第47話 チヅルちゃんのとある一日③
来てくれてありがとぉ~♪
ゆっくりしていってね♪
時はアドリエルが召喚される1年前の冬。場所は猫の国。クジャク14歳の物語。
--- イズの都のチヅル 視点 ---
【甘味処キヤさん】の看板娘であるムツキちゃんはとても可愛らしい14歳の女の子よ。
真ん丸丸顔に、大きな大きなくるくるのお目目は【絵に描いて、額縁にはめて、展覧会に展示して、大賞を取るような】それはそれは可愛らしい和猫そのもの。
性格も明るいし、人懐っこいし、結構ぶりっ子だし、したたかだし、そりゃあ男の子達にモテわ!
その証拠にここ最近、【甘味処キヤさん】には男性客が急増中なのよね。
それでムツキちゃん、幾人かの男性客からアプローチを受けているんだって。モテモテよね。
そんなムツキちゃんが誰とお付き合いしようが、それはムツキちゃんの自由よ。お好きにどうぞ。
でも・・・でもね?
兄上以外の男になびいたムツキちゃんが、再び兄上に色目を使って、擦り寄ってくるなんて絶対に許さないんだから!!
チヅル知ってるのよ。
ムツキちゃんが複数の男性とお付き合いしていること。
ほんとおませさんなんだから。
よくそんな器用な所業ができるわね?
バカなのかしら。
ムツキちゃんてさ昔から異様にコミュニケーション能力高いから調子に乗っちゃたのかな?
でもね・・・チヅル・・・裏切り者は大嫌いなの!!
ムツキちゃんにはもう兄上の御側に置いてもらえる資格なんてないのよ。
兄上の前から消えてちょうだい!!
皆様、お分かり頂けたかしら?
もうムツキちゃんは兄上以外の男の子達と仲良しなの。
そうであればチヅルのするべきことなんて、もう決まってるでしょ。うふふふ♪
※※※
わざわざチヅルのもとまでやってきて、何か言いたげそうなムツキちゃんを真っ直ぐに見据えて言ってやったわ。
チヅル:「兄上は、お国の為、跡取り故の責務を果たす為、日々励んでおられます。
ムツキちゃん、これが大人になっていくということなのでしょうね?
兄上に会う機会は今後ますます減っていくと思いますよ・・・!!
寂しいでしょうが、兄上は跡取りでいらしゃるのですから、我慢してくださいね・・・!!」
ちょっと下手に出過ぎたかしら?
ムツキ:「と・と・とんでもございません!!
私、何も知らなくって・・・そうのう・・・申し訳ございませんでした」
うわぁ~必死に頭下げてきたわよこの子。多少は分をわきまえている様ね。
罪悪感も有るのかな?
それとも未練の方かしら?
なんてったて兄上のヨシヨシは格別ですものね。
まあ世間一般ではまず体験できないわね。あのお手てさばきは。
うふふふ♪ムツキちゃんも兄上の【ヨシヨシ三段変形】のとりこだもんね。クスクス♪
※注記:詳細は『第30話 チヅルちゃんの公園デビュー③』をご参照ください。
チヅル:「あらあらいいのよ。そんなにかしこまらないで。
ただチヅルはね、ムツキちゃんにはムツキちゃんの幸せを見付けて欲しいの。
きっと兄上もそう望まれていると思うわ・・・!!」
ムツキ:「あのう・・・チヅル様、ほんの少しの時間でいいんです。クジャク様にお会いできないでしょうか?
そのう・・・キサラギちゃんとは今でもお会いになっているんですよね・・・?」
キサラギちゃんと浮気者のムツキちゃんを一緒にしないで欲しいわね。なんて厚かましい子なのかしら。
もう面倒だし、はっきりと言ってやるか?
うぅ~ん、それもいいけど、ここは幼馴染のよしみで情けを掛けてあげましょう。
なんてたってチヅルは優しい国母目指してますから。
兄上のため頑張ちゃうわよぉぉぉ!
キャハァ~♪チヅルてば健気♪
チヅル:「ムツキちゃん・・・!!
兄上は婚約者がおられる御身分です。
故に、女性との交友関係にはとても気を遣っておられます。
それでも将来、側室や妾を取ることもあるかもしれません。
キサラギちゃんとの交際については詳しくは存じませんが、そうゆう事を踏まえてのお付き合いです。
誰とでも、と・・・!!いう訳ではありませんよ・・・!!」
ムツキ:「・・・・・・はい・・・・・・。
実は、もうマイヅル様からは・・・そのう・・・拒まれてしまっていて。
もうチヅル様しか頼れる方がいないんです。
どうかお助けくださ!!お願い致します!!」
おいおいチヅルは伝説の青猫の【ドラちゃん】じゃないのよ。
もう兄上のことは諦めなさいよ。
未練がましい女てほんと達悪いわぁー、ウザッ!!
チヅル:「ムツキちゃんてさぁーもう交際している男の子いるじゃない・・・!?」
ムツキ:「えっ!!」
おぉ~いいリアクションね。クスクス♪
動揺してる動揺してる。
ほんと笑わせてくれるわね。ム・ツ・キ・ちゃ・ん♪
チヅル:「ムツキちゃん、可愛いからモテルでしょ・・・!?」
ムツキ:「私、そんな・・・・・・モジモジ」
おいおい、いるでしょう?
お付き合いしている男性がさ?
モジモジして誤魔化す気?
このぶりっ子が!
調べはついているのよ。
チヅル:「でっ・・・!!いるのいないの・・・!?」
ムツキ:「・・・・・・お友達なら数人いますがぁー・・・」
チヅル:「世間一般ならいざ知らず。武家では男がいる女はアウトよ・・・!!」
ムツキ:「私・・・交際なんて・・・」
チヅル:「まっ、そうゆうことだから、兄上のことは諦めなさい」
ムツキ:「そんなぁー『うんたらかんたら』
違うんです『うんたらかんたら』
聞いてください『うんたらかんたら』
ですから『うんたらかんたら』
あの『うんたらかんたら』
・・・・・・なんです」
それにしてもよくもまぁ~ここまで言い訳が出てくるわね。
あきれたわ。
バカな子。
兄上の御側に他の男になびいた女なんて・・・絶対に!!
近づけさせないんだから。
チヅル:「そろそろ昼食も取りたいし。お引き取りくださる?」
ムツキ:「チヅル様ぁー!!」
チヅル:「ムツキちゃんなら選びたい放題でしょ?
幸せにしてくれる人見付けなさい。
では、さ・よ・う・な・ら・・・!!」
追い返してやったわ。
そしたらトボトボと帰って行ったわね。
後ろ姿が少し可哀想だったけど。身から出た錆だし、しょうがないわね。
さようならムツキちゃん。
さあてと、お昼にしよぉ~と♪
この三段重ねの重箱がチヅルのかな?
『かぱ』うっわぁ~美味しそう♪
では、頂きます♪『ぱく』
美味しぃ~い♪『ぱくぱく』
※※※
ここまでが『チヅルのとある一日』の午前中だったんだけど。チヅル、なかなか頑張ってたでしょ?
だから『将来、兄上を支えるパートナーはやっぱりチヅルだよねて、分かってもらえたかな?』
そうだとしたら嬉しいんだけどな。
ではここからはチヅルがいかに兄上にとって、かけがえのない女の子であるかをお伝えするわね。
※※※
舞台は再び病院の診察室よ。
今から午後の診察を始めるんだけど、通常通りなら、通院患者と急患のみだから午前中とは打って変わって真っ当な仕事ができるわ。
まぁー午前中が異常過ぎるだけなんだけどね。
そして、淡々と仕事をこなし三時のお茶を頂いた後は、簡単なカルテの整理ぐらいで早々に帰宅させてもらっているわ。
後は、相棒の看護婦が明日の段取りや後片付けをしてくれるから問題無しよね。
だってチヅルまだ12歳なのよ。これでも仕事量多いいくらいだと思わない?そうでしょ!?
チヅル:「これで上がるわね。今日も助かったわ。ありがとう」
看護婦A:「お疲れ様でした。これで大好きなお兄様のもとへと帰れますね?姫様?」
何よ?そのニヤついた目つきは?
チヅル:「ええ、そうよ、その通りよ。もういちいちからかわないで欲しいわね」
看護婦A:「うふふふ♪そうお思いでしたかぁ~?♪
別にからかってなどいませんよ。うふふふ♪
(私は断然チヅル様派ですよ!ツバキ様なんかに負けないでくださいね!)」
チヅル:「はいはい♪もういいでしょ?チヅル帰るからね?バイバイ♪」
看護婦A:「はい♪お疲れ様でした。姫様。
(ほんと可愛いんだからチヅル様は。クジャク様に一杯甘えてくださいね)」
さぁ~帰ろぉ~と♪
あぁ~早く兄上に会いたいな。
自然と早歩きになっちゃうのはご愛嬌ということで許してちょうだい♪
そうそう実は、病院てお城の直ぐ北側にあるのよ。だから城門はもう目の前なの。
いつものように城門を駆け抜け玄関を駆け上がるの。
そしてお城の長い廊下を疾走すれば女中達がクスクスと笑ってる。
いいのいいのいつものことだから。それよりも兄上・兄上♪
きっとこの時間は海を見ておられるはず。
だっていつもあの見晴らしの良いお部屋で水平線を眺めておられるから。
だから今日も夕日が沈んでいく水平線を眺めているはず?
階段を駆け上がり。この角を曲がればそこには?
あっぁーー兄上だぁーー!!
『Angel SOS』をお読み頂きありがとうございました。
お話しの内容はいかがでしたか?
楽しんで頂けたのなら幸いです。
実はぁ~現在、評価ポイントが思うように貯まらず困っております。
正直、風前の灯火です。
このままでは自然消滅してしまいます。
できましたら応援して頂けないでしょうか。
どうぞよろしくお願い致します。