最終決戦の少し前
『ゼロイチ達のチームが、
レツブン大河に入った模様です。』
13番目の秘密の村を仕切ってる、スグヌシから、
マガツニチに連絡が入る。
そして……
その連絡は、何故か、トコスにも同時に入った。
本当に……間抜けな話だな。
アタシとコトルの通信機器を通して、
秩序の破壊者を追い詰める者達に、情報が全て筒抜けなのだぞ。
『そうか。
第1部隊と第2部隊は、
13番目の秘密の村を守る、大河にある関所に詰めろ!
第3部隊と第4部隊は、大河を南進しろ!
但し、戦闘行為はギリギリまでするな!
お前達の仕事は、ゼロイチ達の裏を取る事だ!
そして、ゼロイチ達への攻撃は、
第1部隊と第2部隊の攻撃を合図に始めろ!
13番目の秘密の村に残る、第5部隊。第6部隊は、最後の砦だ!
ゼロイチ達は、他の部隊の攻撃を避けるべく、お前達の元にたどり着くだろう!
そこで、止めを差せば良い!
但し、油断は禁物だ。
奴達の武力は、あのお方様と無敵様のコンビや、
クモヒト様のチーム レベルの武力だ!
この同時攻撃でも、確実に殺れる保障は無いぞ!
その事を、踏まえて、
最低ラインを、我々の応援が来るまでの時間稼ぎだと言う事を、頭に叩き込んでおけよ!
それと……
ゼロイチ達が、必ずしも、13番目の秘密の村に来ると、決まった訳ではない。
だから……無駄な攻撃をして、寝た子を起こすような真似だけは、絶対にするな!』
『畏まりました!
皆の者!マガツニチ様のお言葉を忘れるな!』
13番目の秘密の村を仕切ってる、スグヌシが、
真剣な声で、マガツニチに返答を返している。
◇◇◇
『さてと。インラ君。コトル君。
君達には、13番目の秘密の村に飛んで貰います。
そして、そこで、
ハチハタ姫と、その番に会い、
俺の元に連れて来て欲しいのです。』
スグヌシとの通信を切った、マガツニチが、淡々とした口調で話す。
「アタシ達への命令ですか?」
アタシは、マガツニチに質問をする。
『えぇ。『産め。』』
「うぎゃぁぁぁ。」・「うぎゃぁぁぁ」
トコスとスナヤが、急に呻き声を上げる。
『ククク。
リンゴトマドが、貴女達の通信機器をジャックしてくれたお陰で、
ホクフウとナンフウによって、番と共に、
13番目の秘密の村の城の客間に軟禁されていたハチハタ姫は、
他世界の者達と、ようやく語らいを持つ機会を得られたのです。
そして……
短いながらも、他世界との交流を持てた、ハチハタ姫は、
地球生まれのニビル人は、本星様(新惑星ニビルの自我)の意向よりも、ガイア(地球の自我)に従うべきだと言う、お考えを、ようやく固められたのです。
でっ。俺は……
ハチハタ姫の後見人です。
ですから、
ハチハタ姫の意向と合わない、ホクフウ様やナンフウ様とは、袂を分かつ事にしたのです。
てっ……そんな事を聞きたい訳じゃないですよね?
貴女への命令は、
貴女のボスの了解を得てます。
てか……貴女達がやってくれないのならば、自分でします。
ですが……その場合……
貴女達にも、トコスとスナヤのように死んで貰います。』
通信機器に映る、マガツニチは、にこやかな笑顔を浮かべている。
「どうやって、殺したんだ?」
コトルが、恐る恐る、マガツニチに聞く。
『即死性の毒を詰めたカプセルを蟯虫にして、彼等の腹に仕込んでおいたのです。
でっ。先刻、そのカプセルを腹にぶちまけた。
それだけですよ。』
通信機器に映る、マガツニチは、にこやかな笑顔を浮かべている。
◇◇◇
『何を偉そうにしてるの!
貴女達の言うセリフは……仰せのままに。それだけよ!』
通信機器に戦闘狂娘が、不意に映る。
『イラン事を考えるな。
兎に角……彼の指示に従え。
さもなくば……お前達を見捨てざる得ない。
何故ならば……お前達の行動は……
ガイア(地球の自我)をブチギレさせてるのだから……』
ボス(インラ達の)が、悲しそうな顔で、
アタシとコトルに語りかける。
「ガイアって……地球の自我と呼ばれてる。物凄く偉い存在ですよね?
アタシ達……そんな方を怒らせるような事はしてませんよ。」
アタシは、ボス(インラ達の)に抗議をする。
『残念ながら本当です。
ガイア(地球の自我)は、核兵器を使う者を死ぬ程、嫌ってます。
まぁ……俺とニバセンは……
ハチハタ姫達の命を延命させる為に、
ホクフウとナンフウに協力せざる得なかった事と、
この世界の水蒸気層を落とさないように、細心の注意を払った事が評価されて、不問にされたが……
それ以外の者で、協力者を含めて、秩序の破壊者側に居た者を、ガイア(地球の自我)は許さないと言ってるらしいです。
だから……おたくのボス(インラ達の)に頼まれて、
敢えて、この仕事を振るのです。
そうする事で、もしかしたら……
ガイア(地球の自我)は、貴女達の事も許してくれるかもしれないですからね。』
マガツニチが、にこやかな笑みを浮かべながら、
アタシ達に語りかけてくる。
◇◇◇
『その話。嘘じゃない。マジよ。マジ。
あんた達……マジでヤバい状況なのよ。』
戦闘狂娘が、物凄く一生懸命に、アタシとコトルに語りかけてくる。
『すまん。
自主性に任せすぎた。
秩序の破壊者の中枢への取材が出来ると言った時点で、止めるべきだった。』
ボス(インラ達の)が、アタシ達に頭を下げてくる。
『元管理人で、リンゴトマドのライバルと黙された秀才。ジーサク。
お前、自体は、【知識の泉へのアクセス】を持たない、アタシ以下の通信技術しかない雑魚だったが……
リンゴトマドや、土狛シエジ達との引き合わせには、感謝するぞ。』
妖艶なお姉様が、ボス(ジーサク)と、戦闘狂娘の頭を撫でながら、大笑いしている。
『おい。ニバセン。姿を見せるな。』
『あら。今夜のオカズを提供してあげたのに……
ずいぶんな言い種ね。』
慌てた顔のマガツニチに対して、
ニバセンは、妖艶な笑みを浮かべながら笑っている。
『と・に・か・く。
ガイア(地球の自我)からの許しが出るまで……
結果を出し続ける事ね。
じゃないと……
生まれて来た事を後悔する程度じゃ済まされないと思うわよ。
では。では。頑張ってね……』
ニバセンは、そう言うと、一方的に通信を切った。
『やっぱり。
ハチハタ姫と、その番の保護は、自分でするとしよう。』
「やらせて下さい!」×2
アタシとコトルは、同時に叫んだ。
『そうか。
失敗は許されない。
その事を肝に銘じておけ。』
「仰せのままに!」×2
アタシ達は、そう言うと、13番目の秘密の村に飛んだ。
◇◇◇
「ようこそ。
ハチハタと申します。
こちらは、旦那のコクス。
宜しくお願いしますね。」
アタシ達は、13番目の秘密の村に行くと、
マガツニチが既に連絡していたのであろう、
13番目の城に軟禁されている、
ハチハタ姫と、その番と言う方に、直ぐに会わせて貰えた。
「こちらこそ、宜しくお願いします。」×2
アタシとコトルは、頭を下げた。
「客人に執事や侍女の見習いをさせる事になります事、
深くお詫びします。」
「いえいえ。お気になさらずに。
アタシ達の平穏な未来の為に、喜んでお世話させて頂きます。」
アタシは、申し訳なさそうな顔をする、ハチハタ姫に、
深々と頭を下げた。
「それは良かった。
必要な事は、執事のナガと侍女のタンがしてくれます。
時が来るまで、この2人の指示に従って下さいませ。」
「仰せのままに。」×2
アタシと、コトルは、そう言いながら、
ハチハタ姫に深々と頭を下げた。
ーーーーーー
【ブッ・ブッ・ブッ】
ゼロイチ君の通信機器が鳴る。
「リンゴトマド兄さんからや。
秩序の破壊者の幹部のマガツニチとニバセンが、
ニビル人の姫。ハチハタ姫の身の安全と引き換えに、
秩序の破壊者を裏切る事を決めはったらしいわ。
それと……
13番目の秘密の村に布陣してはる、秩序の破壊者の部隊が、俺達の侵入を警戒してはるらしいわ。
まぁ……そう仕向けはったんは、マガツニチで、
俺達を迎え撃つ為に、部隊をあちこちに展開させはる事で、
本命のクモヒトさん達のチームが、楽に高次元の施設に侵入しはる為の手助けをする事になるらしいわ。
それと……
俺達の世界(オリジナルの世界)で、ジャーナリストをやってはった、インラとコトルちゅう奴が、
ハチハタ姫と、その旦那と執事とメイドさんを連れて、
俺達の所に飛んで来はるらしい。
でっ、俺達の仕事に……
そいつ達の保護が、追加される事になったらしいわ。」
ゼロイチ君が、面倒臭そうな顔しながら、
状況を説明してくれる。
「荷物を就寝スペースに移動させるか。
まぁ……少し、大所帯になるけれど……
就寝スペースまで活用すれば、何とかなるんじゃない?」
嫁が淡々とした口調で、ゼロイチ君に返答を返す。
「そうね。
てか……状況がコロコロ変わるわね。
対岸の火で、のんびりと高みの見物を決め込むつもりだったけど……
そうもいかなさそうね。」
「じゃな。」・「だにゃ。」
レサさんの呟きに、ヴォルとニャレスが頷く。
「どうだろうね。
やっぱり、バックアップに専念して!なんて言う風に、指示が変わるかもよ。」
「そりゃないやろ。」
僕の願望を聞いた、ゼロイチ君が、鋭いツッコミを入れてくる。
「まぁ……なんにせよ……
最終局面を迎えてる!って事よ。
気合い入れていきましょう。」
「うん。」×5
上手く話を纏めた嫁の指示に、皆が、真剣な顔で頷いていた。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。