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Angel SOS  作者: カツオ
第2章 猫の国
91/91

第91話 Angel SOS(クジャク編)⑥

更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

実は第90話の修正もおこないました。

合わせてお楽しみください。

 アドリエルが召喚される1日前、8月の夏。場所は猫の国。クジャク16歳の物語。



 天から下って来たのは?

 はい、モチのロンで天使だぁーー!!

 何ぃーーッ!!??

 猫ちゃん達も、もうド・びっくりですよぉ~

 ど・ひゃー ですです。

 ではでは、様子をのぞいてみましょうか。どれどれ・・・


 

 電光石火の如く地に降り立ったのは?

 天使カシエルだぁーー!!

 ※注記:天使カシエルについては『第21話 クジャクの母①、第23話 クジャクの母③』を参照ください。

     天使カシエルは、天使ミシャエル同様、堕天使ザミエルの元同僚になります。



 眩い程の光に包まれた、その容姿はまさに・・・天使!

 高貴な雰囲気で溢れてるぅ~ 

 そんでもって、切れ長の麗しい瞳で堕天使達を睨み付けた。

 うわぁ~ 美人さんが睨むと拍が付き過ぎておっかないですねぇ~ 

 おぉ~ こわ うぅ~ こわ♪


 ザミエル:「おいおい、これはどうゆうことだ。

 地上への干渉は禁止だぞ。

 (まずいぞ、天使が直接出てきやがった。

  天界で何か進展があったなこれは)」


 カシエル:「何をしらじらしい。貴方達の暴挙を止めるためです」


 ザミエル:「まぁー 今夜の事はちとばかりフライングぎみだったけどよー

 (暴挙だと? 

 それじゃ俺様がまるで犯罪者のようじゃないか?)」


 はい、その通りだと思いますけどね。


 カシエル:「まもなく【神の刑執行者】が貴方達のもとに来るでしょう。

 おとなしく刑に服しなさい」


 ※注記:詳細は『第11話 Angel SOS(義彦編)④』を参照ください。


 ザミエル:「ちょっと待ってくれよ。俺様が何をしたていうんだ?

 (【神の刑執行者】だ! マジかよ! 裁かれるのか俺様が!?)」


 カシエル:「【猫の国】を滅ぼそうとしています。許し難い悪行です」


 ザミエル:「おいおい、滅ぼすだ。質の悪い言い掛かりはよしてくれ。

 俺様はただ【猫の国】に理想郷を作りたいだけだ。

 モフモフしたいだけなんだよぉー!」


 はいはい、ハーレムのことでしょ。

 あんたら(堕天使)以外、誰が喜ぶんだちゅ~の!?

 ねぇー?

 

 カシエル:「不服なら法廷で言ってください」


 ザミエル:「寂しい事言うなよ。な? 俺達友達だろ?」


 カシエル:「その友達を後にし地に降りたのは誰ですか?」


 ザミエル:「だから言ってるだろ!

 理想郷を作りたいんだよ!

 ほら、あれだ、男は夢を追うものなのさ」


 カシエル:「何とも身勝手な言い分ですね。

 それに今のあなたはもう友達ではありません。敵対者です」


 ザミエル:「敵対者て、お前・・・

 (これは相当まずいことになちまたな。どうすんよ?)」


 情けなくも、今にも泣き出しそうなぐらい狼狽えるザミエル。

 はい、もうブルブルですよ。

 神様の裁きてワード、相当きいているようですね。


 カシエル:「あぁー もぉー 情けないですね。

 では今日のところは見逃してあげましょ。自分達の場所へと帰りなさい。

 (見かねて飛び出して来たとは言えませんからね。ここはとりあえず帰ってもらいましょう)」


 あらあら、カシエルの方も何か訳ありのようですね。


 ザミエル:「帰れて、【人の国】のことを言っているのか?」


 レリエル:「うん、分かったよ。引き揚げることにするね。

 ねぇ~ ザミエル、そうしよ。

 (ここは仕切り直したほうが良さそうだ。素直に従っておこう)」

 

 ここはさすがのレリエルも慎重です。

 言われたままに撤退を承諾するようですね。

 でも、その様子を『はぁー!!??』といった面持ちで見守る猫武者達。

 チヅルちゃんの仇と勇んでおります。


 しかしながら、目の前には天使が立っています。

 まさに自分達の信仰の対象です。

 逆らうなど、どうして出来るでしょうか。

 ですから、『なぜ!! みすみす見逃す??』のと不満たらたらです。

 

 そして、そうこうしているうちに堕天使達は森の中へと消えて行くのでした。

 それを確認してから、天使カシエルが手を天高くかざすと、あら不思議。

 あっと言う間にあんなに燃え盛っていた山火事が消えて行きます。

 もう種火すら一つもありません。

 再び森に静寂が戻りました。

 先程までの山火事が噓のようです。

 

 それから天使カシエルは、位置的に三歩と離れていないクジャクの方へと向きます。

 その顔は打って変わり慈愛に満ち、まさに女神のようです。


 カシエル:「あぁー 可哀想なクジャク。クジャク、あなたは、勇者であるあなたの補い手であるチヅルを失ってしまったのですね」


 天使カシエルは、愛する者を亡くし悲しみに暮れている猫ちゃん達に慈しみ深く接っします。

 それは彼女もチヅルちゃんを気に掛けていた一人だからです。

 そう彼女は、クジャクが生まれた時も、そしてチヅルちゃんが生まれた時も、天使ミシャエルと共に二人の行く末を案じて来ました。

 これまでずっと中天から二人の事を見守って来たのです。

 そんな彼女がチヅルちゃんの悲報に胸を痛めるのは自然なことですよね。


 クジャク:「申し訳ございません。僕はチヅルを守ってあげることができませんでした」


 トーンの全く無い透明な声で答えるクジャク。

 でも、猫武者達は誰一人としてクジャクの変貌ぶりに気付きません。

 それよりもチヅルちゃんの死を皆で悲しみます。

 

 でもそんな中、クジャクは、涙を流すことも、打ちひしがれることも、もうできません。

 だって感情が無いのですから。


 だからでしょうか。天使カシエルは、そっとクジャクを抱きしめてあげると、クジャクの手を取りチヅルちゃんのもとへと歩き出します。

 

 カシエル:「チヅル・・・

 (私に、あとほんのもう少し勇気があったなら。

 あとほんのもう少し早く介入していたら。

 あなたはきっと死なずにすんだのでしょうね。

 ごめんなさい。チヅル。

 ポポロン様が教えてくださったとおりだわ。

 自分で判断して行動しないと、悲劇は繰り替えされて行くのね。

 そう、ポポロン様はこうもおしゃったわ。

 神様は私達が自立して行くのを楽しみにされていると。

 もっと・もっと【自由】に行動していいんだよと教えてくれたのに。

 あぁー 私がもっとしっかりしていれば・・・)」


 ※注記:詳細は『第37話 白い許嫁①』は参照ください。

 

 天使カシエルはとても悲しそうな眼差しでチヅルちゃんを見つめると、ゆっくりと屈みチヅルちゃんの傷口を塞いであげます。

 血でベトベトだったお顔や甲冑は、みるみるうちに綺麗になってゆきます。

 その後、時間にしたら30秒程でしょうか。

 チヅルちゃんをじっと見つめてから、天使カシエルは語り出すのでした。

 

 カシエル:「勇者クジャク、今から話す事をよくお聞きなさい」


 おぉー! 天使からのお告げ・・・来たぁーーッ!!


 クジャク:「はっ! 仰せのままに」


 カシエル:「チヅルのお腹の中にはあなたの子が宿っています。

 チヅルはもう亡くなってしまいましたが、この子はまだ生きています。

 まだほんの小さな命ですが確かに命の炎をたたえています。

 クジャク、あなたの子ですよ」


 クジャク:「チヅルが僕との子を宿していたなんて、知りませんでした」


 ちょーとまったぁー!

 チヅルちゃんは【天使の加護】の影響で戦時下では妊娠しないはずなんですけど?

 またこの子、何かしでかしちゃいました?

 以前も平時なのに自力で戦時プログラムを起動させた実績がありますしね・・・チヅルちゃんは。


 ※注記:詳細は『第48話 チヅルちゃんのとある一日④』を参照ください。



 カシエル:「まだ小さな命ですからね。

 そこでですクジャク、この子を私に預けてはくれませんか?

 私が天に連れて帰れば助けることができるでしょう。

 (チヅルの事もポポロン様に相談してみましょう。

 もしかしたらミカエル様に助けて頂けるかもしれない)」


 クジャク:「はっ! どうか天使様の望まれるままに」


 カシエル:「ではこの件、チヅル共々、私が確かに預かりました。

 きっとこの子(お腹の子)は【猫の国】の希望の光となるでしょう」


 このお墨付きの言葉に猫武者達から『おぉー!』と歓声が沸き上がります。

 深い悲しみの中に希望の光が差し込んだのです。


 クジャク:「はっ! ありがたき幸せ。痛み入ります」


 カシエル:「さぁー クジャク、反撃の時です。

 神殿へ行きなさい。

 海の神殿ではなく、山の神殿です」


 クジャク:「はっ! 仰せのままに」


 カシエル:「今、山の神殿には狐達が大挙していますが、恐れる必要はありません。

 あなたを迎え入れる者は【神の刑執行者】だからです。

 彼はこの度の事を全て知っています。

 【神の刑執行者】としてあなたのもとに来るからです。

 でも、クジャク、あなたは一人で行く必要があります。

 狐達に悟られないようにするためです。

 決して狐達に見つかってはなりません。

 争う事が無いよう身を隠しなさい。

 そうすれば万事うまく行くでしょう。

 では、勇者クジャク、さぁー 行きなさい。猫達のために。

 (ミシャエル、後は任せたわよ)」


 山の神殿の方を指し示し、出発を促します。

 物語が大きく動き出そうとしています。


 クジャク:「はっ! 行って参ります」 


 猫武者達の大歓声のもと、クジャクは疾風の如く尾根を駆け上がります。

 猫武者達に見送られ、あっとゆうまに山中へと消えて行くのでした。


 クジャクを見送ると天使カシエルは猫武者達にもお告げをつげます。


 カシエル:「今日見た事全てを伝えなさい。

 家族、友、そして隣人に広く遠く伝えるのです。

 あなた達の勇者クジャクは旅立ちました。

 【猫の国】を救うため旅立ったのです。

 またチヅルのことも伝えなさい。

 チヅルは亡くなってしまいましたが、勇者クジャクの子を身ごもったこと。

 その子と共に天に上げられたことを伝えるのです。

 さぁー あなた達も行きなさい。

 そして、この事全てを伝えるのです。

 あなた達は今日の日の出来事の証人なのですから」


 天使カシエルはそう告げると、チヅルちゃんと共に天へと上ってゆきます。

 その様子を猫武者達はいつまでも・いつまでも見上げているのでした。

 



※※※




 どれ程の時間が過ぎたのでしょうか。

 クジャクは休むことなく山の神殿へと向かい走り続けます。

 山を越え、谷を越え、村々を通り過ぎ、気が付けばお天道様はもう頭の真上です。

 

 クジャク:(神殿まで後もう少しだ。

 天使様が言われた通り検知魔法の反応が強くなって来た。

 ここからは山道を進むのは危険だな。森の中を進もう)


 従来猫種の隠密性は高いのです。

 そこにクジャクの数々の魔法が加わるのですから、発見は容易ではありません。

 万全を期して深い樹海を進むことにします。

 なかなかハードな道のりになりそうですね。

 それでもさすがはクジャクといったところでしょうか。

 昼過ぎには山の神殿へと無事到着することができました。

 とは言っても神殿まで50mは離れていますけどね。

 だってぇ~ 狐さん達が沢山沢山いるんだもん。

 そう狐さんは魔法が得意なんですよ。

 さすがのクジャクでもこれ以上近づくのは危険です。


 クジャク:(ここで様子を見ることにしよう。

 持ってきた水と食料から計算して二日は持ち堪えられる)


 大木の陰に身を潜めるクジャク。

 仮眠を取りながらじっとその時を待ち続けます。


 それから日も沈み、真夜中も過ぎ、そろそろ朝日が昇る時間帯となりました。

 はい、その時がきましたよぉ~

 ワクワク、ドキドキ♪

 『ジャ・ジャ・ジャン・ジャン・ジャ~ン♪』


 すると、入口がどこだか分からない神殿が突然輝き出したぁー!

 何ぃーー!!

 もう『なんだ・なんだ!!』と狐さん達は大慌てですよぉ~

 そうこうしていると、神殿の外壁が大きく展開しはじめます。

 『えっ・えっ・えぇーーッ!!』てな具合に、そんなとこらから入口が出てくるの!!??

 て、狐さん達は度肝を抜かされます。


 そんでもって、入口から表れたのは?

 はい、モチのロンで・・・アドリエルとリディアだぁーー!!

 ひゃほぉ~い♪ やっと出た。

 ほんとここまで来るの長かったなぁ~ しみじみと、うん・うん・うん♪

 ちなみに二人の第二章猫の国での出番はここだけです。

 ド・ひゃー メイン主人公なのにメイン主人公に。ねぇー♪


 アドリエル:「やぁー 皆さんこんばんわは♪ 驚かせちゃってごめんね」


 フレンドリーに狐さん達に挨拶するアドリエル。

 天使はいつだってフレンドリーで親切なのさ。エッヘン!


 でも~ 狐さん達は、もうド・ド・ド・びっくりですよう。

 だってぇ~ 天使が表れただけでも大変なのに、自分達の信仰の対象である天使が子猫の姿をしているんですよ。そりゃねぇー。

 はい、今のアドリエルは白猫アーちゃんでぇ~す♪

 とても・とても可愛いですよぉ~ きゃはぁ~♪


 アドリエル:「では皆さんにお告げですよ。しっかり聞いてくださいね」


 アドリエルの言葉を聞き我に返る狐さん達。

 『はっはぁー』と平伏します。

 たとえ天使が子猫の姿であったとしても、まぁ天使であることに変わりはありませんからね。

 

 アドリエル:「今猫の国は悪魔と戦っています。

 でも悪魔はとても強く猫の国は窮地に立たされてしまいました。

 ですから僕は今から猫の国を助けに行きます。

 でもこれは狐の国のためでもあるのですよ。

 それは悪魔が狐の国も狙っているからです。

 僕は狐の国も救います。

 ですから猫の国と争わないでください。いいですね」


 アドリエルはにこやかにそう告げると、狐さん達に国へと帰るよう促します。

 はい、天使からのお告げです。

 狐さん達は、『はっはぁー』とばかり大急ぎで帰って行くのでした。


 アドリエル:「クジャク、もう大丈夫だから出ておいで」


 ごくごく普通に話したはずなのに50mは離れているクジャクの耳元に届くんだなぁ~ これが。

 さすがは天使様といったところですね。

 

 クジャク:「はっ! ただいま近くに」


 そう言うとクジャクは駆け寄り、アドリエルの足元にひざまずきます。


 アドリエル:「よく来てくれたね。クジャク」


 クジャク:「お目通し頂きありがとうございます」


 アドリエル:「僕もクジャクに会いたかったよ。

 僕は君を助けたいんだ。

 よく今日まで大変な中、頑張って来たね。

 クジャクはほんとうにえらいね」


 クジャク:「お褒めにあずかり恐悦至極に存じます」


 アドリエル:「(16歳か。日本でならまだまだ少年だ。

 それなのに感情を失ってもまだ戦わねばならないなんて、可哀想に)

 僕はねクジャク、君と君の国を守るために戦うよ。

 だから一緒に行こう。クジャク」


 クジャク:「はい!」


 あれ! 今、クジャクの声色が変わった?

 気のせいかな?

 まぁ~ 何はともあれ、こうしてクジャクは天使アドリエルと無事合流することができました。

 神様からの刑罰執行権限を持つ天使アドリエル。

 神様が地を裁く際、剣となる精霊リディア。

 クジャクはこれ以上ない最高の仲間を得たのです。




 Angel SOS 第2章 猫の国 完


 To be continued

これで第2章は完結です。お読み頂き本当にありがとうございました。

一様、なんとか形にはできたかな・・・と思ってはいますが、いかがなものでしょうかねぇ~?

もしよかったらコメントを頂けると嬉しいです。


そんでもって、今後の予定ですね。

【登場人物と設定】の第2章分を制作します。 

今春中にはアップしたいと思っています。


そして第3章の牛の国ですが、おそらく月単位ではなく年単位でお時間が必要かと。

私のやり方として、下書きが出来上がってからの執筆になりますし、アマチュアですし、今の世界情勢から来る過度のストレスもあり、構想はある程度出来上がっているのですが、下書きが未着手なんですよね。

まぁ~ 気長にお待ちくだされば幸いです。

構想的には4章までありますし、ただいま5章を目下構想中です。

そのうちまたニヤニヤしながら、下書きを楽しみながら書ける時期が、きっと来ることでしょう。

今後とも『Angel SOS』をよろしくお願いします。


追伸。

昨今の世界情勢に不安を抱えておられる方は少なくないと思います。

どうか世界が平和になりますように。

皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

どうかご武運を。

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