第33話 悪魔の伝承②
『Angel SOS』をお手に取って頂きありがとうございます。どうぞごゆりとお楽しみください。
時はアドリエルが召喚される8年前の春。場所は猫の国。クジャク8歳の物語。
天使に危険人物認定されているチヅルちゃん。
やはり問題を起こす運命なのでしょうか?
チヅルちゃん、ピンチ・・・!!??
※注記:詳細は『第23話 クジャクの母③』をご参照ください。
ピーンと張り詰めた空気が走る。
ケンビシはビドウの続く言葉を待った。
ビドウ:「はぁぁぁぁぁぁビドウ、不徳の致すところ!!面目ございません!!くぅぅぅぅぅぅッ!!」
ケンビシ:「ビドウ・・・??何があったのだ・・・!!??」
ビドウ:「はぁッ!!姫の最大の務め。巫女教育にて問題が・・・!!くぅぅぅぅぅぅッ!!」
マサムネ:「なんじゃと!!??姫が!!??何があったのじゃ!!??」
では説明しよう!
【猫の国】にとって巫女は天使との繋がりを取り持つ大切なお勤めです。
まあ実際的な交信というわけではないんですけどね、儀式一般を受け持ちます。
しかも巫女は代々、白猫の姫君しか成ることが許されておらず、当然その人数も少ないのです。
よって、チヅルちゃんが巫女に成れないと大問題となってしまいます。
以上。説明終わり!
ビドウ:「実は、巫女に成りたくないと駄々をこねているようで・・・??」
は・いぃぃぃ、えぇぇぇなんじゃそれはぁぁぁ??
さすがわチヅルちゃんと言った処でしょうか?
斜め上を行く破天荒ぶりですなぁ~。
マサムネ:「どうなっておるのじゃ!!ちゃんと説明せい!!」
ビドウ:「それがしも教育担当者に相談された身ゆえ・・・細かな事までは・・・。
ただ悪魔が怖いと、とても怯えていると、聞いております」
固唾を飲んでビドウの報告を聞くケンビシ。さぁぁぁどうする?
では勿体振らずに説明しましょう。
巫女の教育課程には伝承についての学習があります。
伝承には、天使、勇者、巫女、悪魔が登場します。
そしてチヅルちゃんが気にしているのは、この伝承にある物語の内容です。
当然幾つかの物語があるのですが、大半のものが悪魔の策略により巫女が連れ去られ、天使の助勢のもと勇者が巫女を助け出し、国を守るといった王道的なお話しとなっています。
普通であれば物語でお終いなのですが、チヅルちゃんは違ったのです。
そうチヅルちゃんは、巫女になったら悪魔にクジャクのもとから連れ去られると、本気で考えているのです。
しかしながら問題はもっと複雑だったりします。
5歳の女の子だからと安易に考えてはいけない要因があるのです。
それは【天使の加護】です。
チヅルちゃんはクジャクのサポート役として高度な調整が施されています。
よって、クジャクから物理的又は精神的に離されると大きなストレスが発生します。
これぐらいならまだよいのですが?
チヅルちゃんにはもっと深刻な問題が発生しているようです。
その事を説明する上で、チヅルちゃん誕生の際の天使達の会話が参考になるでしょう。
こうあります。
天使B:『シャムシェルの提案通り規格を下げたのは妥当でしたね。
猫種にとって現実的な仕様にできたのが勝因でしょう。
人格的な部分は、まぁ~許容範囲かな??
日常生活に支障をきたすことはないかと??多分??大丈夫かと・・・??』
天使A:『うぅ~ん、確かに結構一杯一杯でしたよね。変則的な仕様も否めないし。
でも基本設計はシャムシェルの案のままだし、あの牛種の女の子から取れたデータも十分いかせてます。これ以上の完成度を求めるのは基本的に無理でしょう』
そうなんです、天使達の予想を超えた事態が発生しています。
よって今、チヅルちゃんの精神は過剰なストレスを受けており、暴走する危険性があります。
以上。説明終わり。
と言うことはケンビシどうするんだよぉぉぉ??
マサムネ:「殿!!??」
存外ケンビシは賢い猫ちゃんである。
聞くことに早く、語ることに遅い。
沈黙を上手に用いる術も心得ています。
しかしながらこの度は、当主として然るべき発言が期待されています。
ケンビシ:「うむ・・・!!
本人に聞いてみよう。
ワシは今からチヅルのもとへ参る」
出来る男は決断が早かった。
そしてケンビシは颯爽と部屋を後にするのだった。
※※※
時同じくしてクジャクはというと。
あの眺めの良いオリヅルがお気に入りだった部屋に居た。
ここからぼんやりと水平線を眺めているのが好きなようです。
クジャクは以外にも、まだ8歳になったばかりだといのに一人でいる時間を大切にするのでした。
『タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ』
猛スピードで誰かがクジャクに接近中!!
クジャク:(チヅルだな)
クジャクは、最近覚えた感知魔法でチヅルちゃんの訪問を予測します。
チヅル:「兄上ぇぇぇッ!!うっわぁぁぁぁぁんッ!!」
『ニャガ・ニャガ・ニャァン・ニャァン・ニャァァァンッ!!』
全力疾走でクジャクのもとへと飛び込んで来るチヅルちゃん。
さすがのクジャクも受け止めきれず、倒されてしまいました。
でも、クジャクはちっとも怒ったりはしませんよ。
だって兄ちゃんなんですから。
優しく頭を撫でてあげます。『ヨシヨシ』と♪
クジャク:「ねぇぇぇねぇぇぇどうしたの・・・??
何があったのかなぁぁぁ・・・??
もう大丈夫だから、ね?ねぇ?ねぇぇぇ??
『ヨシヨシ・ヨシヨシ・ヨシヨシ』」
チヅル:「ヴぃぎゅぅぅぅぅぅぅ!!ぎょわいよぉぉぉ!!
兄上ぇぇぇ!!悪魔・・・怖いよぉぉぉぉぉぉ!!ごわいよぉぉぉぉぉぉ!!うっわぁぁぁぁぁぁん!!」
チヅルちゃんは、その大きな大きなお目目から、大粒の涙をナイアガラの滝のように『ドッドォォォンッ!!』と流しております。
これはただ事ではありませんね。
助けを求めクジャクを見詰めるチヅルちゃん。
半狂乱のチヅルちゃんを見詰めるクジャク。
そう二人のオッドアイの瞳が共鳴を始めます。
クジャクの瞳の色は、右目がエメラルドのような緑色、左目はトパーズのような黄色。
チヅルちゃんの瞳の色は、右目がトパーズのような黄色、左目はサファイヤのような青色。
お互いが正面で向き合った時、エメラルドとサファイヤの瞳が重なるのです。
共鳴し二人の波長が高まると同期が始まります。
これも【天使の加護】が成せるものです。
そうするとクジャクのもとへと、チヅルちゃんの負の感情が洪水のように押し寄せて来た。
※注記:詳細は『第23話 クジャクの母③』をご参照ください。
クジャク:(これはなんなんだ!!??
悪魔!!??こいつがチヅルを苦しめているのか。
勇者!!??えっそうなのか勇者が悪魔を打ち倒すんだな)
情報が次から次へとクジャクへと送られて来る。
やるべきことは、そうただ一つ!!
チヅルちゃんを苦しめる悪魔という存在と戦うのだ!!
さぁぁぁクジャクどうする??
そしてチヅルちゃんはどうなるの??
気になるお話しの続きは・・・刮目して相待すべし。てへ♪
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