第76話 フジ川の合戦⑦
来てくれてありがとぉ~♪
ゆっくりしていってね♪
時はアドリエルが召喚される7日前の夏。場所は猫の国。クジャク16歳の物語。
あわ・あわ・あわ、戦争が始まちゃったよぉークジャク達大丈夫かなぁ~?
うぅ~ん、心配ですよねぇ~?
でもぉ~とりあえず状況の整理だけでもておきましょうよ?
だって今後の戦況を理解する上できっと助けにもなりますよね?
ねぇ!?
ではでは・・・。
現時点から二日前、堕天使率いる【人の国】の軍隊が【猫の国】へと進軍してきました。
そして【ミシマ村】を占領します。
それから【人の国】の軍隊は【猫の国】東の防衛拠点である【オダの都】を壊滅させます。
この戦いで【猫の国】の英雄の一人であるムサシが討死してしまいます。
これらの報告を受け【猫の国】の君主であるケンビシは、侵略戦争を仕掛けて来た【人の国】を打つべく戦いの準備をするよう指示します。
その呼び掛けにより総勢2万もの猫武者が馳せ参じます。
実に【猫の国】にいる猫武者の半数強です。
この数字は相当多いのではと推察します。
なぜならば【猫の国】の北側に位置する【狐の国】との小競り合いの事があるからです。
このことから、今回の事変、猫ちゃん達の本気度が分かりますよね。
また猫ちゃん達は戦略も確りと練りました。
【人の国】の軍隊を【猫の国】を東西に分断させている大河フジ川で迎え撃つ作戦です。
東から攻め上って来る人間達は大河であるフジ川を渡らなくてはなりません。
よって長距離攻撃を仕掛けて来る【人の国】の軍隊を足止めさせる戦法です。
でも本作戦の趣旨は囮による陽動です。
2万の猫武者の内、1万5千を陽動の為に、5千を奇襲の為に取り分けた大規模な陽動作戦です。
実は、もう既に奇襲を行う機動部隊は、大きく北回りのルートを取り森林地帯を進軍中です。
そろそろフジ川を横断する頃でしょうか?
その後、再び森林地帯を進軍し、真夜間に奇襲を仕掛ける作戦です。
この様に大事に大事を取ったとても慎重な事の運びとなっています。
【人の国】の軍隊の規模は猫ちゃん達にとっては未知数ですからね。
それにケンビシはザミエルの存在をとても警戒しています。
でも実際のところは輸送車4台に分乗した百数十人にほどの兵しかいません。
【猫の国】の機動部隊5千に対して【人間の国】の兵は百数十人です。
【猫の国】が約40倍の戦力になりす。
圧倒的に有利ですよね。
しかも全体では、【猫の国】2万に対して、上陸した【人間の国】の兵の合計は数百人ですから、やはり100倍近くと大差になります。
以上が現在の状況です。
で!今後なのですが、ケンビシとしては初戦を手堅く勝ち取り、焼け落ちた【オダの都】の調査、【ミシマ村】の奪還、そして【猫の国】の最東端に位置する【ミシマ村】に前線基地を設営し、東北の地にある【人の国】へと上る所存です。
長い戦いが予想されます。猫種が得意とする夜戦と、潜伏能力を駆使したゲリラ戦で勝利をものにしていきたいとケンビシは考えています。
ケンビシ、健闘を祈る!!
※※※
クジャク達はというと・・・丸々一日以上行進しちゃった♪
その甲斐あって駐屯地に無事到着ですよぉ~♪
皆さんほんとうにお疲れ様でした。
というわけで、今、クジャク達がいるのはとても広い草原です。
それもそのはず、【猫の国】一番の大河フジ川の下流に広がる平地なんでから、見渡す限りの草原です。
遥か彼方に田畑が見える程度で他には何もありません。
おやおやぁ~あそこに居るのはチヅルちゃんかなぁ~?
はい♪白い甲冑に身を包み、実に勇ましい姿がたをしたその人は?
チヅルちゃんでぇ~す♪
それにしてもこのお姫様、本当に甲冑を装着してますよ。
ねねねぇ~?
重たくない?
暑くない?
くたびれない?
えっ大丈夫・・・?
ふぅ~ん♪そうなんだ・・・!
いやはや驚きました。
凄い根性ですねぇ~チヅルちゃん・・・!
あっぱれぱれぱれぇ~♪
チヅル:「敵影が全く見えませんわね」
チヅルちゃんは地平線や水平線をキョロキョロと見渡しますが、これといった不信なものは見当たりません。
クジャク:「そうだね。
今敵が居るはフジ川の向こう岸の更に先だからね。
まぁ~見えないかな」
はい♪そうなんです。【人の国】の陣営は【猫の国】の陣営とフジ川を挟んで約10kmは離れています。
ですから肉眼では視認できません。
でもお互いが砂浜に立っていたら見えたかもしれませんね。チヅルちゃん残念でした。
チヅル:「兄上、敵に動きは無いのですか?」
クジャク:「今はまだ無いみたいだね。
斥候や近隣の猟師さん達による偵察でも、これといった動きは確認されていないよ」
チヅル:「海から来るて話しも有りましたわよね?」
クジャク:「うん、【ミシマ村】からの避難民の証言だね。
人間達が突然上陸して来たんだってね」
チヅルちゃんは今一度水平線をキョロキョロと見渡します。
チヅル:「うぅ~ん、船影もまったく無し・・・と・・・ほんとどうなっているのかしら」
クジャク:「地の利はこちらにあるし、人間達が森に入った形跡はないし、海上に船影もなしか。
うぅーん、確かに動きが全く見えないね」
チヅル:「何か策略でもあるのかしら?」
クジャク:「そう考えるのが妥当だね。
僕達としてはどう夜戦に持ち込めるかがカギになってくると思うよ」
はい♪クジャクが言う通りであります!
別起動部隊の奇襲作戦の成功をお祈りしましょう!
※※※
同時刻。
【人の国】のレキシントン級航空母艦1番艦レキシントンがフジ川の沖合20kmの海上を航行していた。
フジ川の西に広がる草原に陣を張る【猫の国】本陣に奇襲攻撃を仕掛けるためである。
そうなんです。今、奇襲作戦の準備の為、航空母艦の飛行甲板や格納庫では作業員達が慌ただしく駆けずり回っています。
もう戦闘機の発艦準備が整いつつあるのです。
レリエル:「猫達の対応、思いのほか早かったね」
艦橋にある指令所で進捗を見守るレリエルがザミエルに話しかけます。
ザミエル:「あぁー獣人の危機管理能力は人間のそれよりも遥かに高い。
それに戦闘能力もな。まともに戦ったら人間では歯が立たない。
猫武者侮れないぜ!」
レリエル:「そこで僕達が開発したファイター05マスタングというわけだね」
ザミエル:「まあな!同じ土俵で戦うかつうの!」
では説明しよう!
ファイター05マスタングとは?
推進プロペラを後方に配置し、重火力を機体前部に集中させた。後進翼型の戦闘機のことだ。
アニメによく出てくる感じのやつと考えて欲しい。
一様カッコいいし高性能ですよ。
スペック的にはこうです。
20mm機関砲2門。
最高時速740km/h。
航続距離2000km。
爆弾やミサイルの搭載もできるハイスペック機であります。
以上。説明終わり!
レリエル:「さすがの猫武者達も、空からの攻撃とあってはひとたまりもないよね」
ザミエル:「あぁー、ファイター05マスタングなら、数万の猫武者であろうと数分だろうな」
レリエル:「爆弾でドカーンだね。
でも~惑星メルクリウスでの爆弾の使用って初めてでしょう。
やっぱりさぁ~大丈夫かなぁ~?」
ザミエル:「天使達がなぁ~チクるわな多分・・・?」
レリエル:「神様怒るよね?」
ザミエル:「どうだかなぁ~?
地球での事もあるしな。
でもよう猫達も戦う気満々だし、これってさ後々怒られたとしても喧嘩両成敗て感じじゃねぇー?」
レリエル:「そうだよね?
うんうん、そうだそうだ♪
猫武者やちゃお~♪」
ザミエル:「じゃそうしますか」
はぁ~何言ちゃってるの!?
侵略戦争を仕掛けておいて喧嘩両成敗て・・・頭腐ってるんですか!!
皆さんいいですか?
いじめっ子のねじ曲がった言い分なんて真に受けないで下さいね。
こんなの無視です無視無視むしぃーーッです!!
あっ!?
でも~堕天使達って殴り掛かってくるんですよね・・・?
あぁーー逃げてぇーー!!
※※※
現在、フジ川の沖合20kmの海上を航行中の【人の国】が誇るレキシントン級航空母艦1番艦レキシントンの艦長に、遂に堕天使達から攻撃開始命令が下された。
『艦首、風上!機関全速!』
『機関全速!』
『ファイターの発艦急げぇー!』
『レッドチーム。発艦準備完了。発進できます』
『レットリーダーに発艦の合図を出せ!』
『ファイター05マスタング1号機発艦します』
『2番滑走路。ファイター05マスタング2号機発艦します』
『ブルーリーダーから発艦の確認が来ています!』
『イエローチームの機体、速くエレベーターに乗せろ!』
『グリンチームのパイロットはまだ機上していないのか!急がせろぉー!』
『ブラックリーダーから爆弾について確認が来ています』
『はぁー何言ってんの今頃!』
続々と発艦し編隊を組むファイター05マスタング。目指すは約20km離れた【猫の国】の本陣です。
ファイター05マスタングは海上を毎時700km以上の猛スピードで飛行。
ものの2分と掛からず作戦ポイントへ到達できます。
まさに・・・不意打ちだぁーー!!
猫武者絶対絶命の大ピンチ!!
読んでくれてありがとぉ~♪
また来てね♪