第42話 白い許嫁⑥
『Angel SOS』をお手に取って頂きありがとうございます。どうぞごゆりとお楽しみください。
時はアドリエルが召喚される5年前の秋。場所は猫の国。クジャク10歳の物語。
前回のあらすじ。
大変だぁー!!クジャクがお見合中に欲情しちゃったよ。
チヅルちゃんが殴り込みだぁー!!
前回のあらすじ終わり!
いつの時代もBOY Meets GIRLなのさ♪
そして男の子は愛を囁くんだよ。キャハァ~♪
クジャク:「ずっと側にいて欲しいのは・・・チヅル・・・チヅルなんだ・・・!
僕・・・チヅルじゃなきゃ駄目なんだ!
そうのう・・・チヅルのことが大好きだから」
ヒュー♪ヒュー♪熱々だねぇ~お二人さん♪
禁断の愛・・・いちゃう?いちゃう??
チヅル:「・・・ほんとう・・・??」
クジャク:「ほんとうさ・・・!!」
チヅル:「あぁーー嬉しいぃーー・・・!!」
恋する乙女は疑うことを知らないようですね。
なんとも微笑ましいです。
見詰め合う二人。
ロマンチックな甘ぁ~い雰囲気に酔いしれます。
もぉ~私達何も見えなぁ~い♪
そんな二人の事を白けた目で傍観する猫武者達。
だってぇ~いつもの事なんですものぉ~♪
いつも見せ付けられている身にもなって欲しいニャン♪
だがしかぁーーしッ!!
クジャクはまたしてもやらかしてしまう。
何ぃーーッ!!??
では説明しよう!
クジャクは、チヅルちゃんの恋する乙女状態の瞳に酔いしれるうちに。
こともあろうに抱っこしているツバキちゃんの事を力一杯抱き締めるのだ。
そう錯覚である。
伝わって来る温もりが、チヅルちゃんのそれだと思い込んでしまったのである。
実は、これにはそれなりの理由があった。
そう【天使の加護】を持つ者同士の共鳴である。
見詰め合う二人。
共鳴による高揚感。
肌の温もり。
そう来たら・・・もうである・・・オーマイゴッド!
ツバキ:「あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ・あっ」
熱い熱い吐息を漏らすツバキちゃん。
もちのロンで18禁仕様だぁーーッ!!
して対するクジャクの反応は?
クジャク:「はぁ~~はぁ~~はぁ~~、チ・チ・チヅルゥ~チヅルゥ~~!」
あぁ~もぉ~これはぁ~ダメ・ダメだぁーー!!
何やってるんですか貴方は!!??
確りとチヅルちゃんの名を呼びながら、ツバキちゃんを強く抱き締めるクジャク。
何をとち狂ってるの?
だぁ~かぁ~らぁ~!!
抱き締めてるのマジでツバキちゃんだってばぁーー!!
チヅル:「兄上・・・・・・??」
徐々に状況の不自然さに気付き出すチヅルちゃん。
少し冷静さを取り戻したところで、今一度状況を観察すると、あぁ~ら大変♪
大好きお兄ちゃんが知らない女の子に取られちゃってるよ。あれ??
では状況を整理しよう!
チヅルちゃんはというと、座卓の上に立ちクジャク達を見下ろす位置にいます。
そしてクジャクはというと、ツバキちゃんを抱っこしながら座り込んでいます。
これをチヅルちゃんの視点から見ると相当誤解を招く構図となります。
そう今のクジャクは姫君を守る王子様のそれなのだ。
差し詰めチヅルちゃんは悪役令嬢といったところでしょうか?
だぁ~かぁ~らぁ~♪
見た目だけで判断するならば。
チヅルちゃんにとってこの状況は恋の敗北宣言と取れます。
さぁ~さぁ~さぁ~♪どうなるのかなぁ~?
どれどれ・・・。
チヅルちゃんは、さぁーと血の気が引いてくのを感じます。
それと同時に最愛の人が奪われてしまう恐怖に身を震わせます。
実は、これにもそれなりの理由があります。あるんです!
そう皆様も御承知の通り。
チヅルちゃんは、クジャクのサポート役として【天使の加護】を授かっています。
それ故、パートナーとなるクジャクから肉体的及び、精神的に引き離されると、強いストレスを感じるのです。
チヅル:「兄上が・・・あぁー兄上が・・・取られちゃ・・・う・・・・・・??
うっわぁーーッ!!
嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!嫌!!」
絶叫するチヅルちゃん。
そのあまりにもの乱れ振りに皆が固まってしまう。
そんな緊張事態の中、チヅルちゃんを捕らえる者がいた。
そう我らがお父さんのケンビシである。
今回はカッコよく決めてくれるようですよ?てへ♪
それはまさに一瞬の早業だった。
チヅルちゃんの背後を取ったのだ。
ケンビシ:「そこまでじゃ!!」
チヅル:「うっわぁーーッ!!離せぇーーッ!!離せぇーーッ!!ぐゅわぁーッ!!」
ケンビシ:「まったく、おまえとゆうやつは・・・はぁー」
羽交い締めにされ暴れまくるチヅルちゃん。
その様子をバツが悪そうに見詰める猫武者達。
事態はこれで収束するのでしょうか?
ケンビシ:「チヅルを牢屋へ閉じ込めるのじゃ!!」
猫武者達:『『『『『『『はっ!!』』』』』』』
縄で縛り上げられ御用となるチヅルちゃん。
ほんとうに投獄されちゃうの?
姫君が投獄だなんて前代未聞の不祥事じゃありませんか?
クジャク:「お待ちください!それではチヅルが余りにも可哀想ではありませんか!?」
ケンビシ:「だがなクジャクよ・・・!
ツバキ姫は【フジエダの都】の姫君であり、この度は大切な客人として招いたのじゃ・・・!
こちらの粗相をないがしろにはできぬぞ・・・!
この不始末どうするのじゃ・・・!?」
クジャク:「・・・それはぁーー・・・?
でもぉ~・・・父上・・・??」
ケンビシ:「まぁ~そぉ~心配するな。なるようにしかならんぞ」
ケンビシはクジャクをたしなめると、チヅルちゃんを連行するよう再度指示を出します。
その時!?
チヅル:「兄上ぇーーッ!!」
それは今生の別れであるかのような悲哀をおびた叫びでした。
クジャク:「チヅルッ!!??」
ツバキ:「グジャクしゃま・・・??」
クジャクとしては直ぐにでもチヅルちゃんのもとへと駆け寄りたい処なのだが?
でも?
そうでも??
できなかった。
腕の中にいるツバキちゃんが、小さな小さなお手てでしがみ付きながら、大きな大きなお目目に涙をいっぱいに湛え、すがるように訴えてくる。
『行かないで』と・・・!!
また父ケンビシの抑制も有った。
今、クジャクの目の前にはケンビシの腕が有り。チヅルちゃんとの距離を遮っています。
クジャクはもうどうすることもできません。
ただ遠ざかって行くチヅルちゃんを眺めることしかできないのです。
少年とは無力なものです。
無念!
チヅル:「兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!兄上ぇーーッ!!」
少しずつ遠ざかっていくチヅルちゃんの叫び声が、クジャクの心を締め付けます。
当然の事ですが、これが永遠の別れになるはずもないのですが?
一時とはいえこの別れが、二人の間に存在する特別な【絆】に多大な影響を与えることとなります。
そう【天使の加護】による影響です。
ケンビシ:「クジャクよ・・・!」
真剣な表情で我が子を見る父親の顔は・・・どこか嬉しそうだった?
何故にぃ~?
クジャク:「・・・はい・・・?」
暗い語調で返事を返すクジャク。
やるせなさがにじみ出ています。
ケンビシ:「おぬし、お手付きしおったな!」
クジャク:「はいぃーッ!!??」
ケンビシ:「見てみぃ~!?
ツバキ姫の上気した顔!?
其方を見詰める眼差し!?
どれも惚れた女子のそれよ!
それにもう大切に抱きかかえておるではないか!
このド・スケベがぁぁぁ!
誰に似たのやら、わはははは!!」
はい♪もちのロンで生み親であるオリヅルに似たのであります。
白猫さんてほんとスケベさなんだからぁ~。てへ♪
クジャク:「えっえぇーー!!」
ケンビシ:「男なら責任を取る!!よいな!!」
ツバキ:「うふふふ・・・クジャク様~。ポッ♪」
実は、このお見合い当初はとても心配されていたんですよ。
だってぇ~親であれば子供の好みぐらい百も承知でしょう。
クジャクが乗り気でないことは予想済みでした。
だからこの事の顛末は親御さん達にとっては全くの予想外だったりします。
よってこの結末はクジャクが一人バカをやちゃた・・・てことかな?
ハチャメチャなラブコメで言う処のお約束的なお見合いでしたが、あえてここから教訓を探すのなら。
気の無い子にちょっかいを出すなでしょうか・・・・・・合掌!!
この日、クジャクとツバキちゃんとの間に婚約が結ばれました。
二人はこれから許嫁としてお付き合いしてゆくことになります。
どうぞ仲良くなって下さいね。
又、この日、お城に座敷牢が建造されました。
ツバキちゃんが訪問の際、チヅルちゃんは幽閉されることとなりましたとさ。てへ♪
この状況をはばかりながら観察する者達がいた。
そう【お約束の三人娘】達である。
深雪:「どうしたものかしらね?」
妃和:「ミッション失敗かぁー・・・私の苦労は何だったの!」
ミカン:「なんだか少し可哀想でしたね。
あの子達これからどうなちゃうんですかねぇ~?
ミカン、心配になちゃいましたよぉ~」
深雪:「まぁー取り敢えず今は帰還しましょう。長居は禁物よ」
どうやら今回の任務は失敗に終わったようでうね。お疲れ様でした。
これにてこのお見合い騒動は取り敢えず終息するのであった。チャンチャン♪
『Angel SOS』をお読み頂きありがとうございました。
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