第68話 やつらが来た!②
来てくれてありがとぉ~♪
ゆっくりしていってね♪
時はアドリエルが召喚される10日前の夏。場所は猫の国。クジャク16歳の物語。
何が起きるかはほんと分からないものです。
上陸までは順調だった【人の国】の海兵隊は思わぬ抵抗に苦しめられています。
そう猫ちゃん達の予想以上の抵抗にあっているのです。
獣人達が元来持つ事故防衛本能は人間のそれを大きく凌駕します。
いち早く異変に気付いた猫ちゃん達は、武器を手に取り戦う者、愛する人を連れて逃げる者、と作戦の遂行を阻んだのです。
そこへもってきて、人間は夜間視界が制限されますが、猫種は夜目がきくとなると戦局は揺らぐのでした
よって占領作戦は当初の計画から徐々に逸れていき、殺戮へと変わっていくのでした。
アサルトライフルの銃声が村の至る所で鳴り響きます。
こうなるともう猫ちゃん達には打つ手はありません。
もうどうすることもできないのでしょうか?
とりあえずあそこにいる二人の海兵隊員の様子を追ってみましょう。
もしかしたら【人間の国】の事が少し分かるかもしれません?
アイザック:「これって命令違反じゃないかな?」
イアン:「またかよぉー!まったくアイザックは相変わらずのお人好しだな。
手柄立てたいでしょう?
シャキ・シャキ働こうぜ!」
アイザック:「でもぉ~二人だけで行動するなんて危険だよ。分隊長の処に戻ろうよ」
海兵隊員A:「それだといいようにこき使われちゃうでしょ!?
いつだってネフィリムのやつらときたら、いいところ全部持っていっちゃってさ、しゃくじゃないの?」
アイザック:「それはぁ~そうだけどぉ~・・・」
イアン:「そんなことだからエミリーを取られちゃうんだよ・・・!賢く生きようぜ!」
アイザック:「あはははは~ふぅー、イアンは容赦ないなぁ~。
そりゃぁ~僕だってさぁ~・・・はぁ~分かってわいるよ・・・分かってわ・・・」
イアン:「シッ!まずった。囲まれそうだ?」
実は、この海兵隊員なかなか優秀なんですよ。
人間の中では魔法に明るい方で支援魔法の使い手です。
どうやら索敵魔法に反応があったようですね。
村の中での混戦でこの感度ですからね、なかなかの使い手ですよ。はい♪
アイザック:「えっ!どこどこ!?」
イアン:「もうあちらさんはことらに気付いてる。
アイザック。俺が威嚇射撃したら海岸の作戦本部目指して走れ」
アイザック:「でもそれではイアンが・・・??」
イアン:「急げ数が多そうだ??
とにかくもたもたするな。走れ走れ走れ。振り向くな。
じゃ行くぞ」
イアンは索敵魔法で相手の位置を確認するとアサルトライフルの銃口を向けた。
次の瞬間、『バババババババババァン!!』アサルトライフルが火を噴く。
それと同時にアイザックは走りだした。
イアンも射撃後、身を翻し全力で走り出す。
この隙に逃げなければならない。
長閑だった海辺の村も今となっては戦場だ。
そう今まさに命の取り合いが繰り広げられている。
やるかやられるか。
だって戦争だもん・・・。
イアン:「命あっての物種てね。逃げるが勝ち・・・と♪」
海岸に設営されている作戦本部を目指しひた走るイアン。
角を曲がり海岸へと続く通りに出ると・・・??
イアン:「ア・アイザック・・・??
アイザックゥーーッ!!??」
えっ!!??
あっ、アイザックが倒れている!!
うっわぁ~・・・これはひどい。
怒り狂った猫種の若者達が、アイザックのことをめった刺しにしているよ。
イアン:「止めろぉーーッ!!」
『バババババババババァン!!』
アサルトライフルを構え威嚇射撃するイアン。
何故殺傷しないのでしょうか?
しょうがないんです。
アイザックを避けて射撃できないんですから。
至近距離であっても相当危険な射撃になります。
暗闇だし、そもそも標的となる相手が小さいのです。
猫種の成人男性の平均身長は130cm程しかありまん。
しかも彼らはアイザックに覆いかぶさっています。
この状況で正確に射撃できる技能など彼にはありません。
よって睨み合いとなりました。
イアン:「・・・ちくしょう・・・!
どうすればいいんだ・・・??
どうすれば??」
先に動いたのは、怒り狂った猫種の若者達の方でした。
周囲の喧騒から、ここいらが引き際だと思ったのか、闇の中へと消えて行くのでした。
猫種の身体能力は人間のそれを大きく上回ります。
ましてや夜の暗闇の中ですから、当然のことながら逃げおおせました。
『ふぅー』と息を漏らすイアン。
周囲を確認をしてから、負傷したアイザックのもとへと駆け寄ります。
イアン:「・・・アイザック・・・??」
友のもとへと駆け寄るイアン。
だが暗闇の中でも分かる程の血だまりができています。
もうアイザックは虫の息です。
アイザック:「イ・・・イアン・・・なのか・・・目が見えないんだ・・・」
大量出血による視力の低下である。
また心臓の鼓動も大分低下しています。
イアン:「今、治療してやるからな・・・な・な・・・・・・」
あまりにもの出血の量に動揺を隠せません。
もう応急処置とか治療行為の範囲をとうに超えた状況です。
アイザック:「・・・・・・うっうぅーー・・・・・・」
もうどうすることもできないイアンは、血だまりの中に倒れている友に語り掛けます。
イアン:「おい・・・アイザック・・・しっかりしろよ・・・!
こんなところで死ぬなよ・・・!
俺達一旗揚げるんだろう?
あんな惨めな暮らしからおさらばするんだろう?
なあアイザック?
俺達これからなんだぜ?
【クールに行こうぜて】約束したじゃないか。
なぁ~アイザック・・・アイザック?
嘘だろ・・・返事をしてくれよ!!
アイザックゥッ!!
アイザックゥッ!!
アイザックゥーーッ!!
うぉーーーーッ!!」
もう返事は帰って来ませんでした。
深い悲しみをおびた雄叫びが月夜に鳴り響きます。
きっと大切な友達だったのでしょう。
いつだって別れは辛いものです。
ましてや戦地であればなおさらです。
この夜、多くの者の血が流されました。
あの海兵隊員の友達もその一人となりました。
でも戦争はまだ始まったばかりです・・・。
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