第45話 チヅルちゃんのとある一日①
『Angel SOS』をお手に取って頂きありがとうございます。どうぞごゆりとお楽しみください。
時はアドリエルが召喚される1年前の冬。場所は猫の国。クジャク14歳の物語。
--- イズの都のチヅル 視点 ---
皆様、御機嫌麗しゅうございます。
【イズの都】のチヅルでございます。
ほんと月日が経つのは早いものでございます。
チヅルも12になりました。
命短し恋せよ乙女。
夏に儚くも咲き乱れる野薔薇の様に、幾久しく、末永く、兄上の御側に居させて下さいませ。
この命有る限り。
チヅルの心からの願いですわ。
こう見えても色々と有りますのよ?チヅル?
そうそう、きっと皆様は、あのお見合い騒動の後日談を気にされているかと存じ上げます。
もうあれから4年もの歳月が過ぎたのですね・・・。
ご心配をおかけしたこと心よりお詫び申し上げます。
チヅルは大丈夫です。
兄上との関係も・・・その、ラブラブて言うですか?そちらでは?
とても愛されておりますのよチヅル。
兄上とチヅルは強い【絆】で結ばれていますから。心配御無用です。
※注記:詳細は『第42話 白い許嫁⑥』をご参照ください。
まあ心配事が全く無いわけではあいませんが。
はぁー、ツバキがねぇ~・・・。
ねぇーねぇー聞いてくださる?
あの後、本当に大変でしたのよ。
信じられます?
牢屋に2日間も拘禁されましたの!
2日よ2日!
母上からは大目玉は食らうし。
もう踏んだり蹴ったりでしたわ。
あぁー思い出して来たら、段々とムカムカして来た!
だいたい兄上とツバキの奴が婚約だなんてッ!!絶対ッ!!許さないんだからッ!!
もぉーチヅルが本妻なんだからぁーー!!
はぁー、それと困った事にツバキがねぇー、よく遊びに来るようになっちゃったのよ。
その度にチヅル拘禁されちゃうんだよ。
これってどう思う?
酷くない?
酷いよね!?
それで一度ねチヅルが拘禁中にツバキが面会に来たんだ。
母上とツバキの母君に連れられてきたんだけど。
そしたらさぁー土下座されちゃいました!
兄上との結婚を認めてくださいですって!
まるでチヅルが悪者みたいじゃない!?
兄上とチヅルは両想いで愛し合っているのにね。
だから、嫌だ!!てはっきり言ってやったわ。
母上がああでもないこうでもないて言ってきたけど関係ないわ。
そんな訳で。
チヅルは元気にやってるわ。
心配させちゃてごめんね。
まぁ~正直、周りからは変な目で見らてるけど、ねぇ。
おてんば姫だの、じゃじゃ馬だの、あと【おらおらロケッティア状態】なんやらとか言われているけど、いいのいいの。チヅルは兄上さえいてくれれば満足なんだから。
キャァー♪チヅルて健気ぇ~♪キャハァ~♪
それで今日はね、チヅルの一日を見てもらって。
将来、兄上を支えるパートナーはやっぱりチヅルだよね、て分かってもらいたいの。
こう見えてもチヅル、回復魔法の腕前には自信があるのよ。
身体の欠損部分の修復は、まだまだ研究と修業が必要だけど。
病気の治療に関しては、相当高いレベルの治療ができるんだから。
どうお凄いでしょう?
日々、医療現場の最前線で頑張っているわ。
では、チヅルが勤務している病院の様子をご覧ください。
※※※
ここがチヅルが働いている病院よ。
どうをなかなかのものでしょう?
えっ?
描写の説明がないから分からない?
・・・オホホホ~♪ごめんあそばせ・・・。
あぁ~そう・そう・そう、ここにいる看護婦がね、まぁ~一様チヅルの相棒みたいな子になるんだけどさ、不愛想なのよね。
今日もこの子と一緒に頑張って働くとしますか。
看護婦A:「姫様、本日の診察を始めさせて頂きますが、準備はもう宜しいでしょうか?」
チヅル:「準備万端よ、と言いたいところだけど・・・今日も患者さんは多いいのかしら?」
チヅルのたゆまない努力の成果により、もう【イズの都】の近辺には重症患者はいないはずなんだけど。
看護婦A:「はい、待合室は今、押せや押せやの超満員です」
はぁー今日もかぁー・・・。
ほんと男ってバカばっか。
もっとやるべき事あるでしょう。
チヅル:「そう、で他の治療士の方々はどうなっているのかしら?
患者さんを手分けして診察しないと」
おいおい、今日もチヅル一人であの男共を見るんかい?
看護婦A:「患者の皆さんは姫様に見てもらいたい様ですよ?
ここは一つ将来の国母様に頑張っていただかないと」
チヅル:「はぁー何言ってんのよぉー!おだてても無駄よ!
チヅルのことこき使い過ぎじゃない!
少しは問診等してさ、他の治癒士に振り分けなさいよ」
看護婦A:「はぁーー、そう言われましても・・・。
暴動おきますよ?
いいんですか??」
なによこの子?
その目はなんなのよ??
チヅルに面倒事を押し付ける気ね。
とは言っても、どうしたものかしらねぇ~?
将来、国母として兄上を支えていく上でチヅルの良い評判は確かに後押しにはなるけどう。
限度てものもあるでしょうが!
でもぉ~診察しないと患者さん達の不満、暴動、反乱、国家転覆・・・まさかね?
チヅル:「あ~あ~もぉ~、分かったわよ!
見ればいいんでしょ!
見れば!
その代わりお昼のデザートに大福3つ付けなさいよ」
看護婦A:「いつも思うんですが、よくそんなに食べて太りませんね?
オッパイに栄養蓄えているんですか?」
チヅル:「はぁーッ!そんな訳あるかッ!
チヅルはよく働くからカロリーが必要なの?
分かる?」
看護婦A:「はぁーー、さようでございますか?
でも食べ過ぎには注意してくださいね。
では、まぁ~手配はしておきましょう。
あぁーそうそう大福は【甘味処キヤさん】のもので宜しんですよね?」
チヅル:「そうね、よろしくね」
大好物の大福も取付けたし。今日も一日頑張るわよ!
では、本日一人目の患者さんを診察しようかしら。
※※※
本日一人目の患者さんはおじいちゃんです。
まあどの病院でもこんなものよね。
チヅル:「はぁ~い、おじいちゃん、今日はどうしたのかな?」
患者A:「いや~姫様。
実は、昨晩ハッスルし過ぎましてのぉ。
どうも腰の調子が・・・」
チヅル:「もう御歳なんだから、無理をしてはいけませんよ」
患者A:「お恥ずかしい、ほほほほ・・・」
チヅル:「では、背中を向いて下さいね。
どれどれ・・・あぁ~ここねぇ・・・!
ここをこうして、と・・・・・・はぁーッ!・・・・・・
どうお?
楽になったかしら?」
これぐらい簡単な回復魔法でちょちょのちょいよ。
患者A:「おぉ~、さすがは姫様じゃ!
痛みがピタリと止まりました。
ありがたや・ありがたや!
これで今晩も絞られそうですわい、ほほほほ」
チヅル:「そのう・・・安静にしてくださいね」
患者A:「いやぁ~姫様のおかげで青春時代が戻ってまいりましてのぉ。
もう婆さんが離してくれんのです。ほほほほ・・・」
チヅル:「はぁ~・・・」
このエロ爺、せっかく直してあげたんだから少しは自重せんかぁー!
そうチヅルの患者さんは最近こんなのばっかりなのよ。
まぁ~皆の幸せに貢献できるのは勿論嬉しんだけどね。
でもねぇ~、こんな患者さんばかりなのも考えものよね。
※※※
診察は、開院直後は御老人が多く、時間が経つごとに色々な年代層の方々が混ざってきます。
とは言っても、働き盛りの若者が大半なんだけどね。
そうそう仮病の者までいるのよ。
まったく!真面目に働きに行けボケ!
そんな中、子供の患者さんもいるにはいるのよねぇ~。
まぁご覧くださいな。
チヅル:「僕ぅ~、どうしたのかなぁ~?」
子猫A:「うん・・・・・・」
おい、下向いてちゃ分からんだろうが!?
シャキッとせい。
男の子でしょう。
チヅル:「あれあれぇ~、どおしたのぉ~?」
母A:「昨日の夕方からお腹が痛いと言ってきましたのでぇ、連れて来ました」
チヅル:「あぁ~腹痛ね・・・どれどれ?
うぅ~ん・・・・・・なるほどぉ・・・・・・」
これぐらいの症状なら魔法で簡単に治療できるんだけどぉ~・・・?
だってこれって、ただの腹下しなんですけど。
おいおい、このぐらいの症状で病院に連れてくんなよ。
こちとら死ぬほど忙しいのよ。
ふざけんな!
母A:「どうでしょうか・・・?」
チヅル:「お腹を下しているだけだから心配ありませんよ」
母A:「あぁー良かった!
姫様、ありがとうございます」
チヅル:「いえいえ、いいんですよ。
それよりも僕ぅ~?
ご飯の前にちゃんとお手て洗ってるのかなぁ?」
子猫A:「・・・・・・ううん・・・」
チヅル:「お手て洗ってからご飯にしないと・・・ダメだぞ・・・!」
子猫A:「・・・・うん」
チヅル:「お母さん、うがい手洗いは衛生の基本です。
きちんとできているか確認してくださいね」
あぁ~情けない。
こうゆう基本的な事ができない子はろくな大人にならないんだから。しっかりと躾て欲しいわ。
しっかりしてよねお母さん!
母A:「はい、気お付けます」
ほんとしっかりしてよね。
それにしても、【猫の国】の将来が少し不安になってくるわね。
これからの時代に向けて教育の充実を考えるべきかしら?
兄上には良い国を治めて欲しいから。
キャァ~♪チヅルて超良い奥様て感じじゃない!キャハァ~ン♪
※※※
大分お腹もすいて来たわね。
もうすぐお昼よ。午前中の診療も終盤ね。
そうそう、皆はモンスター患者て知ってる?
医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求をしてくる患者のことなんだけど。
チヅルのところにも来るのよね。
えっ姫にもて?
そう思うわよね?
普通。
まぁ~取り敢えず見てみてよ。
チヅル:「はぁ~い、次の方どうぞぉ・・・」
そう、とんでもない輩が入ってきたのよ・・・これが。
ノブナガ:「My Honey♪
あぁ~僕の愛する君ぃ~。
チヅルちゃんの心の恋人ノブナガが会いにきてあげたよ?
Come on Baby♪」
チヅル:「げ・げ、ノブナガ・・・!」
こいつはチヅルの従兄弟でノブナガていうの。
で、見ての通りちょっと頓珍漢な男の子なのよね。
母上の兄君である叔父上の三男坊なんだけど、白猫で末っ子とあってか相当ぶっ飛んだ性格をしてるわ。
甘やかされて育った典型的なバカ王子と言った処ね。
今日だって西の【イワタの都】から、わざわざ東の【イズの都】まで来たのよ。
ほんと何やってるんだか?
※注記:西の【イワタの都】のシシャクがチヅルちゃんの叔父になります。
ノブナガ:「はははは♪そんなに恥ずかしがるなんて、なんて可愛いらしい子猫ちゃんなんだチヅルちゃんは。
いいんだよ、僕とチヅルちゃんとの仲なんだからさ。
それに今日は、僕に会えず枕を濡らしているチヅルちゃんが不憫でね。
それで僕としては、たまらず会いに来たて訳さ。
あああ、いいんだ・いいんだ、みなまで言わなくとも・・・!
愛するチヅルちゃんのことはよく理解しているつもりだからね」
ねぇ~ほんとバカでしょう。
チヅル:「はぁーー・・・で、今日はどのような御用で?」
ウザイ・・・ウザ過ぎる。
もうこれてストーカーよね。
しまいには警察に突き出そうかしら。
ノブナガ:「恋人に会いに来るのに理由なんて必要かな・・・?」
チヅル:「はぁー、そうゆうのいいですから。
チヅル、お仕事中ですのでお帰りください・・・!」
ノブナガ:「えぇーッ!!わざわざ、この僕が会いに来てあげたんだよ!!
嬉しいよね!!??
そうだよね!?ね!?ねぇ!?ねぇー!!??」
チヅル:「はぁー、正直・・・ウザイです。帰ってください・・・!」
ノブナガ:「あぁーそうだそうだ、チヅルちゃんにプレゼントを持って来たんだった。
きっとこれを見たら機嫌も治ると思うよ。
おい、例の物を」
猫武者A:「御意!」
そして従者の方が差し出した風呂敷を自慢げに広げるノブナガ。出てきた品々は・・・?
うわぁー綺麗な絹織りの反物だこと。
これは相当な品物ね。落ち着いた趣きで、色合いも申し分ないわ。
多分、チヅルの髪の色に合わせているのね。
でもバカじゃないの。
チヅルが兄上以外の男性からの贈り物で身を飾るなんて、有り得ないんですけど!
あぁー考えただけでも虫唾が走るわ!
第一兄上に要らぬ誤解を与えてしまったらどうするのよ。
そんなの絶対に嫌だから!!
チヅル:「このような高価なお品物を頂くことはできません」
ノブナガ:「もう相変わらず素直じゃないなぁー。
そうゆうのいいからさ、僕からの気持ち素直に受け取りなよ」
チヅル:「もういい加減気付きなさいよ!
迷惑なの!
分かる!
本当に迷惑してるの!
もうチヅルに構わないで欲しいんだけど!
ねえ言っている意味お・わ・か・り!?」
ノブナガ:「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは・・・・・・!!??
チ・チ・チヅルちゃん、何を言い出すんだい・・・!?
えぇー、聞いたか今の??
えぇーいッ!!どうなっておるのだッ!!」
猫武者A:「若!お気を確かに!」
あぁ~あ情けない。従者の方にそんなに当たらないでよ。可哀想でしょ。
この後、【イズの都】の猫武者に来てもらったのよ。
もう話すのも嫌な程、大変だったわ。はぁー疲れた・・・。
※※※
やっと午前中の仕事が終わったわ。お昼ご飯にしよ~と。
栄養補給と、気分転換て大切なのよ。
英気を養って午後に備えなくちゃね。
看護婦A:「チヅル様、お食事の用意が整っております。
後の事は私に任せて、どうぞ休憩に入られてくだい」
チヅル:「ありがとう。そうさせてもらうわ」
さぁーお昼にしましょう。
あぁ~もぉ~お腹ペコペコ。
意気揚々と休憩室の扉を開くと、そこには?
【甘味処キヤさん】の看板娘ムツキちゃんがいました。
※注記:詳細は『第25話 クジャク初めてのお出かけ②』をご参照ください。
ムツキ:「こんにちは。チヅル様・・・」
『Angel SOS』をお読み頂きありがとうございます。
今後とも『Angel SOS』をよろしくお願いします。