裏切られた者達の末路(スグヌシ視点) / 星々の会話 / 嘘の情報を運ぶ者(ネアブ視点(前編))
ブック マークを頂きました。
本当に、有り難うございます。
最後まで、楽しんで貰えるよう、頑張ります。
引き続き、宜しくお願いします。
【コン・コン・コン】
「まだ、ですか!」
『もう少し、お待ちを。』
ドアの向こうから、ハチハタ姫の呑気な声が聞こえてくる。
今すぐ、ドアをぶち破って、中に侵入したいが……そうも言ってられない。
11人の部下達もイライラした顔をしている。
【ブッ・ブッ・ブッ】
『スグヌシ様!
あのお方や無敵様達が攻めて来ました!
我等は、ここまでのようです!
我等の宿願を果たして下さい!』
【ツー・ツー・ツー】
第1部隊の本体を預けて来た、ダケコエは、それだけを伝えると一方的に通信を切った。
「スグヌシ様。ドアをぶち破りましょう!」
部下のコシカが、俺にヒソヒソ声で囁く。
「あぁ。それしかないな。」
俺はコシカの意見に頷く。
『落ち着くのです。』
「マガツニチ様。今まで何処に!」
俺達は、一斉に、後ろを振り向くが……そこに、マガツニチ様の姿はなかった。
◇◇◇
『中に突入します。
俺の蜂達が突入したら、直ぐに、ハチハタ姫様の確保を宜しくお願いします。』
【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】
【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】
【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】・【ブゥゥーン】
通風孔から、マガツニチ様の声が聞こえたと思うと、
おびただしい数の蜂のような生き物が、通風孔から飛び出して来た。
「御意。」×12
俺達は頷き、ドアの前で、突入体制を整えた。
◇◇◇
「ギャァァァァー。」
「ギャァァァァー。」・「ギャァァァァー。」
「ギャァァァァー。」・「ギャァァァァー。」
「ギャァァァァー。」・「ギャァァァァー。」
自分の声と部下達の声が、同時に鳴り響いた気がした。
痛かったのは、一瞬だった。
【ドサッ】
視界が変わる。
膝から崩れ落ちたようだ。
【ドサッ】・【ドサッ】・【ドサッ】
【ドサッ】・【ドサッ】・【ドサッ】
【ドサッ】・【ドサッ】・【ドサッ】
部下達の倒れる音が、後ろから聞こえてくる。
起き上がろうとするのだが……身体が上手く動かない。
マガツニチ様に、何故、こんな事をしたのか、問いただしたいが……声が出ない。
「グゥゥゥ。」「ヒュー。ヒュー。」
息が上手く吸えなくなってきた。
『申し訳ございまん。』
ハチハタ姫の謝罪が、ドアの向こうから聞こえてくる。
◇◇◇
【ようこそ。咎人達よ。】
見知らぬ美少女が、氷のような冷たい目で、俺達を見ている。
足元には……自分達の身体が転がっていた。
これが……俗に言う、幽体離脱と言う奴なのだろうか……
【我の身体の中で、核兵器を使う者は許さぬと言う事を……
主達は知っておったよな。
我も鬼ではない。無知な者へは、
余程の事を起こさぬ限り、その罰には手心を加えてやる。
また、我に益をもたらす者には、その罪を不問と致す事もある。
だが……主達は?
見過ごすにも、手心を加えるにも値しない者達だ。】
美少女が、そう言うと苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段が現れた。
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
【ガシッ】・【ガシッ】・【ガシッ】
苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段の先端が、俺達を掴む。
恐怖で逃げ出したい気持ちでいっぱいだが……
身体?が動かない。
いったい……俺達の運命は何処に向かうのだろうか……
分からないが、1つだけ分かる事は……
ロクでもない未来に続くと言う事だけだ。
こんな事になるのならば、周りの反対を押しきって、
秩序の破壊者などに入らなければ良かった。
苦悶に満ちた人々で作られた螺旋階段は、俺達を掴んだまま、漆黒の闇へと引き込まれて行く。
ーーーーーー
【ネメシスを褐色矮星に戻すには、まだ、魂の量が足らぬのう……
さりとて、急がなければ……
人工的に木星を恒星化してバランスを取る案を採択すると、
ウトゥ様(太陽の自我)が、心変わりされてしまうかもしれない。
やはり、ここは、不本意ではあるが……
土狛一族。トティアマ。ヤップ達の具申を全て受け入れる代わりに……
ホクフウやナンフウを含めた、秩序の破壊者。及び、彼等の敵対勢力を殲滅させ、
そやつ達の御霊を、全て……
ネメシスを褐色矮星に戻す為のエネルギーとして、
お主(本星様(新惑星ニビルの自我))に提供する他、なさそうだな。】
【今でも我は、ネメシスよりも、木星を主星としたいのだがのう……
とは言え……
我が儘を言い過ぎて、
ウトゥ様(太陽の自我)が、
我の腹の中から出た子達(ニビル人)が、御霊となった者や、我の腹の中の子達の御霊になった者から、全て消去すると言う、主(ガイア(地球の自我))が望みを認められては困る。
本音を言えば、
ホクフウやナンフウ等、主(ガイア(地球の自我))の腹の中で、木星恒星化計画に邁進してくれた者を見捨てるのは心苦しい。
そして、ホクフウ達と違い、
数億年の時を経れば、魂の記憶を初期化された状態で、復活が出来るとは言え……
我が腹の中で、木星恒星化計画に、全く関与していないのにも関わらず、
その御霊のエネルギーの殆んどを、ネメシスを褐色矮星に戻す為のエネルギーに利用するのは、不本意でしかない。
だが……
主(ガイア(地球の自我))の腹の中で、
我の腹の子達の末裔や、我の腹の中から出た子達(ニビル人)が、幸せな生活を送れるのであれば……
敢えて、その理不尽を、受け入れざる得ないのだろと言う、考えに至ったのだ。】
【そうか。
それならば……
我が腹の子の中から生まれでた、純粋な我の知的生命体を、生殖行為で駆逐した外来種を産んだ者の末裔も、
我が腹の最初の世界の子達から、マナを奪った者の末裔(ニビル人)も、
我が腹の中から生まれでた子達(地球の生き物)と、差別せず愛でてやる事を約束しよう。】
【その言葉を信じるぞ。
では……我は、今の肉体(新惑星ニビル)の活動を終わらせるとしよう。
次に目覚めるのは、誰も居ない、古き肉体(惑星ニビル)だな。
暇潰しに、主(ガイア(地球の自我))の腹の中の様子を、くまなく見させて貰うぞ。
そして……主(ガイア(地球の自我))が、約束を違えた時は、
数億年の時を経て、
再び、我の子達に、木星に光を求めるよう働きかける。
その事を忘れるでないぞ。】
【覗き見などせず、今まで以上に語り合おうぞ。
我の腹の中の9番目の世界(地球の第9世界)の子達ならば……主(本星様(新惑星ニビルの自我))の古き肉体(惑星ニビル)にも辿り着けるだろう。
我は、ネメシスに光が戻った際、
主(本星様(新惑星ニビルの自我))の古き肉体(惑星ニビル)に戻りたいと願う者を引き留める事はせぬ。】
【その言葉。忘れるでないぞ。】
【勿論だ。
主(本星様(新惑星ニビルの自我))との長きに渡る因縁には、ホトホト疲れた。
少しの配慮で善き隣人になって貰えるのならば……
我は、配慮を怠る事はない。】
【そうか。
主(ガイア(地球の自我))が、約束を果たしてくれた際は、
主(ガイア(地球の自我))、我の恩星となる。
主(ガイア(地球の自我))が、我の恩星となった暁には……
我は、主(ガイア(地球の自我))にとって、善き隣人であり続ける事を誓おう。】
【その言葉を違えぬ事を願う。】
【勿論だとも。
では……暫しの別れとしようか。】
【そうだな。ゆっくりと骨を休めてくれ。
その間も我は、
主(本星様(新惑星ニビルの自我))の子達を、全力を持って育んでいく事を誓おう。】
ーーーーーー
「急げ!急げ!急げ!」
アタシ達の第2部隊のリーダー。セフコ様が皆を急かされる。
13番目の秘密の村をクモヒト様のチームが強襲してから、2時間が経っている。
第1部隊隊をあのお方様達が強襲してから、1時間が経っている。
そして……
ハチハタ姫の保護に向かったスグヌシ様達の部隊と連絡が途絶えてから、1時間が経っている。
当初、アタシ達は、アタシを含めた、【世界を跨ぐ者】のジョブ補正を受けている者が、ワームホールを作り、13番目の秘密の村に皆を飛ばす予定だった。
だが……マガツニチ様から、ストップがかかった。
ワーム ホールは空間を歪める。
そして……歪められた空間は、マナの変化が激しい。
だから……ワーム ホールを作ると言う事は、敵に居場所を知らせるようなものだと言う理由だ。
マガツニチ様、曰く、ハチハタ姫は、
コクス殿、ナガ、タンと共に、13番目の秘密の村の城の地下室に隠れて居らっしゃるらしい。
そこで、マガツニチ様が、異世界の兵器。ミサイルを、
異能【単為生殖をする生物化】で生物化した物を、13番目の秘密の村に複数、撃ち込む。
そして、アタシ達、第2部隊は、その攻撃が行われた後、
海から13番目の秘密の村に上陸し、ハチハタ姫の保護に向かうと言う作戦だ。
既にミサイルとやらは発射されていて……
物凄いスピードで、13番目の秘密の村をめがけて、飛んでいる。
アタシ達も、アーティフィシャル シー フォースを、最速で泳がしながら、13番目の秘密の村に向かっているが……
マガツニチ様との合同作戦に間に合うか否か、微妙なところだ。
「急げ!急げ!急げ!
間に合うか、否かではないぞ!
間に合わせるんだ!」
アタシ達の第2部隊のリーダー。セフコ様は、更に、皆を急かされる。
◇◇◇
「ネアブ。
マガツニチ様のミサイル攻撃との合同作戦に間に合いそうかい?」
「はい。ギリギリですが……行けそうです。」
アタシは、セフコ様の質問に答える。
アタシは、セフコ様が駆る、アーティフィシャル シー フォースに同乗させて頂き、
【空の目のナビ】と睨めっ子しながら、
マガツニチ様のミサイルの動向を把握している。
「ヤバいです!
ミサイルとやらのスピードが上がりました!」
「クウ。マガツニチ様……こんな時に、トンでもないミスをしてくれるね!
とは言え……これ以上のスピードは出せない!
今の【空の目のナビ】の映像は、録画する事は出来たのかい?」
「はい。」
「宜しい。
作戦が失敗した際は、その映像を見せ、
マガツニチ様に、助命を願おうぞ。」
「はい。」
アタシは、セフコ様の指示に返答を返す。
13番目の秘密の村には……
あの完璧主義者のマガツニチ様が、ミスするような相手が居るのだろうか……
あのお方達は第1部隊の襲撃をされている。
クモヒト様は既に高次元の施設に入られた。
では……一旦、彼処に居る化物は誰なんだろうか?
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