呟いた。
「その可能性は0では無いな。
だが……
ハチハタ姫の意向を知ったマガツニチ様が、
ハチハタ姫の逃亡を邪魔だてするであろう、我等を消そうとした。
そう言う可能性も否定する事が出来ない。
レタサヨ。
今、言った情報を、第5・第6部隊に送れ!」
「御意。」
レタサヨが、そう言うと、
通信機器を慌ただしく、動かし始めた。
「ネアブ。
第5・第6部隊と合流したい。
ワーム ホールを作れるかい?」
「3時間ぐらい休ませて貰えば……
第5・第6部隊と合流する為のワームホールを作れます。」
アタシは、セフコ様の質問に答える。
本当は、今すぐにでも、第5・第6部隊と合流したいのだが……マナの量が足らない。
マナの量が少ない、自分の体質が、本当に……恨めしく思う。
◇◇◇
「宜しい。
マダタ。周辺の警戒を怠るなよ。
アタシ達が、今、ここで死んだら……
先に逝った仲間達も含めて、ただの犬死にだからね。」
「了解です。
後、3時間。命に代えても、
セフコ様とネアブだけでも、守り切りますよ。」
マダタが、背負った長剣の柄を握りながら、
不敵な笑みを浮かべている。
「頼もしい限りだよ。」
セフコ様が、大笑いしている。
「セフコ様。
第5・第6部隊の部隊長達が、
大河を出て、レツブンの北の森に入るそうです。
そして……レツブンの北の森の木々に隠れるように進みながら、レツブン大帝国の王都を目指すとの事です。
それと……
我等の合流を許可してくれました。
ネアブが飛べる準備が出来たら、連絡が欲しいとの事です。」
「了解。ご苦労様。」
レタサヨの報告を聞いた、セフコ様は、
にこやかな笑みを浮かべながら、大きく頷いた。
「さてと。
茂みの中にでも隠れるか。
マダタ。先導を頼む。」
「了解です。」
【ガサ・ゴソ・ガサ】
マダタは、セフコ様の指示に頷くと、
茂みを分け入りながら、森の奥へと進んで行く。
「行くよ。」
「はい。」×8
アタシ達は、セフコ様の指示に頷きながら、
マダタの背を追って、茂みの中に分け入った。
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