第89話 Angel SOS(クジャク編)④
来てくれてありがとぉ~♪
ゆっくりしていってね♪
アドリエルが召喚される1日前、8月の夏。場所は猫の国。
電光石火の如く炎の中から飛び出してきたのは?
はい♪ モチのロンでクジャクでぇ~す♪
その刃は容赦なく侵略者を切り裂いちゃいますよぉ~ バシバシてねぇ~
そうなんです。【天使の加護】により、二刀流による同時攻撃を得意とするクジャクは、3秒とかからずに4人もの人間達を仕留めてしまいます。うわすごい!!
その両腕から繰り出される太刀筋は完全に独立しており、クジャクの目の前に立つ者を次々と仕留めていきます。
そして、その目にも止まらない異質の剣技により、次の攻撃に踏み込んだ瞬間・・・
ザミエル:「はっ!!」
ザミエルの鋭い突きがクジャクを襲います。
はい、ザミエルと言えば、そう、なかなかの剣の使い手なんですよね。
まっ、一様、堕天使だし・・・ね。
さぁ~ どうするクジャク!?
そんなクジャクはというと?
えぇーー!! ど・ど・どうしよう!!??
意識が完全に攻撃目標である人間の兵士にいちゃています。
これじゃ完全に不意を突かれちゃうよ!!
ザミエルの剣先がクジャクを捕らえた。
ザミエル:(けっ、存外、ちょろいもんだぜ)
だがしかぁーーしッ!!
そうクジャクは?
マルチタスク型だぁーー!!
自我を持たない方のクジャク達が・・・ザミエルの会心の一撃を捕らえてるぅー!!
ザミエル:「はぁー よけやがった!!」
やったぁーー!! 華麗によけちゃった。
完全に見切ったかの如くの身のこなしであります。
これならば、もしかして堕天使に勝てるかも? 勝てるかも!? ひゃっほ~い♪
クジャク:(今の感覚?? そうかやっぱり僕には・・・いやいや、今は戦闘に集中しなくちゃダメだ!)
そうなんです。体が勝手に動くんだもんね。そりゃあ違和感半端じゃないよね。
でも今は目の前の敵に集中しないとダメだよ。
そう今は考え事をしている時じゃ、ありません。堕天使との戦闘が最優先です。
ですから、クジャクは体制を整えザミエルと対峙します。
チヅル:(今の攻撃まったく見えなかった!! なんなのよぉー この人!!)
えっ、チヅルちゃん、大丈夫!?
なんと、クジャクの後から飛び出してきたチヅルちゃんがね、ザミエルの攻撃により体勢を崩され、あわや転倒するところだったんですよ。
もう危ない危ない。チヅルちゃんしっかりしてくださいね。
うぅ~ん、これは、堕天使達とのハイレベルな戦闘にチヅルちゃんの身体能力が追い付ていないんですね。
これってちょっとまずくありません?
はい、ちょっとどころか、大分まずい状況ですね。
ザミエル:「おいおい、勇者(天使の加護を持つ者)が二人もいるじゃねえか。どうゆうこちゃっ!?」
レリエル:「これは驚いたね。天使達がここまで用意周到だったなんてさ。
さてと、どうしようかなぁ~? ねぇ~ どうする?」
チヅルちゃんを目の当たりし驚く堕天使達。とっさに思案し始めちゃいます。
ちょっと・ちょっと、こんな状況下で作戦会議ですか?
余裕シャキシャキですね。
では説明しよう!
堕天使達は物質の肉体を持ってはいますが元々は霊者です。すなわち天(反物質宇宙)に住む霊者です。
ですから精神は霊体のままなんですよね。物質の体である肉体に霊者が憑依しているわけです。
よって、肉体は物質宇宙の物理法則に左右されますが、精神はその限りではありません。
そうなんです。物質宇宙を運行させている時間というシステムに影響されないんです。
どんなに思考を巡らして考察したとしても、時間は1秒も必要としません。
これってかなり凄い反則技ですよね?
以上。説明お終い!
レリエル:(ザミエル、見た? 小さい方の反応速度、それ程良くないよね)
※注記:念話でザミエルと通話をするレリエル。勿論、時間の影響は受けていません。
ザミエル:(あれは歴代の勇者程じゃねえな。サポート役的なポジションじゃねえかな? 多分)
レリエル:(そうだよね。少なくとも白兵戦型ではないね。
攻撃魔法の方もどうだか? あの位置から一切攻撃してこないしね)
ザミエル:(てっことわよ、小さい方の奴からやっちまうか?)
レリエル:(いいんじゃないかな。あとさ、無力化して人質にしちゃおうよ。
そうすれば、あっちの強い方を仕留めることができるかもしれないよ)
ザミエル:(確かにあいつはやっておきたいな。あの反応速度、あれはただ者じゃないぜ! さっさと始末しちまおう!)
レリエル:(じゃあさ、こんなのはどおかな、僕が強い方を引き付けるから、ザミエルは小さい方をやちゃってよ)
ザミエル:(おいおい、強い方は俺様が相手をするぜ!)
レリエル:(ちょっと待ってよ。今は小さい方の無力化に専念しよ~よ。
あの強い方、僕達でも二人がかりで行かないと相当手強いと思うよ。
それにさ、もう猫の援軍が直ぐそこまで来ている。あと30秒てとこかな)
ザミエル:(ちぇっ! わっかたよ! それでいこう。
あぁ~あ、こんなちゃちな体じゃなければ瞬殺なのによ! まったく!)
レリエル:(そうだね、四千年前のあの事件からこうなちゃった訳だけど、ほんと面倒な事になちゃったね。
まあ今更文句を言っても始まらないけどさ)
ザミエル:(まあな・・・!)
レリエル:(それじゃそろそろ行くよ)
ザミエル:(おー!)
さあバトルの開始だ!!
レリエルは無詠唱で攻撃魔法を撃つと、尋常ではない速さで踏み込んで来た。
そして、その攻撃にも的確に反応するクジャク。
でもクジャクからしてみれば、堕天使達の立てた作戦など知る由もありません。
反応こそできましたが敵の戦術にはまってしまうのでしょうか?
レリエル:(やっぱりちゃんと反応してくるんだ。これはなかなか手強いね)
クジャク:(無詠唱で撃ってきた。しかも見た事も無い魔法だ)
うぅ~ん、ちょっとクジャク、不利だわこれ。
だって、後ろにいるチヅルちゃんをかばいながらの戦闘でしょう。思うように戦えません。
レリエル:「そんな動き方じゃ、直ぐ切り崩されちゃうよ。ほらほら」
一瞬でクジャクとの間合いを縮め、襲い掛かるレリエル。
だがクジャクも負けていません。攻撃を上手に受け流していきます。
ですが、この攻防こそ堕天使達の策略なんですけどね。トホホォ~イ♪
クジャク:「左から来てるよ。
(チヅル耐えてくれ。あともう少し持ちこたえてくれれば援軍が到着する。
そうすれば形勢は逆転する)」
レリエルだけでなく、ザミエルの動きも把握できているクジャクがチヅルちゃんに警戒を促します。
チヅル:「はい!!」
でも、クジャクとレリエルのハイレベル過ぎる戦闘にたじろいでしまうチヅルちゃん。
無理もありません。だって女の子なんですもの。
それでもチヅルちゃんは心得ております。ここは戦場なのだと。
悲しいけどこれって、やるかやられるかなのよね・・・
そして、左側面に回り込んだザミエルのロングソードがチヅルちゃんを捕らえます。
長身によるその長い腕と、猫ちゃん達からしたら滅茶苦茶長い1m以上もある刀身からの攻撃です。
間合いが掴み切れません。
案の定チヅルちゃんは防戦するのも苦しい程、苦戦を強いられてしまいます。
クジャクとしても、チヅルちゃんへの集中攻撃を防ぐだけで精一杯です。
チヅルちゃん、ピンチ!!
ザミエル:「あらよっと」
チヅル:「キャァッ!!」
ザミエルの回し蹴りが綺麗にチヅルちゃんに決まります。
あちゃぁー、チヅルちゃん、蹴り飛ばされてうずくまっちゃった。痛そう・・・
かなり強烈な蹴りでしたからね。
チヅル:「うぅーー・・・」
クジャク:「チヅルゥーー!!」
チヅルちゃんに駆け寄ろうとするクジャク。しかし・・・
レリエル:「行かせないないよ。君の相手は僕なんだからさ」
まさにこの瞬間を狙っていたレリエルが立ち塞がります。
そして次の瞬間、ザミエルが放つ攻撃魔法がチヅルちゃんを貫きます。
チヅル:「うっぎゃぁッ!!」
余りもの激痛にのたうち回るチヅルちゃん。
泣きながら回復魔法を唱え、傷口を塞ぎますが、相当な深手を負ってしまったようです。
それにしても、とても痛そうです。かわいそうに・・・
どうして?
どうしてなの!?
チヅルちゃんだって一生懸命戦っているのに、なんでこんな目に合わなくちゃならないの?
戦争だから?
はい、そうです。
強者は弱者を打ちのめすものだから?
はい、そうです。
いつの時代でも強い者は、その力を悪用し、弱き者を苦しめてきました。
その最たるものが悪魔(堕天使)です。
ただ歴史が繰り返されてるにすぎません。
チヅルちゃんにゆっくりと近づくザミエル。満足そうにチヅルちゃんを見てから横を向きます。憎たらしい程、余裕シャキシャキです。
でも、その視線の先には・・・そうです、待ちに待った援軍の到着ですよう!!
マサムネ:「若ぁーー!! ご無事ですかぁーー!!」
【猫の国】にこの人有り。【猫の国】が誇る侍大将マサムネ見参!!
200名は下らない猫武者を率いて参戦だぁーー!!
※注記:覚えておられますか? クジャクの武術の師範をしたマサムネですよ。
ザミエル:「おいおい、それ以上近づくんじゃねー! こいつの命が無いぞ! どうすんだよ! えぇー!
おいおまえら、こいつにライフルの照準を合わせろ」
兵士に指示を出すザミエル。いまだ傷の痛みの苦しんでいるチヅルちゃんになんて卑劣な。
マサムネ:「この卑怯者!! 姫様を離せ!!」
『そうだ・そうだ姫様を離せ!!』、一斉に猫武者の一群からブーイングの嵐が巻き起こります。
大切な大切な姫君であるチヅルちゃんが、こうも無残に扱われているのです。もう居ても立っても居られません。
レリエル:「うわぁ~ 怒ってる・怒ってる」
クジャク:「無駄なあがきはよしなさい。見ればわかるでしょう? この戦力差ですよ。投降しなさい」
自分でも驚くほどに冷静沈着に対処するクジャク。天使の加護の力・・・半端じゃありません。いやほんと凄すぎ。
そして、一方の堕天使達はというと?
まったく動じる素振りを見せません。
だって彼ら霊者だから、死なないし、逃げるだけならどうにでも逃走できるし、ぜんぜん余裕シャキシャキといった感じです。
あっ、でも、ザミエルの様子が少し変かも・・・?
ザミエル:「なにぃッ!! 姫だとッ!? おいおまえ女なのか!? 兜をとってみろ!」
チヅルちゃんをまともに睨み付けるザミエル。ほんと大人げないですね。
チヅル:(め・め・目が真赤か・・・!? あ・悪魔だぁ・・・この人、悪魔だぁー!!
兄上ぇー 怖いよぉー・・・)
尋常ではない膨大な魔力と、精神力を持つ堕天使の殺気です。それはもうちょうおっかないです。
チヅルちゃんは恐怖のあまりガクガクと震え出します。
ザミエル:「さぁ!早くとれ!」
チヅル:「ごわいよー!! 兄上ー!! ごわいよー!! ごわいよー!!」
フラッシュバック!!
皆巫女であるチヅルちゃんは悪魔の恐ろしさをよく知っています。
それが原因で幼少期、悪魔に対して病的なまでの恐怖心をいだいていました。
そして今、その感情がフラッシュバックし爆発します。
※注記:詳細は『第33話 悪魔の伝承②、第34話 悪魔の伝承③』を参照ください。
ザミエル:「あーもぉー うるせぇなぁー!!」
ザミエルは、そう言うと、泣き叫ぶチヅルちゃんの兜の顎ひもを強引に解き、兜をはぎ取った。
すると、チヅルちゃんの白くて長い髪と、可愛いらしいお耳、そして端正で美しい顔が露わにされます。
その様子を固唾を飲んで注視する猫武者達のはらわたは煮えくり返ります。
『うっうぉー この野郎ぉー!! 姫様になんてことしやがる!!』です、です。
チヅル:「いやぁーー!!」
ザミエル:(なんてこったぁー!! 超上玉じゃねえかよぉー!! しかも白猫だぞおい!! どうすんだよう!!??)
念話でレリエルに嘆き掛けるザミエル。そんな逆上したザミエルをなだめるようにレリエルは話し出します。
レリエル:(いやぁ気持ちはわからないでもないよ?
ここって戦場だもんね?
まさか白猫の姫君が居るなんて驚いちゃったね。
でもさぁ、これってチャンスかもよ。
その子、相当な要人みたいだし、人質としては最高じゃない。
ここは人質交換を提案してさ、どうにか隙を作って、あの勇者をやっつけちゃおよ)
ザミエル:(俺様はよう、この上玉を連れてもう帰りてえな。なあもう面倒だし引き上げちまおうぜ?)
レリエル:(いやいや、天界に戻ったミシャエルの事もあるしさ、今は勇者殲滅を最優先にしようよ。その子はまた今度でいいじゃない、ね?)
ザミエル:(そうなんだけどよぉ、こんな上玉そうそう居るもんじゃないんだぜ。しかも白猫だぞおい!超ちょ~レアキャラなんだぞ!)
レリエル:(まあ・まあ・まあ・まあ、ここは僕に任せてよ。もうこんなビック・チャンスそうそう無いと思うからさ)
ザミエル:(チェッ! わかったよ。任せる)
ザミエルてばレリエルに言い包められちゃいましたね。
それにしても、これだけの通話をですね堕天使達は、念話を用いて時間の経過をまったく気にせずおこなえるなんて、まさに反則的なまでの能力ですね。
ここまでの通話時間、物質宇宙では0秒ですよ・・・0秒!!
この調子だといくらでも作戦を練られちゃいますね。トホホォ~イ♪
というわけで、クジャクの降伏勧告に答え応じる素振りを見せるレリエル。
レリエル:「そうだね君が言うように僕達の負けのようだね」
なんともフレンドリーにクジャクに話し掛けてきましたよ。
もう態度マンモスL!!
ほんと態度デカいですよね、堕天使て?
だって堕天使だもん。
そんな態度がマンモスL!! の堕天使達のすぐ横では、チヅルちゃんがうずくまり、ガタガタと震えています。
クジャク:「投降するんですね!? いい判断です。
(あぁー チヅルが・・・チヅルが泣いている・・・!!
なんて・・・なんて大きな悲しみなんだ。
あぁーー チヅルゥーー!!)」
ここ数日の間で、二人のシンクロの深度は、そうとう深くなっています。
ですから今、クジャクには、チヅルちゃんから感情の波が、津波の如く押し寄せて来ています。
天使の加護がなければ、もうとっくのとうに卒倒していることでしょう。
レリエル:「うぅーん、残念ながら投降はしないよ。
その変わりに人質を解放してあげる。
だから君は武装を解除して、僕達が逃げるまで動かないで欲しいんだ」
わざとおどけて見せるレリエル。
200名は下らない猫武者を前に笑顔でぬけぬけと言ってのけます。
さすがわ堕天使、悪役の王様ですね。
クジャク:「人質を解放するんですね!?」
レリエル:「うん、そうだよ。
それじゃ、君には刀を地面に投げてもらおうかな。そしたら僕達は逃げさせてもらうからさ」
この場にいるほとんどの者達が、事態が終息し始めたことに安堵し始めたのですが・・・
チヅル:「兄上!! 刀を手放してはなりません!!
(悪魔は狡猾で噓つき。きっと兄上のお命を狙ってくるわ。このままでは兄上が殺されてしまう)」
チヅルちゃんにとって何よりも大切なクジャクの命が掛かっています。
※注記:『第80話 「ねえねえ兄上、チヅルのお願いを聞いてください」』をご参照ください。
チヅルちゃんは勇気を振り絞って訴えます。悪魔に唆されてはダメだと。
ザミエル:「おいおい、黙ってろ!! 話がまとまらないぜ!! まったくよ!!
(こいつ感づいてるんだな。俺様が堕天使だってことによ。ちょっと面倒な事になちまったな)
ザミエルは、チヅルちゃんののどに剣を当て、もうこれ以上話せないようにしてしまいます。
レリエル:「あぁ~ ごめん・ごめん。彼は少し短気なところがあるんだ。だからさ、もう終わりにしよよ。
さぁ~さぁ~ 武器を地面に投げてくれないかな。そうすれば、この子も解放されるんだからさ・・・ね」
まったくもって嘘八百である。クジャクに斬りかかる気満々ですよ。騙されるな!!
では、ここで少し状況を整理しておきましょうか。
堕天使の不意打ちを受け、山火事となった森から脱出したクジャクは堕天使と戦闘になります。
戦闘中にチヅルちゃんは人質となりますが、マサムネ率いる猫武者の援軍が到着し、戦局はクジャク側に一気に傾きます。
でも、そうでもです。一見有利に見えるクジャクなのですが・・・が、その居る場所が問題なんですよね。
そう言うのも、背後は山火事、援軍の猫武者達とは少し離れています。どちらかと言えばザミエル達の方がマサムネ達と近い位置に居ます。
そしてクジャクと対峙しているのがレリエルです。クジャクが武器を手放したら直ちに斬りかかる魂胆です。
クジャクも敵の策略に薄々感づいてはいます。
でも、愛するチヅルちゃんの痛々しい姿に心は張り裂けんばかりです。冷静な判断がドンドン鈍らされていきます。
クジャク:「チヅル大丈夫だからね。必ず助けてあげるからね。
(さっきから刀を投げようとしても、腕が動かない!? なぜだ!!??)」
クジャクの内なる処では激しい葛藤が繰り広げられていたぁーー!!
何ぃーーッ!!??
そうなんです。クジャクの中に存在する人格を持たないクジャク達が必死にクジャクを止めているのです。当のクジャクとしてはちょしたパニック状態だぁーー!!
まあ、体の自由が利かないのですから、当然と言えば当然ですよね?ねぇ?ねぇ~!?
レリエル:「うぅ~ん、困ったなぁ~ あの子にこれ以上あまり痛い思いはさせたくなかったんだけどなぁ~ でも~ このままだと・・・しょうがないよねぇ~?」
意味ありげに微笑むレリエル。この状況を楽しんでいるかのようです。なんて質が悪い。
チヅル:「兄上・・・ごめんなさい・・・」
聞き取るには余りにも微かな悲哀の言の葉を口にするチヅルちゃん。その大きな大きなお目目からは大粒の涙がとめどなく流れ落ち、お顔はもうグチョグチョです。
クジャク:「うっ!!
(チヅルがぁーー!! チヅルが泣いている・・・!!
チヅルの深い悲しみが僕の心を洪水のように飲み込んで行く・・・)
あぁー チヅルゥー・・・!!」
深くため息をつくクジャク。
今、クジャクとチヅルちゃんとの距離はというと・・・うぅ~ん、20m程でしょうか。
ほんの少しだけ離れた距離です。
でも、堕天使達によって阻まれ近づけません。
だから二人の感情は高ぶり、共鳴によるシンクロ率は上がる一方です。
【天使の加護】を持つ者通し特別な絆で結ばれた二人。きっと二人にしかわからない葛藤があるのでしょう。
ほんの数秒しか過ぎていませんが、猫ちゃん達にとっては永遠とも思える時が、ゆっくりと流れて行きます。
その時です。意外にもはじめに動いたのはチヅルちゃんでした。
ザミエル:「舐めるなよ! 小娘! そんな短刀で何ができる! 死にたくなければおとなしくしていろ!」
チヅル:(天使様、どうか・どうか兄上をお守りください・・・あー あにうえ・・・)
腰差しを抜き短刀を手にするチヅルちゃん。次の瞬間・・・血しぶきが吹き上がた。
皆!! ごめんね。気合を入れた早々、もう失速だぁー!!
日々のストレスにもうダウンです。うぅー 情けない・・・です・です。
常々お伝えしているように下書きは、もうできています。
でも・・・でも、ダメなんです。世の中の事で、もうストレスが・・・
とにかくあと数話で2章完結です。
書きあがりしだいアップします。
応援よろしくお願いします。