第23話 クジャクの母③
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時はアドリエルが召喚される14年前の夏。場所は猫の国。クジャク2歳の物語。
--- イズの都のマイヅル 視点 ---
皆様御機嫌麗しゅう存じ上げますそうろうはにそかべ。
クジャクの母マイヅルでございます。
今宵も我が子クジャクの物語をお話しましょう。
お陰様を持ちまして、我が子クジャクも2歳となりました。
春に生まれたこの子にとって三度目の夏が訪れたのでございます。
今日もまた海辺の都である【イズの都】には、暑い夏の日差しが降り注ぐのでござい。
そして空を見上げれば、天高くそびえる入道雲がとても雄々しく見入ってしまうのです。
あら!ご覧くださいな?
晴天の青空の下、【イズの都】を見下ろされる天使様達がいらしゃいます。
※注記:霊体の天使は、人や獣人には視覚できない形態です。よって今回も見えていません。
カシエル:『上手く行ってよかったですね』
ミシャエル:『戦闘能力を重視し過ぎたきらいはありますが、まぁ~一応成功ね』
アリエル:『シャムシェルの提案通り規格を下げたのは妥当でしたね。
猫種にとって現実的な仕様にできたのが勝因でしょう。
人格的な部分は、まぁ~許容範囲かな??
日常生活に支障をきたすことはないかと??多分??大丈夫かと・・・??』
カシエル:『うぅ~ん、確かに結構一杯一杯でしたよね。変則的な仕様も否めないし。
でも基本設計はシャムシェルの案のままだし、あの牛種の女の子から取れたデータも十分いかせてます。これ以上の完成度を求めるのは基本的に無理でしょう』
ミシャエル:『本当シャムシェルのおかげね。
それと、あの牛種の女の子、キャンディスにも感謝しないといけないわね』
アリエル:『マイヅルの体調も良い様ですし、任務完了ですかね?』
ミシャエル:『そうね、帰還しましょうか』
天使様は私の産後の経過を確認されると、空のかなたへと飛び去ったのでございます。
さようでございます。私、赤子を産んだのですよ。
もう暗いお話しばかりでは気も滅入る頃合いでしょう。
我が子クジャクにも妹ができ大変嬉しゅうございます。
今後とも我が子クジャク共々よろしくお願い申し上げます。
丁度その頃、クジャクは姉上がとても気に入られていたあの眺めの良いお部屋で、乳母にあやしてもらっています。
あらあら、とても御機嫌なようね。よかったわね、クジャク。
シズク:「クジャク様、クジャク様に妹君ができたのですよ。
クジャク様と同じ可愛い可愛い白猫さんですよ。
さぁ~マイヅル様のもとへと参り御挨拶をしましょうね」
クジャク:「しろねこさん?
うん、いこう、ははうえにあいたい」
乳母に連れられクジャクが会いに来てくれるようです。
丸一日あの子の顔を見ていません。
あぁ~あの子を早く私のもとへ・・・。
クジャクの乳母であるシズクは青猫です。
【猫の国】では白、青、赤、黄と尊ばれており、青猫のシズクも良家の出です。
そんなシズクにはクジャクと同い年の娘がおり、乳の出も良いので乳母を任せたのです。
クジャクもシズクにとても良く懐いていますし、シズクの娘のシノブもクジャクの良い遊び相手となってくれています。
クジャクが日々健やかに成長していく様子を見守れることが大変嬉しく思うのでございます。
あらあら、そうこうしていたら、もうクジャクが会いに来てくれたようです。
クジャク:「ははうえ、ははうえ」
マイヅル:「クジャク、クジャク、あぁーークジャク、クジャク、さぁ~おいで、母のところに、さぁ~早く早く」
産後直ぐ床に寝ている私は我が子を優しく招くのでございます。
私を見、はしゃぎながら歩み寄るあの子を乳母が座らせてくれるのです。
クジャク:「あぁ~!!あかちゃんだぁ~!!」
添い寝させている赤子を見たクジャクが大はしゃぎです。
お産という大仕事をやり遂げた私は癒されるのでございます。
マイヅル:「クジャク、妹のチヅルよ大切にしてあげてね。クジャクの妹なのだから」
クジャク:「ははうえ、ははうえ、しろねこ??だいじだいじ」
マイヅル:「そうね、可愛いでしょ、白猫の兄妹ね」
その時です。寝ていた赤子が突然目を覚まし、この子と目が合ったのでございす。
クジャクもチヅルもオッドアイの瞳を持つとても珍しい白猫でございます
クジャクは、右目がエメラルドのような緑色、左目はトパーズのような黄色。
チヅルは、右目がトパーズのような黄色、左目はサファイヤのような青色。
見つめ合う兄と妹、波長が合ったのでしょうか?
チヅルの笑顔が弾け上機嫌で笑い出したのです。
それを見たクジャクも微笑むのででございます。
何かを感じ取り見つめ合う兄妹。
私はそんな子供達の様子を注意深く見守り、このことを心の奥底に書き留めたのでございます。
これが我が子クジャクとチヅルのお話しでございます。
では皆様方、今宵はここまでに致しとうござりまする。
読んでくれてありがとぉ~♪
また来てね♪